腹筋が割れただけではもったいない! “使える体幹”を手に入れるトレーニング
自慢の腹筋を手に入れて満足。でもちょっと待って! 腹筋を土台に全身を自由に操れてこそなのでは? 仕上げに機能性を手に入れよう。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 監修/神戸貴宏
初出『Tarzan』No.809・2021年4月22日発売
まずは“使える体幹”かチェック!
お腹がバキバキに割れたのに、姿勢が悪くて背中が丸まったり、腰痛に悩まされたり、スポーツパフォーマンスが思ったように上がらなかったり…では残念すぎる。
「腹筋トレで腹筋だけを集中(アイソレーション)して使うクセが抜けないと、お腹がいい感じに割れたとしても、日常生活でもスポーツでも使えない腹筋&体幹になってしまう恐れがあるのです」(パーソナルトレーナーの神戸貴宏さん)
日常動作でもスポーツでも、対角の動きや捻り(回旋)を伴うことが多い。どちらも全身を協調させる必要があるが、腹筋トレだけに励んでいると、その連携が分断されやすい。そこをケアしていこう。
カッコよくて機能性にも優れた腹筋&体幹にするため、まずは2つのテストで現状を“見える化”。テスト1で上半身と体幹、テスト2で下半身と体幹の連動性をチェックする。クリアできなかったら、各々の協調性を高めるエクササイズに励もう。続いて腹筋で体幹を安定させて手足を自在に動かせるように整えたい。
動画で実践、2つのテスト。
- テスト1ができなかったら→「① 上半身と体幹の連動トレ」&「③ 上半身・下半身と体幹の連動トレ」へ。
- テスト2ができなかったら→「② 下半身と体幹の連動トレ」&「③ 上半身・下半身と体幹の連動トレ」へ。
① 上半身と体幹の連動トレ(週2〜3回)
テスト1がこなせなかった人は、上半身と体幹を協調させるのが苦手かも。腕力や体幹の筋力がどんなに強かったとしても、両者をリンクできなかったら、宝の持ち腐れだ。
「上半身と体幹を連動させるために重要な役割を果たすのが、腹筋のインナーマッスル(深層筋)に加えて、脇腹の前鋸筋や外・内腹斜筋の上部といった筋肉です」
実は、テスト1で体幹を安定させた状態で片腕を伸ばしたとき、床で姿勢を支えている側の腕は姿勢が崩れないように内旋動作を行っている。それが満足にできないのは、前鋸筋や外・内腹斜筋上部の力不足。
ここで展開する2つの種目で、体幹のスタビリティを保ったまま、腕をはじめとする上半身が動かせるようにトレーニングしていこう。週2〜3回のペースが目安だ。
② 下半身と体幹の連動トレ(週2〜3回)
テスト2が落第に終わった人は、下半身と体幹の連携が乱れている恐れがある。次の2種目が、最後の1回まで正しいフォームでこなせるように精進したい。
下半身と体幹を結びつけるうえで鍵を握っているのは、骨盤と股関節。その動きに関わる筋肉には、腹筋のインナーマッスル以外に、腸腰筋と外・内腹斜筋の下部がある。
腸腰筋は、カラダの深部を走るインナーマッスルの代表格。背骨(腰椎)、骨盤、脚の大腿骨をつなぐ唯一の筋肉である。さらに下半身と体幹の巧みなコーディネーションが問われる対角の動きや回旋動作では、必ず外・内腹斜筋が働いている。
腸腰筋、外・内腹斜筋の下部を、腹筋とともに稼働させられるように強化していこう。
③ 上半身・下半身と体幹の連動トレ(週2〜3回)
ここまで上半身と体幹、下半身と体幹のコーディネーションを高めるエクササイズを紹介してきた。最後の仕上げにやっておきたいのは、上半身、下半身、体幹を三位一体でまとめて使い、体幹を固めて手足を自由に動かすためのエクササイズ。
「上半身、下半身、体幹を連携させて動けるようになると、効率的な力の伝達が行えるようになります。それにより、ランニングやゴルフといったスポーツのパフォーマンスがテキメンにアップするのです」
御利益はスポーツだけに限らない。立ったり、歩いたり、あるいは階段を上り下りしたり…。日常の何気ない動作は、ある意味全身運動であり、上半身、下半身、体幹の三位一体化で劇的に改善できるのだ。
いずれのエクササイズもシンプルだが、見た目よりもかなり手強い。歯が立たない場合は、上半身と体幹、下半身と体幹に分けて、改めて鍛え直してから再チャレンジしたい。