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尿もれ・便秘・自律神経失調。3つの症状別おすすめスクワット

3つの症例と、改善スクワット。

スクワットは下半身の強化に役立つだけではない。動きに動員される筋群が影響する生理現象、体調の改善にも役立つようなのだ。

例えば便秘が治った患者さんに、何に取り組んだのか尋ねても、スクワットだという方が多いんです」と語るのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授だ。

教えてくれたひと
小林弘幸さ(こばやし・ひろゆき)
小林弘幸さ(こばやし・ひろゆき)/順天堂大学医学部教授、東京都医師会理事、日本体育協会公認スポーツドクター。近著に『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)、『最高の体調を引き出す超肺活』(アスコム)など。

そんな小林教授に、3つの症例と、改善するためのスクワットを教えていただいた。まずは1日10回を3セットから、実践してみよう。

ケース① 尿漏れ

尿もれ

女性ならずとも中高年になると、尿漏れを経験しがち。これは加齢に伴い骨盤底筋群が弱くなるため。ここに男性の場合は肥大していく前立腺が追い打ちをかけ、尿の勢いも切れも悪くなっていく。

「特に尿道括約筋の締まりが悪くなると、男性も粗相が増えてきます。尿道括約筋を刺激するには、ジャンピングスクワットがいいですよ。跳躍した瞬間、きゅっと尿道括約筋は締まりますから」

尿もれ改善
ジャンプ/立ち上がる動作から跳躍し、着地したらぐっと踏ん張ってから、腰を沈める。この連続を繰り返す。

着地の瞬間にはふらつかないよう、自然と腹に力が入る。「これで腹筋も刺激できます。腹筋がしっかりしてくれば、膀胱に適度な腹圧がかけられ、尿が勢いと切れを取り戻し、排尿が快適になりますよ」。

ケース② 便秘

便秘

大体40歳を過ぎると弛緩性便秘という、大腸の動きの低下による便秘が増えてくる。ただ大腸は虫垂上行結腸下行結腸直腸の4か所で後腹膜に固定されているので、少々跳躍してみたところで、外から動かすのは困難。そこでスクワットにひねりを加えると、止まりがちな大腸が動きだす。

便秘解消
ひねり/息を吐きながら腰を下げる際、肛門を力いっぱいすぼませながら、腰をひねる。

加えて加齢に伴い便秘が増える理由には出口の問題も。「肛門には意思で操作できない内肛門括約筋と、操作できる外肛門括約筋があります。歳とともに外肛門括約筋が衰えると、直腸まで下りてきている便を出しにくくなります。スクワットの際に腰をひねれば、外肛門括約筋の強化にも役立ちます」。

ケース③ 自律神経失調

自律神経失調

意思とは無関係に内臓の働きや代謝を調節している自律神経を、外から操作するのは不可能。だが、一つだけ影響できる行為が呼吸だ。自律神経を整えたければ、あまりストレスをかけないことが重要。そこでスクワットに鼻での深呼吸を加える。

自律神経失調を解消
呼吸/普通のスクワットよりゆっくりを心がける。吸う時間の2倍を吐く時間にかけよう。

空気を吸いながら立ち上がるのに3秒かけるなら、沈みながら吐き切るのに6秒かける。血中に新鮮な酸素が増えると、頸動脈にある末梢性化学受容器がそれをキャッチし、自律神経にシグナルを送る。「シグナルを受けると、副交感神経が優位になって自律神経が整い、血行もよくなります。ゆっくりやってみてください」。

取材・文/廣松正浩 撮影/小川朋央 イラストレーション/鈴木衣津子

初出『Tarzan』No.812・2021年6月10日発売

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