問1. 糖質が解糖系によって代謝・分解されてできる生成物は?
- 乳酸
- クエン酸
- リン酸
解糖系とは、細胞内の細胞質と呼ばれる場所で糖(炭水化物)を分解し、エネルギーを作り出す反応のこと。
食事として摂取された糖のほとんどはグルコースに変化して細胞に取り込まれ、一部はグリコーゲンという形で筋に貯蔵される。この糖がピルビン酸に分解される過程で、エネルギーが産生されるという仕組みだ。
さらにピルビン酸は、強度の高い運動で嫌気的条件下(酸素がない状態)になると乳酸に変換される。このことから、解糖系は乳酸性機構とも呼ばれている。軽い運動程度の場合は、乳酸の生成量と使われる量が同等であるため血液中の乳酸の濃度(血中乳酸濃度)は変化しないが、運動強度が上がるにつれ血中乳酸濃度も上昇。
さらに運動を続け急激に血中乳酸濃度が増加する領域を「乳酸性閾値(LT)」という。血液中の乳酸は肝臓でグリコーゲンに再合成され、再びエネルギー源として利用される。
問2. 解糖系で産生されるエネルギー量は?
- 2ATP
- 4ATP
- 6ATP
下の図解は、解糖系の流れを簡易的に示したもの。グリコーゲンは最初にグルコース6リン酸と呼ばれる分子に分解され、以降多くの段階の反応を経てピルビン酸に変換されるという流れである。
さて、この過程で取り出されるATPの数は、答えを先に述べると2ATPが正解だ。グリコーゲンが分解されると水素が取り出され(脱水素)、この過程でまず2つのATPが消費される。そのまま分解が進みピルビン酸まで到達すると、最終的には4つのATPが産生される。
つまり、差し引き2つのATPが得られることになる。とはいえ2つのATPではごく僅かな身体活動しかできないため、あまり効率がよくないという面もある。
問3. 解糖系の持続時間はどの程度か答えよ。
- 1秒〜30秒
- 30秒〜3分
- 3分〜5分
解糖系の反応は酸素が介在せず行われるため、高強度〜中強度で短時間の運動には対応しやすいが、マラソンのような長時間の運動ができない。
解糖系の持続時間はおよそ30秒〜3分。ほかのエネルギー産生経路であるATP-CP系や酸化機構(有酸素系)も同時に働いているため3分で動きが止まることはないが、糖がメインに使われる時間の目安は押さえておきたい。
具体的な運動は、400mや800mといった中距離走をはじめ、動きを反復する筋力トレーニング、水泳の100mなどがこれにあたる。