
教えてくれた人
幸井俊高(こうい・としたか)/薬石花房 幸福薬局代表。東京大学薬学部卒業、北京中医薬大学卒業。1998年、中国政府の認定を受け、日本人として18人目の中医師に。著書に『漢方でアレルギー体質を改善する』など多数。アレルギーの根本治療を目指す。
生薬の芳醇な香りも体内に取り込む。
漢方薬はドラッグストアや通販でも買えるが、より本格的な漢方ライフを楽しみたいなら、病院や漢方薬局で漢方薬を処方してもらい、自宅で煎じるのもいい。
作り方は超簡単。用意するのはやかんや鍋などの器具のみ。そこへ漢方薬と水を入れて弱火にかけるだけ。水が半量になるくらいまで20分程度コトコト煮込めばOK。
「生薬成分の体内濃度が一定になるように、煮出した1日分を3分の1ずつ、朝昼夕と3回に分けて飲む。日中外出先に持参するのが難しいなら、朝夕2回で2分の1ずつ飲んでも構いません」(薬石花房 幸福薬局の幸井俊高院長)
お薦めは、朝イチのルーティンとしてコーヒーを淹れる感覚で起床後すぐ煮出すこと。生薬の優しい香りに包まれて、リラックスした気分で一日がスタートできる。
「生薬には、火にかけると揮発する成分に薬効を持つものも少なくありません。そうした揮発成分も、自宅で煎じれば余すところなく体内へ取り込めるのです」
忙しくて朝時間が取れないなら、夜帰宅後に煎じてもいい。出来たての3分の1を眠る前に飲み、翌朝3分の1、帰宅後すぐに最後の3分の1を飲む。トレーニングと同じように、タイミングを決めてパターン化しておくと、煎じ薬を嗜む充実した漢方ライフが長続きする。
生薬を煎じている間、えもいわれぬ芳醇な香りが部屋中に漂い、幸せな気分になってくる。
漢方を煎じる時にまつわるQ&A。
ミネラルウォーターを使うべき?
生薬を煮出す水には、せっかくならミネラルウォーターを使いたくなる。日本産のものなら大きな問題はないが、欧米産のものは要注意。日本の水はミネラル分の少ない軟水であり、漢方の成分を抽出しやすい。昆布や鰹などの出汁も軟水の方が出やすいのと同じ理屈。欧米産のミネラル分が多い硬水は避けた方が無難なのだ。
二番煎じでも効果的?
生薬はそれなりに高価だから、1回抽出しただけで捨てるのはもったいないと思う人もいるだろう。実際、二番煎じでも煎じ液には、1回目とさほど変わらない色がつく。でも残念ながら、二番煎じでは漢方薬の薬効はほとんど望めない。「それっぽい色がついたとしても、薬用成分自体は1度目でほとんど出切っています」。
煎じ薬の費用はどのくらい?
漢方薬局などで処方される漢方薬はクオリティの高い生薬が使われている反面、健康保険の利かない自由診療だと価格はマチマチ。「うちは1日分1400円均一。1か月分で4万2000円になります」。安くはないけれど、それで慢性的なお悩みが霧散するなら、お安いものかも。しばらく続けて体質改善ができたら、卒業できることも多い。
残りカスは有効活用できない?
生薬を煮出した残りカスは、生ゴミとして捨てるべき。「栄養になると思い、観葉植物にあげて、枯らした患者さんもいます(笑)。ヒトに効果が出るものですから、植物にとってはインパクトが強すぎるのかもしれません」。薬理作用を期待しないなら、鍋料理に薬味として入れたり、入浴剤の代わりに使ったりすることもできる。