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山﨑康晃選手を復活に導いたトレーニング改革と内臓ケア

山﨑康晃投手

山﨑康晃選手/やまさき・やすあき 1992年生まれ。横浜DeNAベイスターズ投手。横浜DeNA入団時から抑えで活躍し、2015年セ・リーグ新人王獲得。球界を代表するリリーフエースに。2022年は通算200セーブ達成。56試合登板、0勝2敗37セーブ。防御率1.33をマーク。

2022年、クローザーとして見事復活を遂げた横浜DeNAベイスターズ投手、山﨑康晃投手。きっかけはトレーニング改革と内臓ケアの変化にあったという。

低酸素トレで心肺機能アップ

前年のリーグ最下位から2位に躍進した2022年の横浜DeNAベイスターズ。その大きな原動力となったのは2020年、2021年と不調で中継ぎに回っていたクローザー・山﨑康晃投手の復活

56試合に投げて37のセーブを積み重ね、防御率は1.33と抜群の安定感。その裏には昨オフからのトレーニング改革食事の見直しがあった。

「必ずクローザーに戻るつもりで低酸素トレーニングに挑みました。マスクを着け、最大で標高4000mレベルの低酸素状態の中、インターバルでダッシュを繰り返し、マスクを外した後も有酸素運動を行うなどして、脂肪が燃焼しやすいカラダに作り変えようと試みたんです」

山﨑康晃投手のトレーニング

低酸素トレーニングに挑んだ山﨑投手。血中酸素飽和度が90%(平地では96~99%)まで落ちるほど大きな負荷をかけて心肺持久力を高め、さらに有酸素運動でカラダを絞り込んだ。写真/本人提供

山﨑康晃投手のトレーニング

写真/本人提供

唇が紫色になるほど過酷なトレーニングで自らをいじめ抜き、2か月で減らした体重は実に10㎏以上

低酸素が高パフォーマンスにつながるメカニズム

酸素が薄い → 血液中の酸素レベルdown → 腎臓からエリスロポエチン(EPO=造血ホルモン)分泌 → 骨髄などの造血細胞に働き赤血球を増産 → ヘモグロビン濃度上昇により酸素運搬能力がup(全身に酸素を運搬)  → 心肺持久力がつき筋力も増加 → パフォーマンスが上がる

山﨑康晃投手

「さらには遺伝子検査をしたり、栄養学を学びました。すると、僕の場合は意識的に糖質や脂質をカットして、多くの食材からタンパク質ミネラルビタミンを摂る必要があることがわかった。基本的にスイーツ好きですが、30歳を迎えましたし、食生活を変えることで内臓への負荷を減らせばコンディションの安定につながると考えたんです」

カラダのキレが増してボールの威力も増大

効果はてきめんに表れた。

心肺機能が鍛えられ、持久力がついたことでキャンプでは例年よりも投げ込むことができ、フォームが安定。減量によりカラダのキレが増し、ストレートの威力は全盛期以上に。平均球速は上がり、自己最速の155kmもマーク。疲れが溜まる夏場でも球威はまったく落ちなかった。

「僕は毎試合ブルペンで待機するので、以前は特に夏になるとガタッと体力が落ちていたのですが、2022年は暑い時期や夏場以降も高いパフォーマンスが発揮できました。もともとシーズン中は断酒しますが、さらに食生活を変えたことで体重も大きな増減なく安定。また筋力がついたおかげで筋トレでさらに負荷をかけられるようになるなど、練習の質が変わったのも大きかったと思います」

疲れがピークの夏場でも、早起きして海へ赴いてSUPを楽しみ、それからチーム練習に向かうなどいい意味での余裕があったという。

「今まで夏場は試合が終わったら家でバタン。起きてすぐに球場に向かっていましたからね。常に気持ちの切り替えが必要なリリーフにとって、そうやって毎日リラックスできることは、連戦が続く状況だとすごくいい気分転換になるんです。低酸素トレーニングのおかげで心身ともにアクティブになれました」

山﨑康晃投手

「内臓の調子がいいと毎日のリズムも変わります」

山﨑投手のような一流アスリートでも、一歩踏み出すことで大きく自分を変えられる。このオフも低酸素トレーニングに挑むという彼のさらなる進化に注目したい。

取材・文/黒田創 撮影/高橋マナミ スタイリスト/伊達祐輔 ヘア&メイク/田中徹哉

初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売

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