【お悩み別】顔と首のたるみを撃退する12のリフトアップ整筋。
見た目年齢に大きく響くのが、顔・首のたるみ。ボディをいくら引き締めても、顔・首がたるんで下垂していたら残念すぎる。ボディと同じく、顔・首を整えてくれるのは筋肉だ。それぞれの筋肉の役割と連なりを踏まえつつ、「部位別」にリフトアップ整筋でアプローチしていこう。
取材・文/井上健二 撮影/幸喜ひかり、園山友基 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/村田真弓 イラストレーション/モリタクマ、山口正児
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売
村木宏衣さん
教えてくれた人
むらき・ひろい エステティシャン、メディカルエステティシャンとして30年以上のキャリアを誇る。長年の経験でオリジナルの美容メソッドを確立。その技能は美容誌などで「美のスペシャリスト」と高く評価される。
目次
表情筋の弾力を高め、たるみを引き上げる。
何より気になる顔のたるみは、肌の張りを促す化粧品などに頼るだけではなくならない。なぜなら、たるみをもたらす真犯人は、皮膚の奥を走る表情筋だから。
顔の表面はタイプの異なる多数の表情筋で覆われる。表情筋の走行と役割を踏まえて行うからリフトアップ整筋は効き目抜群なのだ。
「筋肉は使わないと伸びたままで硬くなり、使いすぎると縮んだままで硬くなります。表情筋を整えて本来の弾力が取り戻せたら、顔のたるみを引き締め、引き上げるきっかけが得られます。それが、私が提案しているリフトアップ整筋です」(エイジングデザイナーの村木宏衣さん)
リフトアップ整筋で表情筋の弾力が鮮やかに復活すると、その伸縮で停滞していた血液やリンパの流れも良くなり、たるみと同時にむくみも取れやすくなる。
【お悩み1】フェイスラインがたるんできた。
耳の耳介筋は顔・首の多くの筋肉とつながるジャンクション。耳の後ろにはリンパ節、ツボ、反射区が集まり、心臓から顔・首へ向かう血管が通る。耳をほぐすと血液とリンパの流れが促され、たるみが消えてフェイスラインが整ってくる。
ターゲット:胸鎖乳突筋、耳介筋、後頭筋、側頭筋
1:右手の親指と人差し指で、右耳の中央の根元を後ろから挟み、餃子を作るように折り畳む。2:耳を持ったまま、前回しを10回、後ろ回しを10回。3:人差し指を耳の上部、親指を耳の真ん中に当てて折り畳み、同じように回す。4:耳たぶに親指、人差し指を耳の真ん中に当てて折り畳み、同じように回す。5:以上、左右を変えて同様に行う。
【お悩み2】口角が下がってしまう。
緊張すると無意識に歯を食いしばり、口まわりがこわばる。なかでも食べ物を咀嚼する際に働く咬筋が緊張すると、口角が下がり、口まわりがたるんで老けて見える。咬筋を指で捉えて口を開け閉めして緊張をオフ。口角をグイと上げよう。
ターゲット:咬筋
1:左手の親指を、右側の頰骨の下に押し当てる。2:他の4指は軽く握り、人差し指の側面をエラ骨に引っ掛けて固定。3:両側から咬筋をしっかり押さえたまま、「あ」で口を大きく開き、「ぐ」で口を閉じる(声は出さなくていい)。これを6回。4:咬筋の走行に沿い、頰骨とエラ骨の間で「あぐ」を6回、エラ骨の上で「あぐ」を6回。5:以上、左右を変えて同様に行う。
【お悩み3】頰がたるんでブルドッグ状態に。
顎の動きが悪くなると口角が下がり、頰が引っ張られて下垂する。頰骨を持ち上げて、頰を引き上げるうえで重要な役割を担うこめかみの側頭筋の弾力を取り戻そう。これで、年齢を感じさせるほうれい線の深いシワも目立たなくできる。
ターゲット:大頰骨筋、小頰骨筋、上唇挙筋、側頭筋
【お悩み4】二重顎とオサラバしたい。
二重顎になると見た目年齢は一気に老ける。二重顎の引き金は顎下の舌骨筋群の衰え。舌骨筋群は、英語の巻き舌のように舌を動かすときによく使われる。舌骨筋群を押さえて刺激したまま、「らりるれろ」を巻き舌風に発音して鍛えよう。
ターゲット:舌骨筋群
1:人差し指を鉤形に曲げ、第1関節と第2関節の平らな面を作る。2:顎から2cmほど内側に、平らな面を押し当てる。3:下から押し上げて圧力をかけたまま、英語の巻き舌のように「らりるれろ」と大きく口を動かす(声を出す必要はない)。これを5セット。
【お悩み5】目の下のクマとたるみが目立つ。
眉頭など顔の中央部は筋肉の動きが少ないため、血液やリンパが滞留してクマの誘因に。指で筋肉の動きを引き出し、クマを解消しよう。また目のまわりの眼輪筋が衰え、下瞼が使えなくなると目の下がたるむ。下瞼の動きを引き出すプチ筋トレを。
ターゲット:眼輪筋、鼻筋
1:左手の親指を、左側の目頭の凹みに引っかける。2:人差し指と中指を額に添えて、頭の骨を固定。3:右手の親指と中指で鼻の根元(メガネのパッドが掛かるところ)の骨を押さえる。4:右手のひらの小指の側のふくらみ(小指球)を顎につけて固定。5:左手で上へ、右手で下へ引っ張り合う。6:そのまま「うんうん」と上下に2回、「いやいや」と左右に2回首を振る。これを3セット。7:左右を変えて同様に行う。
ターゲット:眼輪筋
1:右手の人差し指と中指を揃え、指先で右側の眉山のすぐ下を軽く押さえる。2:顔は正面に向けておく。3:上瞼を固定したまま、左手の人差し指と中指を揃えて、右側の下瞼を軽く押さえる。4:眩しい光を見て目を閉じるように、下瞼だけを引き上げる。これを10回。5:左右を変えて同様に行う。
【お悩み6】ゴルゴライン・マリオネットラインが際立つ。
目頭から斜めに垂れ下がる「ゴルゴライン」や、口角から顎に向かって延びる「マリオネットライン」が刻まれてしまうのも、顔の筋肉が弱くなって硬直化するのが一因だ。顔の筋肉を念入りにほぐしてから、口を大きく動かして活性化したい。
ターゲット:大頰骨筋、小頰骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋
1:小鼻の脇に左右から人差し指の第1関節を添える。2:人差し指を骨に押し当てるように2cmほど左右に5回スライドさせる。3:目頭まで下から上へ3か所ほぐす。4:人差し指を当てる場所を少し外側にズラしながら下から上へ、同様に3列ほぐす。
ターゲット:大頰骨筋、小頰骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋
1:両手の人差し指と中指を揃えて、小鼻の真横に押し当てて筋肉を捉える。2:指先で筋肉の伸び縮みを感じながら、「え・お、え・お」と10回繰り返す(声を出す必要はない)。3:目頭まで下から上へ3か所ほぐす。4:人差し指を当てる場所を少し外側にズラしながら下から上へ、同様に3列ほぐす。
【お悩み7】鼻の下が伸びてダラシない。
口元の筋肉が緩むと鼻下が伸びてダラシない印象に。またストレスなどで呼吸が浅くなり、口呼吸が習慣になると鼻の筋肉まで緩み、鼻下はさらに伸びる。唇を引き上げる上唇挙筋、口まわりの口輪筋を整えたい。口呼吸もやめて本来の鼻呼吸に。
ターゲット:上唇挙筋、口輪筋
1:鼻から息を吸い、左右の小鼻を寄せる。2:唇を突き出して「う」の形にする。3:呼吸をしながら、「う」の形を保ったまま、できるだけ大きな円を描くように時計回りに10回、反時計回りに10回。
【お悩み8】顎下ラインをスッキリさせたい。
太っていないのに、顎下がたるんでいるとしたら、顎下の「顎下リンパ節」に問題アリかも。ここの働きが落ちるとリンパが滞るため、たるみ&むくみが生じやすくなる。指で顎下リンパ節を刺激して、顎の筋肉を動かしてリンパを押し流そう。
ターゲット:広頸筋
1:人差し指を鉤形に曲げ、第1関節と第2関節の平らな面を作る。2:顎から2cmほど内側にある骨の際で、顎の中心から1cmほど外側に平らな面を押し当てる。3:下から押し上げて圧力をかけたまま、「あ」で口を大きく開け、「ぐ」で口を閉じる(声を出す必要はない)。これを5セット。4:エラに沿って6か所に分けて指をズラしながら行う。5:左右を変えて同様に行う。
【お悩み9】首すじの「老け」感から脱却したい。
首まわりでもっとも大きく大切な筋肉が胸鎖乳突筋。鎖骨と胸骨から、耳の後ろの頭蓋骨へ延び、頭を支えて自在に動かす。前屈みの姿勢が続くと衰えて硬くなり、たるみを引き起こす。下から上まで計5か所に分け胸鎖乳突筋を入念に緩めてやりたい。
ターゲット:胸鎖乳突筋
1:右手の親指を、鎖骨の中心を通る胸鎖乳突筋に押し当てる。2:それ以外の4指は首の後ろの骨の出っ張りに押し当てる。3:親指と4指で首すじを挟んで押さえたまま、首を「うんうん」と上下に5回動かす。4:続いて首を「いやいや」と左右に5回動かす。③〜④を2セット。5:鎖骨の中心から耳たぶの真下まで、胸鎖乳突筋の走行に沿って5か所ほどで同じように行う。6:左右を変えて同様に行う。
【お悩み10】デコルテラインを若々しく保ちたい。
デコルテの胸鎖乳突筋、斜角筋群が弱体化するとリンパの流れが悪くなり、たるみが生じやすい。胸鎖乳突筋、斜角筋群をほぐしてリンパの流れを良くすると、たるみだけでなくむくみも取れてくる。同時に老廃物が流れて首こりや肩こりも軽快。
ターゲット:胸鎖乳突筋、斜角筋群
1:左手の人差し指と中指を揃えて、右側の鎖骨のもっとも内側にある凹みに添える。2:首を右下に傾け、左手の人差し指と中指をやや強めに押し込み、左右に2cmほどスライドさせて緩める。これを5回。3:鎖骨の内側から外側まで4か所に分けて同様に行う。4:2〜3でもっとも凝りや痛みがある場所を、人差し指と中指を揃えて押さえる。首を「うんうん」と上下に5回動かす。5:続いて首を「いやいや」と左右に5回動かす。以上を2セット。6:左右を変えて同様に行う。
【お悩み11】首の前側のたるみをリセットしたい。
首のたるみをリセットする鍵は耳まわりにある。耳の耳介筋は首の筋肉と連なり、リンパや血液の滞りをスッキリさせてたるみを取ってくれる。耳をほぐすたびに首の可動域が広がるのは、耳介筋を介して首の胸鎖乳突筋が緩んできた証拠だ。
ターゲット:上・前・後耳介筋、胸鎖乳突筋
1:肩越しに後ろを振り返るように、首を右側に回す。 2:限界まで首を回したら、左手で頭の上から右耳を持つ。3:持つ場所を変えながら、右耳を放射状に10秒間広げる。4:再び首を限界まで右側に回したら、同じように右耳を放射状に10秒間広げる。これをもう1回同じように行う。5:以上を3セット。6:左右を変えて同様に行う。
【お悩み12】首の後ろ側を柔らかくしたい。
目薬をさすときのように、頭を後ろに倒すと違和感があるなら、後頭部の頭板状筋はガチガチだ。頭板状筋はデスクワークなどで前屈みの姿勢が続くと、引き伸ばされた状態で弱く硬くなる。柔軟性と活力を復活させて、首の後ろを引き締めて。
ターゲット:頭板状筋
1:首すじの後ろの骨を左右の手でしっかり摑む。2:顎を軽く上げ、首を「うんうん」と上下に小さく10回動かす。3:「いやいや」と左右に小さく10回動かす。