問1. 酸化機構によるATP再合成が行われる場所はどこ?
- リソソーム
- ミトコンドリア
- 筋小胞体
これまではエネルギー産生経路のうち、無酸素性プロセスである「ATP-CP系」「解糖系」について学んできた。今回は、酸素を利用する「酸化機構」がテーマ。「有酸素系」と表記されることもある。
酸化機構が行われるのは、エネルギー発電所のような役割をするミトコンドリア。その中でも内膜に囲まれた領域(マトリックス)内で進行する。
細胞中のミトコンドリアの数が多いほどエネルギーの産生能力は高く、すなわち多くのミトコンドリアが存在する細胞は有酸素運動に適しているということになる。
ミトコンドリアの代表的な機能といえば呼吸。酸素と二酸化炭素のガス交換だけでなく、摂取した食べ物を分解する過程でエネルギーを取り出す働きもある。
問2. 酸化機構において、エネルギー産生までに介す回路は?
- TCA回路
- ETC回路
- CTA回路
酸化機構は、安静時と有酸素性運動中における主要なエネルギー供給源。そしてエネルギー供給の主な材料となるのが、炭水化物(糖)と脂質だ。炭水化物は解糖系で分解されたのちピルビン酸となってミトコンドリアに入り、脂質は遊離脂肪酸として血中からミトコンドリアに入る。
ミトコンドリアに入った脂肪酸とピルビン酸はいずれもアセチルCoAという物質に作り替えられ、TCA回路(別名:クエン酸回路)と呼ばれる代謝経路に取り込まれていく。
さて、このTCA回路では水素イオンが大量にたくさん生み出される。電子伝達系がこの水素から電子を受け取り、その電子を酸素分子に伝達することで水に還元する。その過程において、多くのATP(運動に必要な高エネルギー分子)が産生されるという仕組みだ。
解糖系では2つのATPしか取り出せなかったが、有酸素系では36または38分子のATPを作り出すことができる。ほかの代謝経路よりもエネルギーを生み出すまでに時間はかかるが、効率よく大量にエネルギーを作ることができるのが特徴だ。
問3. 酸化機構において、関与する割合が大きい運動はどれ?
- スプリント
- 筋トレ
- ジョギング
運動開始直後から「ATP-CP系」「解糖系」「酸化機構」すべての回路が作動し始めるが、運動の強度や持続時間によってエネルギー供給系が変わってくる。
酸化機構が大きく関与するのは、低〜中強度で、運動時間が3分以上の場合。有酸素運動といえばマラソンやジョギングなど、一定の運動を長時間継続する、持久系スポーツが代表的。
ただそれだけではなく、テニスやサッカー、バスケットボールなどコート内で絶えず走り続ける球技、3〜4分演技を続けるフィギュアスケート、決着がつくまで競技が続く格闘技など、あらゆるスポーツにおいて有酸素の側面が求められる場面がある。