イライラ気分を鎮める4つの「単純作業」| 夜の自律神経メンテ術④
自律神経の働きを支える良質な睡眠、その鍵を握るのは「交感神経→副交感神経」の切り替えだ。幸い、交感神経から副交感神経優位な状態へと移行する方法は多々ある。【夜の自律神経メンテ術】は仕事後〜就寝の間にできるメソッドを紹介。今回は「単純作業」。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/岡田丈 取材協力/菅原洋平(作業療法士)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
寝る前の単純作業がいい理由
夜寝る前にぽっかり空いた時間帯、もし日中の興奮が鎮まらなかったりイライラした気分にしつこくからめ取られてしまったら、とりあえず単純作業を行ってみる。これは交感神経の働きを鎮めるためにタスクをシングル化するメソッド。 イライラしたり不安な気持ちになっているのは脳の前部分にある前頭連合野。
人ならではの知性を担当する部分だが、他人と競争して焦ったりミスしたらいけない!とあれこれ余計な心配をしてしまう部分でもある。
でも手を使った単純作業では手から伝わる感覚データが脳の頭頂連合野にひたすら入力される。この間は前頭連合野が働く余地がなくなるのだ。
単純作業で「頭頂連合野」が使われる
その結果、交感神経の働きが抑制されるというわけ。
「ただし、集中しないとできない作業をすることがポイント。手や指の感覚はすぐ作業に慣れてしまうので、脳にしっかり感覚が入力されるよう“ながら”ではできない作業をする。しかも行うことできれいになる、整頓されるといった成果が実感できるような作業がおすすめです」(作業療法士・菅原洋平さん)
① シンクを磨く
思い立ったらすぐできるのがキッチンや洗面所のシンクを磨くという作業。いざ向き合えば細かい汚れや曇りが次々と目につき、これを落とさずにはいられなくなり忘我の境地に。
② アイロンをかける
絶対に“ながら”ではできない古典的なシングルタスク。最近のリモートワーク事情ではワイシャツを着る機会も少なくなっているかもしれないが、この際、普段着もピシッとプレス。
③ 洗濯物を畳む
作業の出来不出来が最も分かりやすいもののひとつがこれ。襟の乱れがないか、袖の長さが合っているか、均一サイズで畳めているか。修正を入れるごとに頭頂葉がガンガンに稼働する。
④ スニーカーを洗う
革靴を磨くという手もあるが、やはりリモートワーク事情で革靴はさして汚れていないかも。なのでバスルームに陣取り、ひたすらスニーカーをブラシで洗う。きれいになると気持ちいい。