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歯並びの悪さは見た目だけの問題ではなく、歯周病の悪化や咀嚼の妨げ、喋りつらさなど様々なQOL低下につながる。そこで考えたいのが歯列矯正。治療の流れ、金額、ビフォーアフターなど、歯列矯正のあれこれ。
歯並びや嚙み合わせの状態がよくないことを「不正咬合」と呼ぶ。
教科書的には、下のように持って生まれた顎の形や日頃の癖、病気、ケガなど、その原因はさまざま。
ただの見た目の問題?
いや不正咬合の状態を放っておくと、清掃性が悪いことで歯周病が悪化したり、食べ物の咀嚼を妨げたり、「さ行」「た行」の発音がしにくくなったりと、QOL(生活の質)がガタ落ちに。そこで奥の手となるのが歯列矯正だ。
「矯正に適した年齢は不正咬合の種類によって異なります」と言うのは、日本歯科大学新潟生命歯学部、小林さくら子教授。
「歯の凸凹を直すなら永久歯列になる13~14歳以上から始めて高校生くらいで終えるという流れ。でも歯がある限り矯正は可能です。歯周病治療のために矯正をする中高年の方も少なくありません」
治療の流れは下の通り。5.に2~3年、6.に2~3年かかる。
歯列矯正は基本的に保険の利かない自由診療。よって気になるのがその費用。下に示したように初診料や検査料の他、矯正装置の種類によってかかる費用は異なる。
「不正咬合の状態や治療を受ける歯科医院によっても治療費はまちまちなので幅があります。相場的にはトータルで80~120万円くらいかかると思ってください」
初診料・相談料…¥3,000~5,000
検査・診断料…¥40,000~60,000
混合歯列期基本矯正料…¥300,000~400,000
A. 金属ブラケット使用…¥400,000~700,000
B. 審美・特殊ブラケット使用…¥600,000~800,000
C. リンガルブラケット使用…¥1,000,000~2,000,000
D. マウスピース型矯正歯科装置…¥1,000,000~2,000,000
部分矯正料…¥150,000~350,000
処置料(毎回)…¥5,000~7,000
観察料・保定処置料…¥3,000~5,000
金属ブラケットは最もオーソドックスな矯正装置。目立ちにくい審美・特殊ブラケットや歯の裏側に装着するリンガルブラケットという選択肢もある。ただし、金属ブラケットよりお値段はそれなりに張る。
最近話題のマウスピース型矯正歯科装置は透明なシートを何度も付け替えて少しずつ矯正を進めていく方法。ただし不正咬合が軽症の人向きで、ブラケットの方が治療後の歯列はきれいに揃うという話。
その他、定期的な処置料や経過観察のための料金も受診のたびにかかるので、余裕を持ったお財布事情で臨みたい。
実際に歯列矯正を受けた場合、その効果はいかほどなのか? 論より証拠、下の写真は劇的ビフォー&アフターの3つのケース。かかる費用は決して安くはないが、ここまで歯並びや嚙み合わせが改善するなら納得がいくというもの。
「矯正することによって歯並びだけではなく、エステティックラインという横顔の輪郭もきれいになります」
いやホント、見違えちゃいます。
ビフォーの状態は上の歯が前に飛び出し気味の出っ歯。嚙み合わせが非常に悪い。矯正後は上下の歯が綺麗に嚙み合って、顎のラインもすっきりとしている。
下側の顎が前に出ていて上の歯が奥に隠れている状態。矯正前は横から見ると受け口だったが、矯正後は横顔のラインも改善。嚙み合わせも完璧な仕上がりになった。
上下の前歯が接触していない矯正前の状態が「開咬」。奥歯にだけ力がかかり、虫歯などで奥歯に支障が出ると嚙み合わせが崩壊する。このケースは外科的矯正治療で顎を削ってズラす治療で、保険適用となる。
取材・文/石飛カノ 取材協力/小林さくら子(日本歯科大学新潟生命歯学部歯科矯正学講座教授)
初出『Tarzan』No.844・2022年10月20日発売