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カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。これまで3回にわたって解説してきた「ピリオダイゼーション」の最終回。バリエーションに富んだ「非線形モデル」について解説する。
筋力トレーニングのピリオダイゼーション(期分け)では伝統的に、数週間~数か月にわたる中期的なメゾサイクルの強度を段階的に増加させる「線形モデル」が用いられてきた。
これに対し、メインとなるトレーニングの負荷と量を1日ごと、つまり週内または短期的なミクロサイクルの中で大きく変動させるのが「非線形モデル」と呼ばれるものだ。
上級レベルのスポーツ選手に向けた非線形モデルのイメージ。ピークに向けた移行は線形モデルと同様だが、強度やトレーニング量は高値の範囲内で変動も小さい。
特に上級レベルになると常に能力の限界近くでトレーニングを行うため、右肩上がりの線形モデルではさらなる適応の余地が少ない。また、特にシーズンが長いスポーツ選手が長期にわたってトレーニングを継続できるようにするため、これらのケースで非線形プログラムが用いられることが多いのだ。
よって問いの答えは①となる。
筋力アップにおいては両モデルの差を認めない研究報告もあるが、非線形モデルがより効果的という報告も支持される。理由として、トレーニング強度の継続的・一方向的な増大がなく、神経疲労の蓄積を抑えられることが挙げられるだろう。
ここからは非線形モデルによる筋力トレーニングの具体的な例を紹介しよう。
線形モデルも同様だが、まず開始前にごく低負荷・高回数の基礎トレーニングを4~6週間ほど実施し、適切なテクニックとその後に備えた基礎づくりをしておくことが望ましい。
さて、ピリオダイゼーションにおける最小単位は7日間(またはそれ以上)のミクロサイクルだが、このうち週3日のトレーニングを行う場合は、初日は高強度・低回数、2日目は低強度・高回数、3日目は中強度・中回数で行い、問いの答えは③となる。もし素早く爆発的な動きのトレーニングを行うなら、2・3日目の間にパワー日を設けるといいだろう。
ただし、非線形モデルでは日々のトレーニング強度が相対的に高いレベルにあり、より短期間でオーバートレーニングに陥る可能性がある。ミクロサイクルのトレーニング量や負荷は常に変化する非線形だとしても、中長期的な体力面での目標は線形モデルを意識するのが正解だ。
セット数 | 回数(目標) | 休息時間 | 設定負荷 | |
---|---|---|---|---|
高強度日 | 3〜4 | 3〜6回 | 3〜4分 | 85〜93% 1RM |
低強度日 | 2〜4 | 10〜15回 | 1〜2分 | 63〜75% 1RM |
パワー日 | 3〜4 | 2〜4回 | 2〜3分 | 30〜60% 1RM(パワーエクササイズ) 90〜100% 2〜4RM(コアエクササイズ) |
中強度日 | 2〜4 | 8〜10回 | 1〜2分 | 75〜80% 1RM |
パワー日は負荷と回数に2パターンある。素早い動きのパワーエクササイズの負荷は軽めで、メインとなるコアエクササイズは2~4RMとやや高強度に。
取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.870・2023年12月14日発売