ストレングス学園:トレーニングの極意

カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。最終回は、トレーニングの実践における最重要ポイントのひとつ、「評価」について考察しよう。

取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.876・2024年3月21日発売

ストレングス学園 トレーニングの極意

問1. トレーニングプログラムの評価をすべきタイミングはいつ?

  1. トレーニング前
  2. トレーニング中
  3. トレーニング後

トレーニングは、ただ漫然と行うだけでは十分な効果が得られない。そのため、最終的な目標を設定したり、効果的なトレーニングメニューを組み立てる根拠を得るために必要となるのが「評価」というプロセスだ。

その際に重要なチェック項目として挙げられるのが“カラダのアライメントが整っているか”ということ。つまり筋肉の一部が硬く張っていると、引っ張る力に前後・左右の偏りが生じてアンバランスな姿勢に。この状態でやみくもにトレーニングを続けても非効率なだけでなく、偏ったまま筋肉を増強することで、カラダの歪みをさらに助長してしまうのだ。

こうした力学的な負担はケガのリスクにもつながるため、トレーニングを行う際は、事前の評価によって筋肉のどこをリリースし、どこを積極的に強化するかを判断しておくことが重要だ。さらに見落としがちなのがトレーニング後。やりっ放しは愚の骨頂と心得て、筋肉が硬く張った部位をしっかりと見極めよう。そのうえでストレッチなどでリリースし、カラダに力学的な負担を残さないように心がけたい。よって問いの答えは①と③。

問2. オーバーヘッドディープスクワットによる評価の正解は?

  1. 膝と爪先が同一線上にある
  2. 大腿骨が床と平行より高い位置にある
  3. 横から見てバーが爪先より前にある

筋肉の動きをひとつとっても、人によってさまざまなクセや偏りがある。そこで硬くなったり弱くなったり、またバランスが悪くなった部位を把握し、カラダの動きをチェックするバロメーターとして考案されたのがFMS(Functional Movement Systems)という運動機能評価システムだ。

FMSには複数の種目があるが、なかでも代表的、かつその有効性で知られるのが「オーバーヘッドディープスクワット」。バーを頭上に持ち上げたバンザイの姿勢から深くしゃがみ、立つ・座るなどにも関連する基本動作の“質”や全身の“安定性”を評価するテストだ。

ここで求められるのは、足関節の背屈・股関節の屈曲・胸椎の伸展などの可動性。両腕を頭上にバンザイする分、通常のスクワットより胸郭まわりの可動性や、体幹部と肩甲帯の安定性も必要とされる。また、これらがスムーズかつ左右対称に行えるかどうかも判断基準に。

ストレングス学園 トレーニングの極意

両足は肩幅で立ち、爪先は正面に。肘が90度に曲がる位置でバーを持ち、頭上に押し上げて伸展させたら、踵をつけたまま深くしゃがんだポジションで評価する。

チェック項目としては“バーを真上にキープできる”“上体が前後に倒れない”“太腿が床と平行より低く下がる”“膝と爪先が正面から見て同一線上にある”といった点。よって問いの答えは①。

例えば具体的には、背中が丸くなる・反るなどの場合は胸椎だけでなく、股関節や足関節の可動制限や、体幹の筋力不足などの原因が考えられる。動かしづらい・グラグラするといった部位から、いまの自分に必要なものを見極めていこう。