問1. A、B、C、D、Eに当てはまるものをそれぞれ答えよ。
全身の臓器、筋、神経、そして筋線維までをもボディスーツのように包み込んでいる「筋膜」。線維質がまとまったシート状の組織であり、カラダの支持や安定といった役割もあることから第二の骨格とも呼ばれている。
不良姿勢や偏ったカラダの使い方を続けると筋膜に“ねじれ”が生じ、凝りや痛みといった不調を招くことがある。そこで筋膜を正常な状態に戻し、筋肉の動きを保持する「筋膜リリース」という技法がコンディショニングの一つとして近年注目を集めている。
では、カラダの状態を左右する筋膜は、一体どんな構造になっているのか。下の断面図を見ていこう。
表皮と真皮から構成されている皮膚のすぐ下に広がるのが「浅筋膜」。浅筋膜は皮膚とその下にある「深筋膜」を結びつけ、深筋膜は主に骨格筋組織を覆っている。深筋膜は「筋内膜」「筋周膜」「筋外膜」からなり、それぞれ筋内膜は筋原線維を、筋周膜は筋束を、筋外膜は骨格筋を包み込んでいる。
よって表層のAからEまでを順に並べると、浅筋膜→深筋膜→筋外膜→筋周膜→筋内膜が正解。構造を理解することで、筋膜炎などの障害がどこで起きているかを探るうえで大変役に立つ。
問2. 筋膜の役割のうち、誤っているものはどれか?
- 筋肉や骨格、内臓、血管を支持・安定させる。
- 老廃物を排泄する。
- 細胞を保護し、細胞内部の状態を維持する。
筋膜には筋肉と骨をつなぎ止める、臓器を包み込んで正しい位置に収めるといった大きな役割があるが、そのほかにも重要な働きがある。
まず1つ目が、カラダの支持・安定だ。そもそも人体は骨と筋肉だけではバランスが取れず、筋肉の内外部に張り巡らされている筋膜の弾性性質が張力となり、カラダが支持できている。筋膜の張力を感じ合うラインをアナトミートレイン(筋筋膜経線)といい、このラインが連動して動くことで、筋肉が単体で動くよりも小さなエネルギーで効率的にカラダを動かすことができる。
筋膜の役割その2は、老廃物の排泄と免疫機能。筋膜の中には多くのリンパ管や免疫細胞が存在し、老廃物の排泄やバクテリアやウイルスを退治する役割を担っている。
3つ目は感覚の受信・伝達。これまでは筋組織内に存在する受容器終末が感覚を受信する役目を担っていると考えられていたが、筋膜には筋肉のおよそ8〜10倍もの感覚受容器が存在することが明らかになっている。これらは痛み、伸長、圧力、冷感、温感といった情報を感知して脳に伝えており、その伝達スピードは神経細胞の4〜8倍と非常に速い。
そして4つ目が、組織間における潤滑剤の役割。筋肉を正常に動かすには滑りが不可欠であり、筋膜の主要な性質である粘性が潤滑剤となって筋肉のスムーズな動きを生み出している。筋膜の潤いが減少すると隣接する筋肉や皮膚に癒着し、腰痛や肩こりといった不調を招く恐れがある。
問いの誤りは、3の細胞の保護。