15,000kmを走って一時帰国。ただいま、5大陸走破の旅、進行中!

5大陸をお遍路スタイルで走破する。そんな個人プロジェクトに挑む猛者にインタビュー!

取材・文/鈴木一朗 撮影/中西祐介 写真提供/いいのわたる応援事務局

初出『Tarzan』No.878・2024年4月18日発売

5大陸走破 いいのわたるさん

シューズは当然ながら、ボロボロ

5大陸走破 いいのわたるさん

このシューズは実は2足目。それでも、この履きつぶした感。過酷さを物語っている。

北米、南米、ユーラシア、オーストラリア、アフリカ。この5大陸をお遍路スタイルで自らの脚のみで駆け抜けようとしているのが、ウルトラランナーのいいのわたるさんだ。第1弾は昨年6月から今年3月、アラスカからパナマ運河まで約1万5000kmを走り切った。

北アメリカ大陸 走行ルート

5大陸走破 いいのわたるさん

いいのわたるさん/ランニングは社会人になってから始めたというから驚き。『Crossing Switzerland Ultra Trail』(390km・スイス)で2022年に優勝するなど、国際的なウルトラ系レースで数々の勝利を挙げている。

「週に6日、毎日70kmを走るというのがルーティン。ただ淡々と走っていたという旅でしたね」

と簡単に言うが、伴走は食料などを積んだ車一台。それもいいのさんが用意した。スポンサーを見つけ、クラウドファンディングで寄付を募る、いわば手作りの旅。だからとんでもないことも起こる。

5大陸走破 いいのわたるさん

「この挑戦は修行」とお遍路スタイル。

「通過しようとした国境が紛争で閉鎖されていて、50km離れたもうひとつの国境へ行けと言われたり、道があるはずなのに、突然崖が現れたり。国境の書類も手配したりして。全部、自分で処理するので、この部分は大変でした」

5大陸走破 いいのわたるさん

いろんな人と巡り合えたのも旅の収穫。

ただ、走ることでしか得られない貴重な体験もたくさんした。

「南へ走っていると、最初は1色だったのに3色、5色って色が増えていく。花の種類が増えるんです。それにいろんな人が“これ食べな”とか“家に泊まりな”とか優しくしてくれる。同じルートを車で走ったら、あっという間に過ぎてしまってこんなことは体験できない。あと4大陸、6~7年かけて完走します。願えば叶う、若い子たちにそう思ってもらえるように走り続けていきたいんです」

5大陸走破 いいのわたるさん

1日70kmを走ることがひとつの目安だ。

Trans Atlas Runningプロジェクト

世界5大陸、総走行距離約10万kmを走り抜く壮大なプロジェクト。5月からは南米大陸編がコロンビアからスタートする。プロジェクトの詳細は公式サイト(https://tabirun.run/world/)へ。活動を応援するクラウドファンディングはhttps://kibidango.com/2551へ。