誰とも会わない状況はうつリスクにつながる。
コロナ禍でのステイホーム習慣がはじまり、1年以上の月日が経過した。そのなかで生じているのが「テレワークうつ」や「コロナ不眠症」だ。
厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」によれば、2020年は63.0%の人がコロナウイルスのまん延、感染対策の影響によって神経過敏に感じたり、(心が)落ち着かないなどの不安を感じたという。
「誰とも会わないことが原因でうつ病になる可能性があります。そもそも人間は、家族、会社の同僚、趣味の友人とそれぞれに独立したグループに属することで心のバランスを保っています。それがコロナ禍で断絶されたことで、孤独を感じやすくなっているので注意が必要です」(ゆうメンタルクリニック院長・ゆうきゆう先生)
ゆうき先生によれば、人は所属する集団が少ないとストレスを抱え込みやすくなるという。特に独居者は、家に篭りっぱなしだと誰とも会話しない日もあるはず。だが、そんな状況が続くとメンタルヘルスを崩す可能性があることは知っておきたい。
反対に、共同生活者は「自分の時間」を確保しよう。
独居者だけでなく、共同生活者にも危険があるとゆうき先生は警鐘を鳴らす。
「自宅で仕事ができるようになった結果、共同生活者と一緒にいる時間が増えた人もいるでしょう。そういう方々から『同居しているパートナーとコミュニケーションがうまくはかれない』と相談を受けることがあります。実はこれもメンタルヘルスを崩す原因になりうるので気をつけてください」
たとえば1日1時間程度の会話が普通だった人同士が、1日中一緒にいることになったらコミュニケーション量は一気に増える。その結果、お互いに気を遣う場面が多くなり、ストレスになることもあるという。
「人間は他人と接する際の適切な距離が一人ひとり異なります。生活を共にする者同士でどのような接し方が最適なのかを話し合ってみるといいでしょう。自分の時間を確保することも大切です」
1日1〜2度の外出で気分転換を!
ゆうき先生によれば、心の不調は自分では気づきにくいものだという。他者とのコミュニケーションがはかりづらい時代だからこそ知っておきたい、うつのサインとは?
「人間は、起床時刻と就寝時刻が一定である方がうつになりづらいと言われています。そういった意味では、朝早く目が覚めてしまう、夜中に何度も目が覚めてしまう、寝つきづらいなどの生活リズムの乱れ。または、疲労感が抜けない、食欲が著しく増減したなどのコンディションに目を向けてみましょう」
ちなみに、日々の体調の変化などを日記につけておくと、自身でも気づきやすくなるという。またコンビニで買い物をしたり、散歩をしたりする程度のことでも気分転換になるそうだ。日光を浴びることもうつを防ぐのに良いとされるため、1日1〜2度は外に出る習慣をつけてリスクを低減しよう。