コンディショニングのひみつ:コンディショニングの極意
連載「コンディショニングのひみつ」。最終回は、コンディショニングの極意を紹介する。
取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.876・2024年3月21日発売
なりたい目標を設定して正しい情報を手に入れよう。
運動のパフォーマンスを高めたい、カラダや心の不調を改善したい―。本連載ではここまで、こうした多種多様なニーズに応じたコンディショニングのハウツーをさまざまに紹介してきた。最終回は、その精度を高めるための極意ともいえる、情報収集のコツやマインドセッティングについて解説していこう。
健康や体力の向上などを目指して情報を求めるには、まず「こうなりたい」という目標がクリアであるほど成果が得やすい。そこから“いまの自分には何が必要か”“どんな計画を立てるべきか”などを具体的に洗い出すことができるからだ。
そして何より、これを実現するには個人の「ヘルスリテラシー」が不可欠。この概念は1990年代から近年にかけて急速に研究が進み、次のような定義がなされている。
「ヘルスリテラシーとは健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力。またそれによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、健康増進について判断したり、意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるものである」
ヘルスリテラシーを高めよう
世にあふれる健康情報を取捨選択する能力を身につけよう。信頼できる情報源を元に、科学的な論拠やエビデンスなどの確認を。
つまり簡単に言えば、“自分に合った正しい健康情報を探し、納得したうえで使える力”ということ。特に各種メディアが発達してインターネットが検索ツールとして広く普及した現在、巷にはさまざまな健康情報が氾濫している状況。玉石混淆ともいえる情報の信頼性を判断し、適切に取捨選択して活用できる能力=ヘルスリテラシーを高めることが、ますます重要になっているのだ。
そのためには、それぞれの情報における発信元や科学的な論拠、エビデンスなどを見極めたうえで実践することが必要。一方で、どんなものでもある程度は継続しないと最終的な効果は判断できない。新しいものを開拓してトライするフットワークの軽さと、またストイックになりすぎる必要はないけれど、焦らず続ける根気を持ちつつ、少しずつ結果を積み上げていくのが理想的な姿だ。
またヘルスリテラシーは個の力だけではなく、周囲の環境との相互作用によって形成されるとも考えられている。これが持続的な学習プロセスを生み出し、健康を維持するさまざまな要因を活性化する“健康生成論”という概念にもつながるのだ。
そしてヘルスリテラシーと健康生成論の両者に共通してあるのは、ストレスや困難な状況に直面しても、生まれ持った潜在的な力を発揮できるよう人生や生活をコントロールするという「エンパワーメント」という概念。
モチベーションUPのためにできること
「こうなりたい」という具体的な目標やビジョン、期間などを設定。ゲーム感覚のように楽しみながら実行能力を高めていこう。
例えば目標に向かう実行能力を高めるには、“こうなりたい”と周囲やSNSなどに宣言するのも有効だ。また仲間を作って、いい意味で競争して高め合ったり、達成したときのご褒美を設定するなど、ゲーム感覚で実践するのもいいだろう。
目標とするレースや記録、ダイエットなら具体的な数値や、あこがれの対象などを具体的にイメージできれば、あとは実行能力を高めるのみ。明確なビジョンを持って、楽しみながら継続していこう。
復習クイズ
答え:全て