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日本中を熱狂させた2022年のサッカーワールドカップは、世界一競技人口の多いスポーツといわれるサッカーの人気と魅力を改めて知る機会になった。その裏で、密かな人気を集めているのが「テックボール」。プロサッカー選手も練習に取り入れているというテックボールとは? その魅力を日本チャンピオンの早稲さんに聞いた。
早稲昭範さん
「テックボール」は、2017年にハンガリーで元サッカー選手のガボール・ボルサニ氏と科学者のヴィクトール・フスパー氏によって発明された新しいスポーツ。同年に国際テックボール協会も日本テックボール協会も設立された。
卓球とサッカーを掛け合わせたような種目で、湾曲した縦3m、横1.5mのテーブルと、1個のボールを使ってプレイし、コートサイズは幅12m、長さ16m。
日本では、2017年に最初のテックテーブルが輸入されイベントを開催したのをきっかけに広まりつつある。そのおもしろさに魅了され、日本チャンピオンまで上り詰めたのが、早稲昭範さんだ。
「僕は元々プロサッカー選手を目指していたんですが、怪我のために断念せざるを得ませんでした。でも、どうしてもサッカーに携わる仕事をしたくて、リフティングのプロパフォーマーとして活動を始めました。
プロとして活動をするなかで、たくさんのイベントに参加したり、ギネス世界記録も更新しましたが、30代後半になったタイミングで次へのステップを考えるようになったんです。そこで出会ったのがテックボールでした」(早稲さん)
テックボールのルールはとてもシンプルで主なルールは、以下の6つです。
「当時の僕は、もちろんテックボールの初心者ではありますが、得意のリフティング技術があれば余裕だろうと思っていたんです。ところが、いざプレイしてみるとめちゃくちゃ難しくて(笑)」(早稲さん)
リフティングのギネス世界記録を保持していた早稲さんが思いもよらぬ苦戦を強いられたのは、やはりテックボールの真骨頂とも言えるテーブルの形状にあった。
「見ての通り、テックボールのテーブルは湾曲しています。それで、まず、大事なのがファーストタッチ。これを完璧にトラップ(テックボールではレシーブと呼ぶ)できないと次の動作にも攻撃にも移れないんです。
湾曲したテーブルだと、ボールの伸び方や強弱、左右すべてが読みにくいのでイレギュラーしたボールをいかに上手にレシーブできるかが勝負の鍵になります。
なので、サッカーの技術のなかでも特にトラップ技術が必要になりますね。言い方を変えればトラップ技術を磨くには最適なスポーツだと言えます」(早稲さん)
2022年12月には日本代表選手としてドイツでの世界大会に出場した早稲さん。ハンガリーを筆頭に、ルーマニア、セルビア、モンテネグロ、ポーランド、フランス、ブラジルが強豪国で約60か国が参加した。早稲さんは残念ながら怪我のため途中棄権となってしまったが、大会は大いに盛り上がったという。
「例えば、タイのセパタクローやブラジルのフリースタイルフットボールの選手たちが参加しているので、いわゆるサッカーカテゴリーの異種格闘技戦みたいな雰囲気があるんです。
ヨーロッパでは人気があるので、会場内も熱気があります。やはり、見た目にも分かりやすいですし、スピード感も力強さもありますから面白いんですよね。
ちなみに、テックボールを普及させるために、ロナウジーニョ、ヌーノ・ゴメス、ルイス・フィーゴ、カルレス・プジョルなどテックボール大使として有名プレイヤーが関わっているんですよ」(早稲さん)
日本国内では、現在40チーム約200人がプレイしているが、いざ国内大会で優勝を目指して本格的に取り組んでいる人はというと、数十名レベル。倍率だけで考えれば、日本代表になれるチャンスが高い、というわけだ。
2032年のオリンピック公式種目を目指しており、組織体制も安定している。世界大会の賞金総額は約3700万円で、マイナー競技では破格の金額だ。
さらに、テックボールのテーブルを使った新種目「テックバレー」が2022年の夏に「ジャパンビーチゲームズ®️フェスティバル千葉2022」で行われた。
こちらは、卓球×バレーボールというコンセプトの種目で、ビーチカルチャーとして注目されている。テックボールさながらのスピード感に加え、身長差や年齢に関わらず楽しめるという。
競技をする人にとっても、競技のスタイルとしても、まだまだたくさんの可能性を秘めた新スポーツ、テックボール。今から競技を始めれば、数年後には日本代表なんてことも夢じゃないかも?
JTF 日本テックボール協会
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テックボールをプレイするために必要な道具をレンタルおよび販売している。また、デモンストレーションや大会、イベント等の開催についても問い合わせ可能。
取材・文/菅野茂雄