【手作り筋膜ローラーで実践】たるみ・むくみに効く筋膜リリース+ストレッチ。
「第三の骨格」とも言われる筋膜同士が癒着していると、たるみやむくみが生じる原因に。凝り固まってしまった筋膜は、筋膜ローラーで「リリース」し、ネットワークに沿って「ストレッチ」してあげよう。筋膜ローラーがなくてもOK。今回は家庭でも簡単に用意できる材料を使って、自家製筋膜ローラーの作り方も解説する。
取材・文/井上健二 撮影/幸喜ひかり、園山友基 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/村田真弓 監修/滝澤幸一(ソル・エ・マーレ鍼灸治療院院長)
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売
教えてくれた人
滝澤幸一(たきざわ・こういち)/ソル・エ・マーレ鍼灸治療院院長。鍼灸師。筋膜治療のパイオニアとして、これまで13年以上にわたり延べ2万人以上の治療実績を誇る。日本オリンピック委員会強化スタッフも歴任。
目次
筋膜の癒着を剝がし、快適なカラダへ導く。
筋肉、骨に次ぐ「第3の骨格」が筋膜。筋肉だけではなく皮膚、骨、血管、内臓などを包み、全身にネットワークを広げており、たるみにもむくみにも深く関わる。
「筋膜同士が癒着すると、筋肉の滑走性が悪くなり、筋肉を動かしづらくなるので、たるみやすくなります。また、筋膜のなかでも皮膚の浅いところを走っている“浅筋膜”は、代謝産物を一時的に貯めるスペースになっていますから、そこが癒着すると代謝産物が滞留してむくみが生じるのです」(滝澤幸一さん)
癒着した筋膜は、ローラーでリリース。滑走性を回復させてから、筋膜をネットワークに沿ってストレッチ。これでたるみ&むくみの解消が一段と促される。
表皮の奥にある浅筋膜には、代謝産物をプールする働きがある。ローラーも駆使しながら、筋膜の機能を整えよう。
自家製ローラーの作り方
市販の筋膜ローラーがなくても、セルフで手軽に準備できる。食品用ラップの芯をフェイスタオルで包んで硬く巻き、解けないように輪ゴムで数か所留めて固定する。直径8cm前後が理想。エクササイズの途中でローラーが緩んできたら、そのたびに硬く巻き直そう。
【胸】のたるみ・むくみを解消するリリース+ストレッチ。
胸は、首の前側から腕の前側までを覆う「アームネット」という筋膜の連なりに属する。そこで腕と首をローラーでリリースし、動きやすくする。その後壁に手をついて胸をストレッチ。たるみ・むくみを取る。すると首こりや猫背もリセットできる。
1.腕のリリース(左右各3〜5呼吸)
1.床でうつ伏せになり、右脇の下にローラーを縦に置く。2.右腕はまっすぐ横に伸ばし、手のひらを床に向ける。3.左腕は体側で伸ばす。4.両脚は腰幅でまっすぐ伸ばす。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.ローラーが脇の下に沈み込み、胸が緩むことを感じる。7.左右を変えて同様に行う。
2.首のリリース(左右各3〜5呼吸)
1.右側を下にして床で横になる。右側の首の下にローラーを横に当てる。2.右腕を斜め下に伸ばし、手のひらを床に向ける。3.左腕は体側で伸ばす。4.両脚をまっすぐ伸ばす。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.ローラーが首すじに沈み込み、首が緩むことを感じる。7.左右を変えて同様に行う。
3.胸のストレッチ(左右各3〜5呼吸)
1.壁に右側を向けてまっすぐ立ち、右手のひらを腰の高さで壁につける。2.右腕をしっかり伸ばす。3.左腕は体側で下げる。4.カラダを左へ捻り、耳と肩を近づけるように頭を左へ倒し、胸をストレッチ。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。
【腹】のたるみ&むくみを解消するリリース+ストレッチ。
下半身からお腹まで、カラダの前面にはその名も「フロントネット」という筋膜ネットワークがある。腹部のたるみ&むくみを取るなら、フロントネットにアプローチ。お腹と股関節をローラーでリリースし、仕上げに下半身からお腹まで連なるフロントネットをストレッチ。
1.股関節のリリース(左右各3〜5呼吸)
1.床でうつ伏せになり、右の腰骨の下あたりにローラーを横に置く。2.左膝は曲げる。3.両手を重ね、額を乗せる。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.ローラーが右脚の付け根に沈み込み、股関節が緩む。6.左右を変えて同様に行う。
2.腹のリリース(3〜5呼吸)
1.床でうつ伏せになり、へその下あたりにローラーを横に置く。2.両腕を重ね、額を乗せる。3.両脚は腰幅でまっすぐ伸ばす。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.ローラーがお腹に沈み込み、お腹が緩む。
3.腹のストレッチ(左右各3〜5呼吸)
1.右膝を床について膝立ちになり、右膝から下を床に伸ばす。2.左膝は90度程度に曲げる。3.両腕を天井へまっすぐ伸ばして両手を重ねる。4.骨盤を前に押し出しながら、上体を反らしてお腹をストレッチ。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。
【手・腕】のたるみ&むくみを解消するリリース+ストレッチ。
上腕後ろ側にたるみ・むくみがある人は「インナーネット」と呼ばれる筋膜ネットワークが乱れている。これは腕〜体幹〜脚がクロスするようにつながるもの。お腹と股関節をローラーでリリースし、インナーネットのクロスラインをイメージしながらストレッチで緩めよう。
1.脇の下のリリース(左右各3〜5呼吸)
1.床で左側を下にして横になる。左脇の下にローラー(35ページ参照)を横に置く。2.左腕はまっすぐ上に伸ばし、手のひらを床に向ける。3.右腕は体側に添える。4.両脚は重ねてまっすぐ伸ばす。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。6.ローラーが脇の下に沈み込み、上腕後ろ側が緩むことを感じる。7.左右を変えて同様に。
2.上腕後ろ側のリリース(左右各3〜5呼吸)
1.椅子の前に坐り、左腕を座面に置く。2.左腕を伸ばして前腕の下にローラーを横に置く。3.左手の指先を肩の方へ返し、その指先を右手で持つ。4.右手で左手の指先を手前に引っ張り、左側の前腕から上腕までストレッチする。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。
3.上腕後ろ側のストレッチ(左右各3〜5呼吸)
1.まっすぐ立ち、左肘を頭の後ろに上げて曲げる。右手で左手を摑む。2.左脚を右脚の後ろにクロスさせる。3.右手で左手を右斜め下に引っ張りながら、上体を右側へ倒して、左側の上腕後ろ側をストレッチ。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.左右を変えて同様に。
【背中】のたるみ&むくみを解消するリリース+ストレッチ。
カラダには足裏から後頭部までシームレスに連なる筋膜ネットがある。それが「バックネット」。背中もその一部だから、たるみ・むくみの解消にはバックネットを整えるのが近道だ。背中を上部と下部に分けてリリースしたら、最後にバックネット全体をストレッチで緩める。
1.上背部のリリース(3〜5呼吸)
1.仰向けで肩甲骨のいちばん下にローラーを横に置く。2.反対の肩を抱くように両腕をクロスさせる。3.両膝を曲げて揃えて立てる。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.ローラーが肩甲骨に沈み込み、背中が緩むことを感じる。
2.腰背部のリリース(3〜5呼吸)
1.床で仰向けになり、骨盤の少し上にローラーを横に置く。2.バンザイをするように両腕を肩幅で床に伸ばす。3.両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。5.ローラーが腰に沈み込み、背中が緩むことを感じる。
3.背中のストレッチ(3〜5呼吸)
1.床に正座をして坐り、太腿にクッションを乗せる。2.両手を頭の後ろで組み、両手で頭を倒しながらクッションを押し潰すように上体を丸めて前傾させて、背中をストレッチする。3.お尻を踵から浮かせないこと。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。
【脚&足】のたるみ&むくみを解消するリリース+ストレッチ。
脚でたるみ&むくみが生じやすいのは後ろ側。脚の後ろ側は「バックネット」という筋膜ネットワークに含まれるから、その連なりに沿ってケアする。背中と脚の後ろ側はともにバックネットに属し、筋膜で繫がる。背中もケアすると脚は一層スッキリしやすい。
1.太腿後ろ側のリリース(左右各3~5呼吸)
1.床で仰向けになり、左膝を90度曲げ、太腿後ろ側にローラーを横に置く。2.右脚はまっすぐ伸ばす。3.両腕はY字に広げ、手のひらを天井に向ける。4.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.ローラーが太腿後ろ側に沈み込み、太腿が緩むことを感じる。6.左右を変えて同様に行う。
2.ふくらはぎのリリース(左右各3~5呼吸)
1.床に坐り、両脚をまっすぐ伸ばす。2.左脚のふくらはぎの下にローラーを横に置く。3.両手を後ろについて上体を軽く後傾。4.右脚を左脚にクロスさせて乗せる。5.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.ローラーが左脚のふくらはぎに沈み込み、ふくらはぎが緩むことを感じる。7.左右を変えて同様に。
3:太腿後ろ側のストレッチ(3~5呼吸)
1.床に坐り、両脚を腰幅で伸ばす。2.両手で爪先を摑み、無理のない範囲で膝を徐々に伸ばし、太腿後ろ側をストレッチ。3.脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。