パーソナルトレーナーってそもそも何?
トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第15回は、パーソナルトレーナーの役割について。
取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.822・2021年11月11日発売
パーソナルトレーナーの立ち位置を理解する
カラダに痛みや不調を感じたときにどこへ駆け込むべきか、発症から回復までの流れについて学んだのが前回(記事:病院、治療院、整体院の違いは?)。
おさらいすると、痛みが発症したらまずは病院(整形外科)で医師に診断を仰ぎ、外傷や神経に異常がある場合は適切な処置をしてもらう。そして、その診断に応じて鍼灸院・接骨院・整骨院で治療を受けるか、あるいは日常のケアとして整体・カイロプラクティックなどで筋肉や骨を整えていくという順番だ。
これを踏まえて今回は、『ターザン』でもたびたびトレーニングメニューを考案してくれている「パーソナルトレーナー」の立ち位置について考える。その前にまずはリハビリの過程について見てみよう。
リハビリとアスレティックリハビリテーション
外傷や障害または手術後など、日常生活に支障をきたすマイナスの状態から、サポートなく生活が送れるレベルまで復帰を目指すことを「メディカルリハビリテーション」という。メディカルリハビリテーションを請け負うのは、国家資格を持ち、医療機関に勤務している理学療法士(PT)や作業療法士(OT)。または柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師もこれに該当する。
メディカルリハビリテーションは、元の生活に戻るというよりも、あくまで自力で生活が送れるレベルまで回復を目指すこと。たとえば歩けない状態から歩けるようになったら、曲がらなかった膝が曲がるようになったら、リハビリはそこで終了となる。
一方で、日常生活レベル、つまり「ゼロ」の状態からプラスに高めることを「アスレティックリハビリテーション」という。アスレティックリハビリテーションは、スポーツ活動の早期再開、外傷の再発リスクの最小化、ケガ前よりも高い身体パフォーマンスを発揮させることなどが目的。
この役割を担うアスレティックトレーナー(AT)は、競技復帰に向けて筋力強化、柔軟性向上、瞬発力・スピードの獲得、心肺機能の向上、コーディネーション能力の獲得などのトレーニングを行っていく。
では本題、パーソナルトレーナーの立ち位置は?
先ほどのグラフ右上、競技におけるさらなるパフォーマンスの向上や身体の機能向上(筋肥大や筋力アップ含む)を目指し、トレーニングメニューの考案・指導を行うのがパーソナルトレーナーである。スポーツチームに所属する場合はストレングスコーチ、コンディショニングコーチと呼ぶこともある。
病院選びの基準「インフォームドコンセント」とは?
リハビリの過程を通じて「受傷から回復までの道のり」は把握できたが、そもそも最初にどの病院(整形外科)に行けばいいの?という疑問は残る。病院選びのポイントとして、適切なインフォームドコンセントがなされているかどうかが一つの判断基準になる。
インフォームドコンセントとは、「患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである」(日本看護協会HPより)。
ケガについて医師から十分な説明があり、内容を理解したうえで治療方法を選択できる病院を選ぼう。
復習クイズ
答え:身体機能の向上