【肝臓専門医が解説】楽しく、美味しく、二日酔いを避けるお酒の飲み方
健気に我々の健康を支えるべく尽くしてくれる肝臓。大事にしなくてはいけないとわかっているものの、お酒好きにとって我慢はストレスに…。そこで、いたわりながらいかに楽しく美味しく酒を楽しむか。肝臓専門医に楽しく、美味しく、残さないためにできる飲み方テクニックを教えてもらった。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/岡田成生 取材協力/浅部伸一(肝臓専門医、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授)
初出『Tarzan』No.870・2023年12月14日発売
飲む前にできること
- 前日のお酒は控える。
- 酢酸菌酵素サプリを飲む。
- 脂っこいおつまみを食べる。
「健康的に飲むためにはまずアルコール量のコントロールが第一です」
と言うのは自らもお酒を愛好する肝臓専門医の浅部伸一さん。
「二日酔いになるのは、その人にとって代謝できない量を飲んでいるから。飲む前には必ずおつまみを先に食べてアルコールの吸収を遅くして総量をセーブすることが重要」
胃内の滞留時間が長い脂肪を含む食材が最適だ。飲む前に飲むサプリとしては、アルコール代謝を促してくれる酢酸菌がおすすめ。ウコン系のドリンクは肝臓が弱っていると逆に肝障害を起こすこともあるので、飲酒習慣のある人は避けた方が無難である。もちろん、しっかり飲むと決めた日の前日は休肝日として肝臓を休ませてあげることも忘れずに。
飲んでいる時にできること
- 自分に合うお酒の種類を選ぶ。
- アルコール度数が高いお酒は割って飲む。
- ちゃんぽんをしない。
- お酒と同量の水を飲む。
- 残り時間30分でノンアルに切り替える。
ビール、日本酒経由で最後はウィスキー。こうなると、純アルコールをどれだけ摂取したかが分かりにくい。ちゃんぽんしたら悪酔いするのは結果的に量が増えるから。よってお酒は終始同じジャンルのものに徹する。
「日本酒やワインを飲むと頭が痛くなるという人がいますが、それにはお酒を造るときにできる“コンジナー”という副産物が関係している可能性も。以前、頭痛を経験したことのあるお酒は避けましょう」
一度に大量のアルコールをカラダに入れないために度数の高いお酒は割って飲む。さらにお酒と同量の水を摂取することも忘れずに。
「酔いが回ってきたらノンアルコールにするのも手。飲み会残り30分でガブ飲みすると二日酔い必至です」
飲んだ後にできること
- コンビニに寄り道せずまっすぐ帰る。
- 水分をたっぷり摂って寝る。
- ビタミンB群や少量の糖質を補給する。
2次会を終えて帰路につき、ちょっと飲み足りない気分になってコンビニに寄り道。ハイボール缶と乾き物を買って自宅でひとり3次会。それ、確実に余計な一杯。飲み足りないと感じるのは単なるノリ。すでに肝臓はオーバーワークなのでコンビニに寄らず帰宅して速やかに寝よう。
「寝る前にもアルコール代謝に必要な水分を必ず摂りましょう。とくにビール好きの人はたっぷりと。というのもアルコールだけでなくカリウムや水分の相乗効果で利尿作用が促されるので、他のお酒よりも脱水症状になりやすいからです」
さらに、ドリンクやサプリメントでアルコール代謝に必要なビタミンB群を補給して眠りにつけば完璧。翌日はスッキリ目覚められるはず。
それでも二日酔いになってしまったら
- スポーツドリンクを飲む。
- 入浴ではなくシャワーを浴びる。
- 迎え酒をしない。
- ひどいときは病院で点滴を受ける手もあり。
朝起きたら思いっきり頭が重くて気分が悪い。やってしまった二日酔いの朝。まずできることは水分補給。
「スポーツドリンクはミネラル補給にもなり、若干糖質を摂った方が楽になることもあるのでおすすめ。でも、前日のつまみで塩分は足りているはずなので真水でもOKです。ちなみに迎え酒は絶対NG。脳を麻痺させるので見かけ上は楽になりますが、苦痛を先に延ばすだけです」
続いて熱いシャワーを浴びよう。血行を促すことで体内に残っているアルコール分解の助けになる。ただし、浴槽の湯に浸かるのは厳禁。発汗で脱水が進み、血液ドロドロ状態に陥ってしまう。シャワーを浴びてもひどい症状が抜けなければ、病院で点滴を打ってもらう裏技もありだ。