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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。第16回は、ヒトが筋肉を動かすために必要なエネルギーを産生する経路の一つ「ATP-CP系」について。
自動車がガソリンで動くように、人体も「ATP」と呼ばれるアデニンとリボースからなるアデノシンに3つのリン酸基が結合した高エネルギー分子で筋肉を動かしている。しかし、筋肉にはごくわずかなATPしか蓄えられないため、運動を続けるにはATPを絶えず再合成しなければならない。
ATPを再合成または産生する経路は「ATP-CP系」「解糖系」「酸化機構」の3通り。このうち、「ATP-CP系」と「解糖系」は酸素を使わない無酸素性プロセス、「酸化機構」は酸素を利用する有酸素性プロセスに分類される。
「ATP-CP系」のCPとは、クレアチンとリン酸が結合したクレアチンリン酸のこと。筋肉の中にあるクレアチンリン酸を分解し、アデノシンと2つのリン酸からなるADPにリン酸を与えることでATPを再合成するこの過程を「ATP-CP系」という。
クレアチンとは肉や魚にも含まれている生命に欠かせない物質。体内で合成され、クレアチンリン酸としてそのほとんどが骨格筋に貯蔵されているが、一部は脳や網膜などにも存在する。
体内のクレアチンリン酸が増えればより多くのエネルギーを供給できるが、クレアチンの貯蔵量もごく少量に限られる。そこで、このクレアチンをサプリから摂取することで体内に蓄えておくトレーニーも多い。
体内に蓄えられるクレアチンリン酸の量は、ごく少量。そのため運動開始から約5〜10秒(8秒程度であることが多い)で消費されてしまい、ハイパワーを持続させることができないという特徴がある。
ただしエネルギーを生み出す速度が非常に速いATP-CP系は、100mダッシュやボックスジャンプのように爆発的な運動を行うときに優位になる。いわゆる「瞬発系」であることを頭に入れておこう。
では8秒間全力疾走をした後にプツリとスイッチが切れるかというと、そうではない。解糖系や酸化機構といったほかのエネルギー産生経路も同時に機能しているため、人は動き続けることができる。
さらにクレアチンはほかの経路を働かせることにも関与しているため、切らさない工夫を取り入れることも重要となる。
取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.823・2021年11月25日発売