【対談】平松洋子さんは、なぜ“筋肉と脂肪の本”を書いたのか
エッセイストの平松洋子さんが『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』を上梓した。筋肉や脂肪への素朴な“なぜ”を一流の選手、コーチ、管理栄養士などに取材している。『ターザン』でもお馴染みの桑原弘樹さんとの対談で、その理由を語ってもらった。
取材・文/神舘和典 撮影/石原敦志
初出『Tarzan』No.853・2023年3月23日発売
『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』
筋肉と脂肪について解き明かすために、アスリート、コーチ、管理栄養士などを取材したルポルタージュ。疑問から疑問、謎から謎へとどこまでも追求していく神秘への旅のようにも読める。
なぜ、この身体能力が得られるのだろう
平松洋子さん
エッセイスト
ひらまつ・ようこ/1958年生まれ。2006年に『買えない味』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、12年に『野蛮な読書』で講談社エッセイ賞、22年に『父のビスコ』で読売文学賞を受賞。著書多数。
桑原弘樹さん
コンディショニングトレーナー
くわばら・ひろき 1961年生まれ。アスリートにコンディショニング情報を提供する桑原塾主宰。阪神タイガースのコンディショニングアドバイザー、グリコではサプリメント事業も立ち上げている。
スポーツの最前線で活躍するアスリートは何を考え、どんなトレーニングをしているのか、とても興味がありました。その取材で出会ったのが桑原さんです。
しかも、本質的なことをわかりやすく説明してくださる。
書くために大切なのも体力と精神力です
本のあとがきにも書きましたが、昨年12月から、私も真冬の朝のランニングを週に4、5回、朝5時前から5kmくらい走っています。折り返し地点ではストレッチやスクワットをやる。午後には同じ道を今度は歩いています。
でも、それはまだ日常ではなくて、家を出るときには、気合が必要です。
平松さんの本はルポなのにまるで物語を読むように、頭の中に入っていきました。スポーツにエリートがいるように、文章を書くエリートもいると知りました。
でも、そのオーバースペックや継続してがんばっている自信は、気持ちの余裕になります。その余裕が、周囲へのやさしさになる。そんなことも、読みながら考えました。