40歳を過ぎたら“ストレスマネジメント”が必要になる4つの理由
人間、何歳になっても悩みは尽きない。それはたぶん真理だが、いわゆる“中年”になってストレスを感じることがまた増えたような。イライラしたり、沈んだり。そんな葛藤を抱えても無理はない状況が、現代の40代以降を取り巻いている。専門家が分析するストレス要因をチェックしていこう。
取材・文/門上奈央 撮影/中島慶子 取材協力/武神健之(産業医)、南舞(臨床心理士、ヨガ講師)
初出『Tarzan』No.859・2023年6月22日発売
目次
① 思ってるほど若くないと日々の体調で痛感するから
「心理学者のユングは人生を太陽の動きになぞらえ、40代を“人生の正午”としました。人生の折り返し地点でいわば分岐点です」(公認心理師兼臨床心理士、ヨガ講師としても活動する南舞さん)
当然フィジカルにも30代にはなかった兆しが。日本医師会認定産業医である武神健之先生は語る。
「40代にもなれば何らかのガタが来ます。慢性的な疲労や四十肩をはじめ、運動習慣があっても膝が痛む、すぐ肉離れするなどさまざま。そんな肉体の変化に直面すると、自分の年齢を自覚させられ戸惑ってしまうもの。
30代の頃より痩せにくくなったと感じる人も少なくないでしょう。加齢に伴い代謝が下がるためで、皮肉にも健康意識が高い人ほどストレスを感じやすいのです」
② 職場や家庭の人間関係がかつてなく複雑になるから
悲しいかな、図らずして人は環境から大なり小なり影響を受ける。
「働き世代の主なストレス要因は一日の大半を占める仕事です。会社員なら中間管理職になる年代ですが、部下を管理しながら上から振られる業務をこなし、板挟みに。フリーランスでも家族や自身の将来のためにより稼がなければと、金銭的なプレッシャーを強く感じている人が多いです」(武神さん)
“戦場”は職場にとどまらない。
「子がいれば大きくなるにつれ家族団欒の時間も減り、父親に求められる役割も変わります」
なかには親の介護が始まる人も。
「それでも夫婦関係が安定していればまだいいのですが、夫婦の数だけ悩みもあるもの」(南さん)
結果、居場所がないかの感覚に。
③ 性別関係なく“更年期”を迎える可能性が高いから
ホルモンに最も揺さぶられるのが40代と言っても過言ではない。
「ホルモンバランスの変調による更年期を性別問わず経験する人が少なくありません。ただし前提として、男性と女性では更年期の意味は少々異なるもの。
女性の更年期は卵巣機能低下に伴うエストロゲンを代表とする女性ホルモンの低下に起因します。
一方、男性の更年期は男性ホルモンのテストステロンの低下により生じます。行動性や社交性などにも関わるとされるホルモンなので、分泌量の減少が一因となり積極性がなくなる。ホルモンと聞くと性生活を連想する人もいますが、それだけでなく生活全般において元気がなくなる人も見られます」(武神さん)
単調な日々は深刻なストレスだ。
④ 勤務形態の変化で自分の生活が再び揺らぐから
「コロナ以前と比べると最近はカウンセリングに来院する男性も増えたような印象です」(南さん)
新たなフェーズに突入した今、かつてない種類のストレスが。
「企業によっては勤務形態にまた変動があったのでは。主に在宅勤務、出社勤務、ハイブリッド勤務がありますが、最終的にどの形態となるかは会社が決定するもの。つまり在宅勤務も会社が提供する福利厚生にすぎません。
でも人間は環境に順応するので、この3年間で在宅勤務の形を確立した結果、多くの人が在宅勤務を自分の“権利”と思うように。長年勤めてきた会社の方針と、自分が大切にしたいライフスタイルとの間にギャップがあれば、ストレスを溜めても無理はないです」(武神さん)