全身運動で身体能力を高める。
ロンドン五輪、リオ五輪で銅メダルに輝き、今年引退した海老沼匡さん。5万人以上にフォローされているインスタでは、ひたすら四股を踏んだり柔道の「打ち込み」と呼ばれる反復練習を動画でアップしたりと、トップアスリートの片鱗が垣間見れる。
海老沼匡(えびぬま・まさし)/1990年生まれ。5歳で柔道を始め、背負い投げを中心とした多彩な技を武器に66㎏級でロンドン五輪、リオ五輪と銅メダル獲得。その後73㎏級でも活躍。今年4月に現役引退。〈パーク24〉にてヘッドコーチを務めている。写真提供/アフロ
「現役時代、柔道に特化したメニュー以外だと全身運動を重視していました。すばやい動きでバネを強化し、股関節を中心に関節をしっかり広げて大きく動けるカラダを作る。相手より優位に立つには“大きく速く動く”というのはとても大事で、練習でもまずはこのあたりの動きをやっていましたね。また全身にしっかり血が巡るので、その後本格的に練習に入っても動きが全然違うんです」
血が巡るということは、早いうちから汗もしっかり出るということ。そのダイエット効果は言うまでもないだろう。さらに、あらかじめ可動域を広げておくと、ウェイトやマシンを使った筋トレでも確実に効く位置までカラダを動かすことができる。加えてカラダをバネのように使えれば、しなやかな動きはもちろん、スピード、パワーの備わった本当の意味で高い身体能力の持ち主になれる。
全身を動かす2種目+サーキット。
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“すりあげ”で胸や上腕、背中や肩まわりを刺激する。
まずは「すりあげ」。レスラープッシュアップとも呼ばれる。両手を肩幅より広めに開きうつ伏せに。足も開き、腰を高く上げる。肘を曲げつつ腰を落とし、胸元を床すれすれまで近づけたら両腕を伸ばしてカラダを反らし、元の位置に。8~10回×3セット。
「最初のポジションで頭を下げると肩まわりが伸びますよ」。
題して“ワニジャンプ”。俊敏性が問われるのだ。
文字通りワニのような動き。床に這いつくばり、右腕を前に出し、左腕を手前に引く。左脚は前へ、右脚は後ろへ伸ばす。この姿勢からジャンプして手足を入れ替える。素早く20秒続け、20秒休憩。3~5セット行う。
「股関節の柔軟性や可動域アップ、バネの強化につながる全身運動で、有酸素運動にもなります」。
「どんな競技でもそうだと思いますが、股関節と肩甲骨の柔軟性を保つことはあらゆる動きの基本です。柔軟性を高めつつさらに強く、動けるカラダを簡単に作るにはサーキットトレーニングもおすすめ。僕は毎日練習前に10種類のサーキットメニューをやっていました。とはいえ皆さんにはハードだと思うので、まずは4種類紹介します。これだけでも十分効果を感じられるはず」
4種目のサーキットトレ。
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① 腿上げ
まっすぐ立ち、両腕を前後に振りながら左右交互に膝を高く上げる。20秒間高速で行う。
「“腿上げ”で重要なのは太腿の高さが床と平行、上体が反らないこと」。
② 足入れ
腕立て姿勢から左足を前に出す。次に下半身をジャンプさせ足を入れ替える。これを20秒間すばやく続ける。
「これは“足入れ”。脚を大きく動かしましょう」。
③ 膝抱えジャンプ
立位から膝を軽く曲げ、真上にジャンプ。左右のふくらはぎをタッチし、優しく着地。これを20秒間繰り返す。
「“膝抱えジャンプ”は同じ位置で跳び続けて!」。
④ 腰切り
立位から、上半身と下半身を逆方向に軽く捻る。次にその場でジャンプし、それぞれ逆側に捻る。20秒間。
「“腰切り”は捻り動作の連続でダイエットに最適」。
スロースタートではなく最初からダイナミックに動く。発想の転換がカラダを劇的に変えるかもしれない。