お茶と組み合わせて、からだ調うあの食材|東洋医学と自律神経④
もともと薬として飲まれていたお茶。現在では嗜好品として楽しまれているが、薬膳同様、体調を調えるために飲むお茶も健在だ。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
教えてくれた人
パン・ウェイさん/北京生まれ。「季節と身体」をテーマに四季に沿った食生活を提案。主宰する中国家庭料理、薬膳料理、中国茶の教室には全国から健康に関心の深い人々が集まる。www.pan-chan.com
脳とカラダに働きかけるお茶の組み合わせ
すべての茶の歴史は中国から始まる。そういわれるほど中国茶の歴史は古い。百の草をなめて毒か薬かを調べたという中国太古の王、神農は解毒に茶(と)という植物を用いたと伝えられている。
このように、もともと薬として飲まれていたお茶。現在では嗜好品として楽しまれているが、薬膳同様、体調を調えるために飲むお茶も健在。
「薬膳料理の香りに脳が反応するように、お茶の香りは脳の健康に働きかける作用があります。精神をリラックスさせたりカラダの解毒システムを助けたりする効果も期待できるので、気分や体調に合わせて取り入れてください」(パン・ウェイさん)
高価な生薬は必要なし。身近なお茶と食材を組み合わせて楽しもう。
心身ともにリラックスしたいときに
レモンバーム入りジャスミンティー
独特の芳香がクセになるジャスミン茶は、もともと臭い消しに用いられていたという話。それだけではなく次のような健康効果も。
「ジャスミン茶には精神をリラックスさせ、ホルモンのバランスを調える効果があり、副交感神経の働きを活性化させるには最適です」(パン・ウェイさん)
爽やかな香りのレモンバームとともに。
強力な解毒殺菌作用で疲れを癒す
生姜入り梅干し菊花茶
茶葉を使わず、お湯に食材の味わいを溶かし出して嗜むお茶。
「梅干しの酸味は解毒を助け、生姜の辛味が代謝を高めてくれます。また、菊とはちみつには殺菌作用が期待できます」(パン・ウェイさん)
疲れているときや風邪をひいているとき、パソコン作業で目が疲れたときなどにどうぞ。
精神安定と肝臓の解毒のダブル効果
グリーンミントティー
その香りが精神を安定させる効果があることで知られているミント。これを緑茶に加えることで、鎮静効果に加え、緑茶の解毒作用も期待できる。
「ミントもまた、肝臓の解毒を促すといわれています。北京にいた頃、隣のおじさんがお酒を飲みすぎた翌日、奥さんがミントティーをよく飲ませていたものです」(パン・ウェイさん)
季節でお茶を飲み分ける知恵
日本人は当たり前のように一年中緑茶を飲んでいるが、パンさん曰く「本来、お茶は季節によって飲み分ける」ものなのだという。
「緑茶は春から夏にかけて飲むお茶。熱を加えない生茶はカラダを非常に冷やすからです。秋以降は炒った番茶やほうじ茶、冬は風邪の細菌を退治してくれる紅茶。四季がはっきりしている日本だからこそ、上手に飲み分けを」(パン・ウェイさん)