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腕の上げ下げで痛みが出る「インピンジメント症候群」

トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第37回は、インピンジメント症候群について。

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インピンジメント症候群

アスリートに発症しやすい「インピンジメント症候群」

肩関節の障害をテーマに解説する4回目は、「インピンジメント症候群」について。インピンジ(impinge)とは「突き当たる」「衝突する」を意味し、腕の上げ下げで肩関節に痛みや引っかかりを生じる症状を総称するものだ。

とりわけ特徴的なのが、腕を60~120度の角度に上げる、または上から下ろすと痛みや違和感が起きやすいこと。これは肩関節を“”のように外転、つまり横から挙上する「ペインフルアーク(有痛弧徴候)テスト」によって、簡単にセルフチェックすることができる。

腕の挙上に問題が生じるという意味では、本連載の34回「四十肩・五十肩」にも症状としては近い。ただしこちらは運動不足ぎみの人がなりやすいのに対し、インピンジメント症候群は運動量が多い人やアスリートに発生しやすい障害として知られる。

例えば野球の投球動作で肩を痛めると「野球肩」と診断されることがあるが、この半数以上はインピンジメント症候群であるとの報告もあるほどだ。

ほか原因として多いのが、テニスのサーブ、バレーボールのアタックといったオーバーハンドスポーツ。さらにクロールやバタフライなど腕のリカバリー動作を伴う水泳競技でも多く発生し、「水泳肩」と呼ばれることもある。

外転動作で腱板や滑液包が挟み込まれる

肩関節は骨同士の隙間が狭いうえに複雑な構造を持ち、そもそもこすれが生じやすい。なかでも多いのが、上腕を外転する動きによって、肩甲骨の突起である“肩峰”と上腕骨の間に、インナーマッスルの腱(腱板)や関節の滑りをよくする肩峰下滑液包などが挟み込まれること。

これが繰り返し起きることによって、炎症や出血が発生する。

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群

肩甲骨の肩峰と上腕骨の間にある腱板や滑液包が肩関節の外転によって挟み込まれ、繰り返し刺激が加わることで炎症が生じる。

肩峰は肩の真横のやや下にあり、部位がピンポイントなだけに痛みもシャープだ。原因となる動作の反復を繰り返すと痛みが慢性化し、進行すると肩峰下に骨棘ができたり腱板が断裂したりすることもあるので注意したい。

予防・改善にはインナーマッスルの強化

これを予防・改善する秘訣は、なにより上腕の骨頭がスムーズに動くよう、周辺のインナーマッスルを強化すること。特に肩甲骨の上部にある「棘上筋」は肩を外転させるほか、関節を固定して上腕骨の“転がり”や“滑り”を担う筋肉として重要だ。

そこで行いたいのが、下記で紹介するエクササイズ。

インピンジメント症候群

ウェイトを持ち、反対の手で肩を押さえる。まず親指を下に向け、真下~60度過ぎの範囲内で横から上げ下げを繰り返す。続いて親指を上向きに、さらに手のひらを下に向け、計3種を同様に行う。各15~20回。

患部の熱感が強い急性期を除いて、肩に負担のかかる運動を行う前のウォーミングアップとしても強く推奨される。

ポイントは2つ。まず、肩が浮かないように反対の手で上からぐっと押さえることで、骨頭部分がズレることなく転がるように動かせる。また、腕を60度より上に挙上すると三角筋が働いてしまうので、それより低い範囲で上げ下げするのもコツ。

さらにウェイトを持つ手を3方向に変えて行うことで、棘上筋をまんべんなく、集中的に鍛えられるというわけだ。

ウェイトはペットボトルでも代用でき、四十肩・五十肩の予防と改善にもすぐれた効果が期待できるため、ぜひ気軽にトライしてほしい。

復習クイズ

インピンジメント症候群の対策として鍛えたい筋肉は? 棘下筋 肩甲下筋 棘上筋

答え:棘上筋

取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.844・2022年10月20日発売

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