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肝臓代謝を下げない生活習慣|肝臓ケアの五つの噺

肝臓は、生きていくために最低限必要な基礎代謝量のうち21%を占めている。肝臓は代謝界随一のマルチプレーヤー。多芸な肝臓の5つの噺から、その多様な働きを学ぼう。今回は「肝臓代謝を下げない生活習慣」について。

果物ジュースはほどほどに。肝臓を痛める果糖を減らそう。

健康のために野菜&果物ジュースを飲む人もいる。でも、ヘルシーそうなイメージと裏腹に、これらのジュースは脂肪肝を育てて、肝臓の代謝を落とすことがある。

野菜&果物ジュースの問題点は、果糖を多く含むこと。食品中の糖質はブドウ糖に変わり血糖となるが、果糖は吸収されると約8割が肝臓で脂肪に変わる。ゆえに果糖の摂りすぎは脂肪肝に直結する。果糖は果物に多く野菜には少ないが、野菜ジュースには果物果汁が加えられるケースも多い。原材料をチェックしよう。

それ以上に警戒すべきは、甘い清涼飲料水。甘味料として果糖ブドウ糖液糖ブドウ糖果糖液糖を含んでいる場合、果糖の過剰摂取につながることが多いのだ。

シジミ、ウコン、レバーの鉄分を意識する。

酸素を運ぶ赤血球やその成分となるヘモグロビンが減る貧血では、酸素不足で代謝が下がる。ヘモグロビンにはが不可欠。鉄が欠乏すると貧血に陥りがちなので、貧血予防には鉄の摂取が薦められる。

だが、貧血でもないのに鉄を摂りすぎるのは、肝臓にマイナス。肝臓はヘモグロビンを分解し、鉄を貯蔵する役割がある。その鉄が触媒になると、活性酸素の一種の過酸化水素からヒドロキシルラジカルという最凶の酸化物質が発生。その攻撃で肝細胞は痛手を負いやすい。実際、C型肝炎の患者では鉄制限がルール化されている。

「肝臓にいいとされるシジミ、ウコン、レバーはいずれも鉄が多い。食べすぎないようにしましょう」(肝臓専門医の栗原毅先生)

肥満と脂肪肝をもたらす早食いと夜食をセーブ。

早食いと夜食がデブの元凶となるのは、小学生でも知っている。そして困ったことに、どちらも肝臓のストレスにもなっている。早食いだと、脳が満腹を感知する前に過食しがち。そのうえに糖質が一度にドッと入って血糖値を上げるので、血糖が肝臓に脂肪としてどんどん溜まる。

「肝臓のためにせっかくタンパク質を摂っても、早食いだと消化・吸収が追い付かず、体内で利用されずに排出されてしまいます」

あとは眠るだけなのに、夜食を食べると太りやすいのも、納得できる話。しかも体脂肪を溜める酵素を増やすBMAL1は昼間より夜間に盛んに働くため、夜食は肝臓や筋肉に体脂肪として蓄積する。

肝臓代謝を下げないコツ
マウスの脂肪組織中のBMAL1の量が、分泌量がもっとも多い午前2時を100とした場合、時刻でどう変わるかを示した。午後2時が最低でそこから右肩上がりで増える。
出典/椎葉繁紀(日本大学薬学部教授)

食事はゆっくりよく嚙んで食べる習慣を作り、夜8時以降は何も食べないと決めてBMAL1の罠にハマらないようにしたい。

スクワット+速歩で肝臓をアクティブ化。

肝臓を助けて代謝を高めるには、運動もお忘れなく。

まずは筋トレ。筋肉は糖質と脂肪をエネルギーとして消費する。筋肉が減ると、糖質も脂肪もダブついて脂肪肝予備群となる。筋トレで筋肉を刺激して増やそう。あれこれできない人は、下半身の筋肉を鍛えるスクワット一択。5秒かけて上下するスロースタイルで、毎日10回×1〜2セットやりたい。

続いて有酸素運動。ランなどの有酸素は、運動中に無駄な体脂肪が燃やせる。太ると筋肉内にも異所性脂肪が溜まり、血糖を取り込むインスリンの効き目が落ち、脂肪肝を進める。有酸素では肝臓と筋肉の異所性脂肪から燃え、インスリンの効き目が復活。走るのが苦手なら、速歩での散歩で十分。

取材・文/井上健二 イラストレーション/ニシワキタダシ 取材協力/栗原 毅(栗原クリニック 東京・日本橋院長)

初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売

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