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歯科の治療でアレルギーが発症? 全身型金属アレルギーの原因を探る【加齢のトリセツ】

歯科を受診し、通院が始まって少し経つと、口の中にとどまらず、カラダのあちこちに皮膚疾患などの症状の出る人が現れる。歯科で入れてもらった詰め物に関係があるのか?

歯科を受診し、通院が始まって少し経つと、口の中にとどまらず、カラダのあちこちに皮膚疾患などの症状の出る人が現れる。歯科で入れてもらった詰め物に関係があるのか?

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歯科治療が原因で金属アレルギーに?

歯科に通院を始めてから、冬なのに虫刺されのような湿疹が手足に現れたり、手にたびたび小さい水疱ができたことはないか。果てはいたるところがかゆくなり、コロナでもないのに味覚が鈍くなった、などという症状が表れた人には、全身型金属アレルギーの疑いがある。

歯科で治療のために使われた金属が、唾液という電解質液中にイオンとなって溶け出し、アルブミンなどのタンパク質と結合すると、人によってはアレルゲン(アレルギーの原因物質)になる。

早くからこの可能性に注目していた大学病院の中には、歯科にアレルギー外来を開設しているところもある。このことが周知されたのか、2000年ごろには外来を訪れる人数は急激に増え、その後も高止まりしている。

2000年ごろに患者が急増
東京医科歯科大学附属病院では男性より女性に圧倒的に多発し、2000年を迎えるタイミングで急増している。歯科アレルギー外来の中には、これと似たような患者数の年次推移パターンを公表しているところが他にもある。

東京医科歯科大学附属病院では男性より女性に圧倒的に多発し、2000年を迎えるタイミングで急増している。歯科アレルギー外来の中には、これと似たような患者数の年次推移パターンを公表しているところが他にもある。出典/松村歯科医院ホームページ

疑いがある場合、どのように調べる?

さて、金属が口腔粘膜や消化管から吸収された後は、主として尿中や便中に排泄されるが、処理し切れなかった分母乳などにも溢れ出てくる。汗に流れ出た場合、皮膚でタンパク質と結合してアレルゲンになると、湿疹など多彩な皮膚疾患をもたらす。これが全身型金属アレルギーの一例だ。

歯科で使われる金属でアレルギーを起こしやすいものは、おおむねわかっていて、最も多いのはニッケルだ。他にはコバルトクロムパラジウム水銀などに検査で反応する患者が多い。

金属アレルギーの疑いを抱いたり、紹介状をもらって歯科アレルギー外来を訪ねると、担当医はその人が本当に金属アレルギーなのかを調べることになる。そして、アレルギーならどの金属に反応するかを調べ、問題の金属がその人の歯科治療をした歯に使われているか、どの歯の詰め物やかぶせ物がそれかを調べる。

検査には口腔内状態を見るためX線診査、アレルギー検査として血液検査、歯科用金属成分を試薬にして微量を皮膚に貼付するパッチテストなどがある。

治療にはリスクがあり、改善も時間がかかる

原因物質それが使用されている歯を突き止めると治療法の検討が必要になる。これは患者も医師任せにしてはいけない重要局面だ。カラダに合わない金属が入っているのだから、取ればいいというのはいかにも乱暴な話だ。

そもそも、しっかり固定されている詰め物を外す過程では、どうしても歯に負担がかかる。特に根管治療を施した失活歯は天然歯よりももろく、治療の最中に破折を招く可能性もある。除去にはリスクがつきまとうのだ。

まして除去治療直後に症状の改善を実感する人は4割程度で、なかには少数ながら変化のない人さえいる。完治するとは限らないのだ。特に問題となる金属の個数が多く、長期間口の中に存在した人は、体内に残留する量も多く、カラダから抜けてくれるのに長期間を要する可能性もある。

除去後の改善には時間を要する
図1はアレルゲンを含む詰め物を完全に除去して2か月程度経過観察を行った後の症状で、50%以上に変化がなかった。だが、歯の再修復を始めて2年程度経つと、図2で50%以上に改善、治癒が見られた。

図1はアレルゲンを含む詰め物を完全に除去して2か月程度経過観察を行った後の症状で、50%以上に変化がなかった。だが、歯の再修復を始めて2年程度経つと、図2で50%以上に改善、治癒が見られた。出典/「歯科アレルギーNOW 疾患の基礎と臨床のエッセンシャル」(デンタルダイヤモンド社, 2016)

除去した後は再治療が待っている。外したままでは咀嚼機能や審美性が低下するから、患者が反応を示さない材料で新たに詰め物やかぶせ物を作製しなければならない。使用する材料すべてに本当に反応しないかどうかも診査が必要だ。治療には数か月から年単位の時間が必要になることも多い。

食事や生活用品からも、金属はカラダに侵入

アレルゲンの供給源は口の中にある金属だけとは限らない。日夜食事で摂ってはいないか? 下の表では金属を多く含む食品を一部紹介した。医師によっては制限食を提案してくることがある。

金属制限食指導表 (金属を多く含む食品)
ニッケル コバルト クロム
豆類 すべて すべて
木の実 すべて すべて
穀類 玄米、そば、オートミール
野菜 ホウレンソウ、レタス、 カボチャ、キャベツ キャベツ ジャガイモ、タマネギ
きのこ マッシュルーム
海藻 すべて
肉類 肝臓(レバー)
魚介類 カキ、鮭、ニシン ホタテ
香辛料 すべて すべて すべて
飲み物 紅茶、ココア、ワイン 紅茶、ココア、ビール、コーヒー 紅茶、ココア
菓子 チョコレート チョコレート チョコレート
嗜好品 タバコ
薬剤 漢方

患者は食材に注意するほか、水道水は流し始めの5分間は飲用に用いない。缶詰食品や飲料は避ける。調理器具にステンレス素材やメッキ加工のしてあるものは避ける。ただし、必須ミネラルの不足に陥らないよう、必ず医師の指導のもとで行うこと。1か月続けても効果がなければ中止すべき。出典/ 「第68回日本アレルギー学会③ シンポジウム4-1 意外に難しい金属アレルギーの対処法」 足立厚子/マルホ皮膚科セミナー

長時間皮膚に触れる道具が原因の可能性もある。日用品に金属は多い。皮革製品はなめしの工程でクロムを使うことが多いため、アレルギーを起こすことがある。化粧品点眼薬の成分に反応する人もいる。金属の装飾品では、ピアスの使用が急増した時期があり、同時期にアレルギーが増加したことを突き止めた調査がある。

年齢別に見たイヤリングとピアスの着用率
1991年では全体でもイヤリングの方が多かったが、2000年の時点では20代女性の半数以上がピアスを選んでいた。この結果と上のグラフAを重ね合わせて考えてみよう。出典/『アンケートにみる過去10年間のピアス着用率の変化「おしゃれ白書 1991〜2000」より 過去10年で倍増 増えたのは10代20代の女性』村澤博人・阿保真由美(ポーラ文化研究所)

1991年では全体でもイヤリングの方が多かったが、2000年の時点では20代女性の半数以上がピアスを選んでいた。出典/『アンケートにみる過去10年間のピアス着用率の変化「おしゃれ白書 1991〜2000」より過去10年で倍増 増えたのは10代20代の女性』村澤博人・阿保真由美(ポーラ文化研究所)

ピアスの穴を開ける際に市販の廉価な穴開け器を使うと、針の素材に使われがちなニッケルで反応が起きかねない。さらに、その後は日常的にニッケルを含むピアスを着け続ければ、どうなるかは言うまでもない。男性に比べ明らかに女性に金属アレルギーが多いことも、こうした事情によるのかもしれない。

本疾患を歯科金属アレルギーと書くメディアは少なくない。これではまるで歯科医療が犯人のように聞こえるが、そもそも歯科を受診するはるか前から金属漬けの生活を送っている人は多い。

とっくの昔にアレルギーが成立していたのを、たまたま歯科の治療をきっかけに発見しただけ、というのが実態に近いのかもしれない。

金属アレルギーと発症しがちな部位
金属アレルギーと発症しがちな部位

①ネックレス、ブローチなどによるパラジウムアレルギー ②下着の金具によるニッケル、コバルトアレルギー ③衣服のボタンやベルトのバックルなどによる接触性皮膚炎 ④スプーンやナイフなどの日用品によるスズアレルギー ⑤革手袋や皮革製品に残留するクロムによるアレルギー ⑥腕輪・腕時計のバンドなどによるニッケル、クロムアレルギー ⑦指輪による金、白金(プラチナ)アレルギー ⑧薬剤(マーキュロクロム)による水銀アレルギー ⑨靴底(革製品)による掌蹠膿疱症

金属アレルギーと発症しがちな部位

⑩パラジウムによる脱毛症 ⑪ヘアピン、髪飾りによるニッケルアレルギー ⑫ビューラーによるニッケルアレルギー ⑬ピアス、イヤリングによる金、白金、パラジウム、ニッケルアレルギー ⑭化粧品、および化粧品の容器によるクロム、ニッケルアレルギー ⑮口紅、化粧品による口唇周囲の皮膚障害 ⑯各種歯科金属による口内炎、舌炎、口唇炎、口腔扁平苔癬 ⑰カミソリ、シェーバーによるニッケルアレルギー ⑱眼鏡のフレームによるパラジウムアレルギー

取材・文/廣松正浩 イラストレーション/横田ユキオ 取材協力・監修/松村光明(松村歯科医院院長、東京医科歯科大学歯学部臨床教授、日本臨床環境医学会評議員)、松村茉由子(東京医科歯科大学病院歯科アレルギー外来)

初出『Tarzan』No.827・2022年2月10日発売

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