外反拇趾のセルフチェックと改善エクササイズ
トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第13回は、扁平足が原因で発症しやすいのが外反拇趾について。
取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.820・2021年10月7日発売
角度が15度以上なら外反母趾
前回、起こりがちな足のトラブルとして取り上げた「扁平足」(詳しくはこちらの記事:扁平足と凹足。2つの足のトラブルの原因と対策)。その扁平足が原因で発症しやすいのが外反拇趾だ。
外反拇趾とは、足の親指の付け根が外に飛び出し、親指が人差し指に向かって「く」の字に曲がる変異のこと。
外反拇趾の目安は、親指の関節の角度(これを外反拇趾角という)が通常15度未満であるのに対し、軽度は15〜20度、中等度は20〜40度、重度は40度以上となる。
「親指の付け根が赤く腫れている」「靴を履いたときに骨が当たって痛みを感じる」などの症状が出たら、まずはセルフチェックを行おう。
外反母趾のセルフチェック
用意するもの
- 紙とペン
- 定規
- 分度器
紙の上に足を置き、定規を使って足の内側のラインと親指のラインを2本引き、角度を分度器で測る。ただし軽度の場合は自己判断が難しいため、親指に明らかな変形が見られる場合は医師や専門家に相談を。
痛みを感じたまま靴を履き続けると、足裏にかかる力のバランスが偏り、タコができたり、靴と擦れ合う親指の付け根が炎症を起こして水が溜まったりといった症状が表れ、さらなる痛みを生じる可能性がある。
自分でできる改善エクササイズ
痛みを最小限に抑えるためにも、重症化する前に対処するのが賢明だ。
外反拇趾の主な原因は、足底の筋力低下による扁平足。そして、小指側の踵付近から小指の付け根、親指の付け根にわたって三角形に付着する「拇趾内転筋」がカチカチに凝り固まった状態であること。
拇趾内転筋は親指を小指側に近づける内転動作に関与しているため、まずはゴルフボールを使った足裏ほぐしから取り入れよう。
窮屈な靴から足を解放し、デスクワークの合間や帰宅後に部屋でコロコロ。硬化した筋肉を緩めたら、次に拇趾内転筋と逆の動き、つまり親指を外に開く動きに関与する「拇趾外転筋」を強化していく。
有効的なエクササイズは、足をグー・チョキ・パーと動かす運動と、床に置いたタオルを足の指で手繰り寄せるタオルギャザリング。そして、左右の足の親指にゴムバンドを引っ掛け、両足を外に開くエクササイズだ。
タオルギャザリング
ゴムバンドエクササイズ
運動療法以外のアプローチ
外反拇趾の治療法には、こうした運動療法のほかに、テーピング治療や、アーチサポート療法などもある。アーチサポート療法とは、人それぞれ異なる足の彎曲をかたどった足底板(アーチサポート)を中敷きとして靴の中に入れ、潰れたアーチを持ち上げて矯正するもの。
オーダーメイドのインソールは整形外科や専門店で作製可能。相談してみよう。
復習クイズ
答え:20〜40度