しっかりアミノ酸を摂る契機は、番組へのお便り。
ジェーン・スーさん(以下スー)
きっかけは、ポッドキャスト番組に、味の素(株)の河内さんが連絡してきてくれたことでした。
河内未土さん(以下、河内)
番組の中で、アナウンサーの堀井美香さんがタンパク質を摂っていないという話がありました。美香さんは偏食家で、スーさんがお肉食べなさい、タンパク質を摂りなさいって話していて、そこで〝アミノ酸を摂ってもらわなきゃ〟と思いました。
スー
堀井さんは、タンパク質をあまり食べないんです。私と同世代なので、疲れやすいお年頃でもあります。気持ちで頑張っちゃうので、いつも心配でした。それを聴いた互助会員(リスナー)の河内さんが、〝これならどうだい〟って自社のアミノ酸を送ってくれたのです。
河内
聴いていて、大変なことが起きている……と思いましたから。
スー
で、次の回になったら、堀井さんがムチャムチャ元気。年齢とか、体質のせいだけじゃなくて、いろいろ栄養素が足りてないこともあるのかと思うようになりました。番組でも、中高年の女性が無自覚に不足しがちなアミノ酸の話は、ムチャムチャ刺さっています。
河内
タンパク質を作っている部品がアミノ酸です。ヒトのタンパク質は20種類のアミノ酸でできていて、そのうち9種類は必須アミノ酸といって、体内で合成ができず、食べ物から摂り入れる必要があります。
今さら聞けない “アミノ酸とタンパク質”の違い。
タンパク質
筋肉や皮膚、毛髪、消化管や内臓、血液など、カラダを構成する重要な成分であるタンパク質。その役割はさらに広く、各種のホルモンや酵素・抗体となってカラダの維持と調節に関わるなど、生命活動のほとんどを司る。ヒトのカラダを構成する10万種類ともいわれるタンパク質は、わずか20種類のアミノ酸から作られている。
アミノ酸
食事から摂取したタンパク質は、一旦アミノ酸に分解され、再びカラダに必要なタンパク質に合成される。自然界には約500種類のアミノ酸が存在するが、ヒトのカラダのタンパク質に使われるアミノ酸は20種類。20種類のアミノ酸のうち9種類は、体内で合成することができず、食事からの摂取でしか補えないため「必須アミノ酸(EAA)」と呼ばれている。
スー
私はタンパク質が好きで、糖質よりもタンパク質ってタイプです。食べる量もハンパないので、カラダが大きくなっちゃうんですけど……。アミノ酸は、カラダ全部作ってくれますよね、内臓も、皮膚も、髪の毛も、目ん玉も。
河内
タンパク質を摂ると、胃腸で消化されアミノ酸として体内に取り入れられ、肌や髪などを構成するタンパク質に再び合成されます。アミノ酸は、タンパク質の部品なので、おっしゃる通り、カラダの修復に必要です。
河内
スーさんや美香さんのように、話をしたり、文筆の仕事をされている方は、頭の冴えと集中力が大切ですよね。疲労にもさまざまな種類があり、アミノ酸にもいろいろな働きがあります。ヒスチジンというアミノ酸には、日常生活の疲労感を軽減し、頭の冴えや注意力を改善、作業効率の向上に役立つ働きがあります。ヒスチジンは頭の働きをサポートする、最近注目のアミノ酸です。
ヒスチジン摂取による 疲労感軽減の効果
出典/Sasahara et al., Physiol Behav. 147: 238-244.(2015)の図1をわかりやすく改変
疲労を強く感じている成人男性20人が、ヒスチジンというアミノ酸を2週間にわたって連続摂取したところ、疲労感の軽減が有意に確認されたという。
スー
コロナ禍の間は、筋トレをやっていました。何もしないと、カラダがダルダルになるんです。太っているのと、ダルダルなのは少し違って、筋肉を付けると、肩甲骨辺りの背中が締まってきますし、動きやすくなります。タンパク質を摂る1日の目標値が、体重1㎏に対して1g強って、改めてけっこうな量だと思いました。食事から摂ろうとするとカバーしきれません。
河内
必須アミノ酸はタンパク源と呼ばれる肉とか魚、卵や牛乳などにバランスよく含まれています。しかしカラダの必要量に対し、最も少ない必須アミノ酸に合わせてしか、カラダのタンパク質に利用されません。
スー
それって、何度聞いても怖い「桶の理論」ですよね。
河内
水を入れる桶が9枚の板でできていて、その板の長さがそれぞれ違うとイメージしてください。この桶に水を入れると、たくさんの水を注いでも、一番低い板から流れ出てしまいます。同じことがアミノ酸でも起こっていて、板となるアミノ酸のバランスが良くないと、一種類のアミノ酸をいくらたくさん摂取しても、カラダのタンパク質として利用されません。
「桶の理論」はまるで〝切り捨て受験〟。
スー
「桶の理論」は知っておいて損はないかと。せっかくアミノ酸を摂っても、一番少ない成分のレベルでしか吸収されないって、切り捨て受験みたいな話です。あんなに理科頑張ったのに、〝先生は、英語でしか人間を見ないんだ〟ってことですよ。自力で食事から必須アミノ酸をきちんと摂るのは不安だったので、必須アミノ酸から始めてBCAA(必須アミノ酸のうち特に筋合成に重要な、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸)も摂るようになりました。
河内
私たちは食品会社なので、食事から栄養を摂ってほしいと願っています。同時に、普段の生活でキッチリ食事を摂ることのハードルの高さも知っています。しっかり手軽に摂れる方法として、不足してはいけない必須アミノ酸をベースに、必要に応じたアミノ酸の機能をサプリメントなどで取り入れることが重要だと考えています。
スー
食事に気を付けても、「桶の理論」を知っていても、物理的に難しいと感じています。朝晩を自炊にすれば、ある程度クリアできるかもしれません。でも、外食中心の人が、アミノ酸のバランスまで考えて食事を摂るのは、私は不可能だと思っています。野菜を足してもビタミンや水分ですし、お肉だと余計な脂肪も気になります。
アミノ酸の「桶の理論」。
アミノ酸を摂る際に留意したい「桶の理論」。理想的なアミノ酸バランスに近いほど、利用効率が高まる。小麦はリシンのスコアが低い(=桶に漏れがある)ため、他のアミノ酸が活用されにくい。
河内
味の素(株)のアミノ酸へのこだわりは、昆布のうま味成分を調味料として商品化したことに始まります。そのうま味成分が、グルタミン酸というアミノ酸です。そこから食品や医薬品を中心にアミノ酸に関する技術の応用が拡がり、最先端の再生医療や、アミノ酸によって疾病リスクを探る血液検査といった領域にも拡がっています。
河内
味の素(株)では、アミノ酸も考慮し、栄養バランスが取れた食事メニューをアスリートにアドバイスする活動も行っています。イメージ的には、お肉、ごはん、汁物、サラダ、さらに副菜1品と、ヨーグルトとフルーツ。パリ2024オリンピックでも、専任のチームが現地に同行し、栄養バランスの良い食事などでベースを整えてもらいつつ、補食やサプリメントで必要なアミノ酸を摂る環境作りをしました。
スー
それを実践するって、少しずついろいろなモノをって、食材の種類をたくさん買うってことですよね。しかも、使い切らなきゃならない。独り暮らし、二人暮らし、両方働いていたらかなり無理です。〝お金で解決するしかない〟って思いました。
河内
トップアスリートは、食事に加えアミノ酸も摂っています。激しいトレーニングをしているとアミノ酸の消費量は増えるので、さらに摂る必要があります。スーさんは、よくロイシンが多く含まれたアミノ酸を摂っていますが、損傷した筋肉に対して再合成のスイッチを押すのがロイシンです。
スー
私にとって、プロテインは運動とセットなんですが、アミノ酸は疲労とセットなんです。朝、出かける前、忙しいスケジュールの日はアミノ酸を摂ります。帰ってきてもリカバリーのためのアミノ酸。基本的に、日々ヘトヘトにならないためにアミノ酸を摂っています。
河内
アミノ酸も考慮したバランスの良い食事をきちんと摂って、毎日しっかり睡眠を取ることがまず第一なのです。
スー
私、自分のことをトップアスリート(レベルに忙しい人)だと思っています。同世代からも〝すごい元気ですね〟とか、〝メチャメチャ体力がありますね〟と言われます。でも、やっていることは、ちゃんと食べて、アミノ酸を摂って、適度にカラダを動かすだけ。若い女性だと、朝はヨーグルトを食べて、会社に行ってお昼は丼物で、夜はサラダ、間食にアイスっていう食生活をしている人もいますが、アミノ酸が足りてないと思います。
河内
何かが不足というより、全体の栄養が足りていませんね。
“KAIZEN” Point:人間ドックの結果に“チッ”、 一番嫌いな“歩き”を開始。
「嫌いだけど仕方ないのよ」(スー)
パーカ11,000円、パンツ8,990円、スニーカー19,800円、以上Reebok、問い合わせ:Reebok HP:https://reebok.jp/。
ジェーン・スーさんの運動は、普段の移動。週5日、1日のトータルで1~1.5時間を歩くようにしている。それまでのタクシー移動を、ウォーキングに変えた理由は、人間ドックの血液検査の数値。「数字に出たら、不健康ということ。改善するしかない、人生最大の舌打ちですよ。チッ」と一念発起。この春に見事、全ての数値を基準値内に収めたのだとか。 「ウォーキングの成果は、続けると歩くことが苦じゃなくなること」。酷暑の撮影当日も、電車と歩きでスタジオへご到着。
必須アミノ酸それ自体が、いわば、生活必需品!?
スー
40~50代の女性のなかには、お肉などのタンパク質をあまり摂っていない人も少なくありません。私たちにとって必須アミノ酸は、日々を維持するギリギリのラインを繫ぎ留める生活必需品だと感じています。
河内
アミノ酸にはまだまだ未知の機能がありそうです。今後の研究に期待してください。
スー
大人って、休んだ方がいいって分かっていても、頑張らないといけない時があります。一方で、たいして働いてないのにすごく疲れていたり、つじつまの合わないことが頻繁に起こります。更年期もあり、きつくなる年代です。アミノ酸には、補助輪の役割を期待して、これからも頼っていきたいと思っています。
河内
食事を摂ったうえで、プラスαとしてアミノ酸を使うのは、まさに理想的な活用の仕方です。
スー
令和のおばさんは、アメちゃんの代わりにアミノ酸を持っているんです。昔は糖質でしたが、現代はアミノ酸。〝疲れているんでしょ〟って友達にもあげています。
河内
スーさんに、通販での購入履歴を見せてもらったのですが、中身的にもアスリート以上でした。
スー
こんなにアミノ酸をベタ褒めしていますが、味の素(株)さんから時折いただくことはあっても、それ以上に購入しています。アミノ酸は、中高年の女性への誕生日プレゼントに、仕事場への差し入れにも最適です。何より、いつでも手軽に摂れますし、かさばりませんし、日持ちもしますから。
「アメちゃん代わりに、アミノ酸」(スー) 「カラダの疲労感にも関係していますよ」(河内)
アミノ酸は、味を決める!
味の素(株)の歴史は、おいしさの追求から始まる。グルタミン酸やアスパラギン酸にはうま味や酸味があり、甘味や苦味を持つアミノ酸もある。さまざまなアミノ酸の組み合わせが、食べ物の味を決め、多様な機能を生む。
教えてくれた人
ジェーン・スー/作詞家、コラムニスト。TBSラジオのPodcast番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』などを通じてアミノ酸の“伝道”を行い、この夏3400人を集めた大運動会(!?)を横浜にて敢行。
河内未土(かわち・みと)/味の素(株)バイオ&ファインケミカル統括部。品質保証グループマネージャーにして、Podcast番組『OVER THE SUN』のヘビーリスナー。元ラクロス日本代表でもある、食とアミノ酸を通じたスポーツ栄養の“真の伝道者”。
※味の素(株)はJOC・JPCオフィシャルスポンサー(調味料、乾燥スープ、栄養補助食品、冷凍食品、コーヒー豆)です。
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