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「第三の骨格」とも言われる筋膜同士が癒着していると、たるみやむくみが生じる原因に。凝り固まってしまった筋膜は、筋膜ローラーで「リリース」し、ネットワークに沿って「ストレッチ」してあげよう。筋膜ローラーがなくてもOK。今回は家庭でも簡単に用意できる材料を使って、自家製筋膜ローラーの作り方も解説する。
滝澤幸一(たきざわ・こういち)/ソル・エ・マーレ鍼灸治療院院長。鍼灸師。筋膜治療のパイオニアとして、これまで13年以上にわたり延べ2万人以上の治療実績を誇る。日本オリンピック委員会強化スタッフも歴任。
目次
筋肉、骨に次ぐ「第3の骨格」が筋膜。筋肉だけではなく皮膚、骨、血管、内臓などを包み、全身にネットワークを広げており、たるみにもむくみにも深く関わる。
「筋膜同士が癒着すると、筋肉の滑走性が悪くなり、筋肉を動かしづらくなるので、たるみやすくなります。また、筋膜のなかでも皮膚の浅いところを走っている“浅筋膜”は、代謝産物を一時的に貯めるスペースになっていますから、そこが癒着すると代謝産物が滞留してむくみが生じるのです」(滝澤幸一さん)
癒着した筋膜は、ローラーでリリース。滑走性を回復させてから、筋膜をネットワークに沿ってストレッチ。これでたるみ&むくみの解消が一段と促される。
表皮の奥にある浅筋膜には、代謝産物をプールする働きがある。ローラーも駆使しながら、筋膜の機能を整えよう。
市販の筋膜ローラーがなくても、セルフで手軽に準備できる。食品用ラップの芯をフェイスタオルで包んで硬く巻き、解けないように輪ゴムで数か所留めて固定する。直径8cm前後が理想。エクササイズの途中でローラーが緩んできたら、そのたびに硬く巻き直そう。
胸は、首の前側から腕の前側までを覆う「アームネット」という筋膜の連なりに属する。そこで腕と首をローラーでリリースし、動きやすくする。その後壁に手をついて胸をストレッチ。たるみ・むくみを取る。すると首こりや猫背もリセットできる。
❶床でうつ伏せになり、右脇の下にローラーを縦に置く。❷右腕はまっすぐ横に伸ばし、手のひらを床に向ける。❸左腕は体側で伸ばす。❹両脚は腰幅でまっすぐ伸ばす。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻ローラーが脇の下に沈み込み、胸が緩むことを感じる。❼左右を変えて同様に行う。
❶右側を下にして床で横になる。右側の首の下にローラーを横に当てる。❷右腕を斜め下に伸ばし、手のひらを床に向ける。❸左腕は体側で伸ばす。❹両脚をまっすぐ伸ばす。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻ローラーが首すじに沈み込み、首が緩むことを感じる。❼左右を変えて同様に行う。
❶壁に右側を向けてまっすぐ立ち、右手のひらを腰の高さで壁につける。❷右腕をしっかり伸ばす。❸左腕は体側で下げる。❹カラダを左へ捻り、耳と肩を近づけるように頭を左へ倒し、胸をストレッチ。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻左右を変えて同様に行う。
下半身からお腹まで、カラダの前面にはその名も「フロントネット」という筋膜ネットワークがある。腹部のたるみ&むくみを取るなら、フロントネットにアプローチ。お腹と股関節をローラーでリリースし、仕上げに下半身からお腹まで連なるフロントネットをストレッチ。
❶床でうつ伏せになり、右の腰骨の下あたりにローラーを横に置く。❷左膝は曲げる。❸両手を重ね、額を乗せる。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❺ローラーが右脚の付け根に沈み込み、股関節が緩む。❻左右を変えて同様に行う。
❶床でうつ伏せになり、へその下あたりにローラーを横に置く。❷両腕を重ね、額を乗せる。❸両脚は腰幅でまっすぐ伸ばす。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❺ローラーがお腹に沈み込み、お腹が緩む。
❶右膝を床について膝立ちになり、右膝から下を床に伸ばす。❷左膝は90度程度に曲げる。❸両腕を天井へまっすぐ伸ばして両手を重ねる。❹骨盤を前に押し出しながら、上体を反らしてお腹をストレッチ。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻左右を変えて同様に行う。
上腕後ろ側にたるみ・むくみがある人は「インナーネット」と呼ばれる筋膜ネットワークが乱れている。これは腕〜体幹〜脚がクロスするようにつながるもの。お腹と股関節をローラーでリリースし、インナーネットのクロスラインをイメージしながらストレッチで緩めよう。
❶床で左側を下にして横になる。左脇の下にローラー(35ページ参照)を横に置く。❷左腕はまっすぐ上に伸ばし、手のひらを床に向ける。❸右腕は体側に添える。❹両脚は重ねてまっすぐ伸ばす。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。❻ローラーが脇の下に沈み込み、上腕後ろ側が緩むことを感じる。❼左右を変えて同様に。
❶椅子の前に坐り、左腕を座面に置く。❷左腕を伸ばして前腕の下にローラーを横に置く。❸左手の指先を肩の方へ返し、その指先を右手で持つ。❹右手で左手の指先を手前に引っ張り、左側の前腕から上腕までストレッチする。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻左右を変えて同様に行う。
❶まっすぐ立ち、左肘を頭の後ろに上げて曲げる。右手で左手を摑む。❷左脚を右脚の後ろにクロスさせる。❸右手で左手を右斜め下に引っ張りながら、上体を右側へ倒して、左側の上腕後ろ側をストレッチ。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❺左右を変えて同様に。
カラダには足裏から後頭部までシームレスに連なる筋膜ネットがある。それが「バックネット」。背中もその一部だから、たるみ・むくみの解消にはバックネットを整えるのが近道だ。背中を上部と下部に分けてリリースしたら、最後にバックネット全体をストレッチで緩める。
❶仰向けで肩甲骨のいちばん下にローラーを横に置く。❷反対の肩を抱くように両腕をクロスさせる。❸両膝を曲げて揃えて立てる。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❺ローラーが肩甲骨に沈み込み、背中が緩むことを感じる。
❶床で仰向けになり、骨盤の少し上にローラーを横に置く。❷バンザイをするように両腕を肩幅で床に伸ばす。❸両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。❺ローラーが腰に沈み込み、背中が緩むことを感じる。
❶床に正座をして坐り、太腿にクッションを乗せる。❷両手を頭の後ろで組み、両手で頭を倒しながらクッションを押し潰すように上体を丸めて前傾させて、背中をストレッチする。❸お尻を踵から浮かせないこと。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。
脚でたるみ&むくみが生じやすいのは後ろ側。脚の後ろ側は「バックネット」という筋膜ネットワークに含まれるから、その連なりに沿ってケアする。背中と脚の後ろ側はともにバックネットに属し、筋膜で繫がる。背中もケアすると脚は一層スッキリしやすい。
❶床で仰向けになり、左膝を90度曲げ、太腿後ろ側にローラーを横に置く。❷右脚はまっすぐ伸ばす。❸両腕はY字に広げ、手のひらを天井に向ける。❹脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❺ローラーが太腿後ろ側に沈み込み、太腿が緩むことを感じる。❻左右を変えて同様に行う。
❶床に坐り、両脚をまっすぐ伸ばす。❷左脚のふくらはぎの下にローラーを横に置く。❸両手を後ろについて上体を軽く後傾。❹右脚を左脚にクロスさせて乗せる。❺脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。❻ローラーが左脚のふくらはぎに沈み込み、ふくらはぎが緩むことを感じる。❼左右を変えて同様に。
❶床に坐り、両脚を腰幅で伸ばす。❷両手で爪先を摑み、無理のない範囲で膝を徐々に伸ばし、太腿後ろ側をストレッチ。❸脱力し、鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。
取材・文/井上健二 撮影/幸喜ひかり、園山友基 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/村田真弓 監修/滝澤幸一(ソル・エ・マーレ鍼灸治療院院長)
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売