代謝を上げる入浴・夜活の6大ルール

快眠に向けた入浴法とそのアフター、睡眠自体のポイントを専門家の監修のもと時系列でまとめてみた。6つの快眠法、ぜひお試しを。

取材・文/黒田創 イラストレーション/竹田嘉文 取材協力/早坂信哉(東京都市大学教授)、塚島早紀子(上級睡眠健康指導士)

初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売

家での過ごし方が一気に注目されるようになった昨今、特に入浴と睡眠は、代謝アップにもつながる大事なファクターである。入浴でカラダを温めれば、血管が拡がって心臓の動きも活発になり、より多くの血液が巡るように。加えて、副交感神経優位になるため快眠にもつながっていく。睡眠の重要性は言うまでもないだろう。

① 24時までに就寝。夕食は入浴の1~1時間半前に。

代謝機能を整えるには遅くとも24時には就寝したい。ならば2時間前には入浴を済ませておくべきだ。そして入浴する1時間~1時間半前には夕食を終えたい。

快眠のための入浴と夜活

「入浴すると皮膚の表面が温められ、そこに近い血管が拡がって大量の血液が流れ込み、逆に内臓に流れる血液の量は少なくなります。従って食事の直後に入浴すると、胃腸の働きが弱まり、消化不良を起こすリスクが高まってしまう。食事の後はある程度時間を置いて入浴しましょう」(温泉療法専門医・早坂信哉さん)

すると自ずとスケジュールが見えてくる。夕食は19時半~20時に終え、入浴は21時~22時の間。在宅ワークが多い昨今の状況ならば、決して難しい注文ではないはず。

② 湯船の温度は40~41度。交替&全身浴で温めよ。

通常、カラダを洗った後に湯に浸かるケースが多いと思うが、代謝アップのためにはまず湯船に入るべし。

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快眠のための入浴と夜活
快眠のための入浴と夜活

「1回の入浴で湯に10~15分浸かるのがおすすめ。とはいえ一度にそんなに長時間浸かれませんから、まず5~7分程度湯に浸かり、カラダを洗いつつクールダウン。その後再び浸かるといいでしょう。お湯は40~41度で全身浴。これ以上になると急激に体温が上がり、カラダは懸命に体温を下げようとするため、結果的に温まりが長続きしません。またこの湯温であれば自律神経副交感神経優位に切り替わりやすくなり、スムーズに入眠に移行できます」

お湯の汚れが気になる人は先にカラダだけ洗い、一度湯に浸かってからシャンプーするといいだろう。

ポイント
  • 湯船→洗い場→湯船の順で入る
  • 全身浴で肩までしっかり浸かる
  • お湯の温度は40〜41度に設定
  • 湯船に入る時間は10~15分で

③ 入浴後の保温はマスト。3つの「首」を意識。

せっかく交替&全身浴でカラダを温めたのだから、その後薄着のままボーッと過ごしていたらカラダはすぐ冷え冷えに。風呂上がりは保温を意識しましょう、と早坂さん。

快眠のための入浴と夜活

「冬場の防寒対策と同様、首と手首、足首の3つの“首”を温めましょう。この周囲の皮膚は薄く冷えを感じやすいため、保温することで体感温度がかなり上がってポカポカします。まだ夜は冷えますから、厚手のソックスやネックウォーマーなどを使うのがおすすめです」

また、入浴後は全身の血流が良くなっている絶好のタイミング。ここでストレッチをするといつも以上にしっかりほぐれるし、カラダも自然と温まるはずだ。

④ ベッドでスマホはNG。電源を切る勇気を!

せっかくいいお風呂の入り方をしても、就寝直前までスマホ画面を見たりゲームに没頭しては台無し。少なくとも寝る1時間前、できれば2時間前には電源をオフにしよう。

快眠のための入浴と夜活

「スマホやゲーム機から発せられるブルーライトを浴びると、睡眠中に深部体温を下げて気持ちを落ち着かせたり、睡眠リズムを整える働きを持つメラトニンというホルモンの分泌が抑えられ、脳が昼間だと勘違いしてなかなか眠れない事態に陥ってしまいます。また、就寝の2時間前からは部屋の明かりをスタンドライトや間接照明の暖色系の穏やかな光に切り替え、眼に余計な刺激を与えないようにしましょう」(上級睡眠健康指導士・塚島早紀子さん)

⑤ 睡眠こそが最大の鍵。そのメカニズムとは。

快眠のためのメソッドをこなしてきたのだから、あとはよりよく眠るのみ。しかしなぜ、しっかり眠ることが代謝アップにつながるのか。そのメカニズムをおさらいしてみよう。

快眠のための入浴と夜活

私たちの体内では睡眠中に成長ホルモンが分泌しているが、このホルモンは疲労回復や細胞の修復のほか、体内の代謝を高め脂肪を分解する大事な役割がある。ファッションモデルがスタイルの秘訣を聞かれて「毎日たっぷり寝ること」とコメントするケースがあるが、あれはかなり確度の高い話なのである。

逆に、睡眠不足だと食欲を促すグレリンというホルモンが多く分泌され、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌量が減ってしまう。夜更かししている深夜やその翌朝、やたらと食欲旺盛になることがあるが、あれはホルモンの作用。睡眠不足は代謝を下げるばかりか、逆に太る方へとカラダを誘うのだ。

「17時以降はカフェインを控えて覚醒作用を抑え、毎日決まった時間に寝るようにする。睡眠は7~8時間とりましょう。また枕や寝具、照明にも気を使いたいところ。在宅ワークが増えた分時間の融通が利くようになった方も多いと思いますので、よく眠れるよう生活習慣を見直してはいかがでしょうか」(塚島さん)

睡眠のルール
  • 夕方5時以降はカフェインNG
  • 夜更かし癖は×。夜12時には就寝
  • 7〜8時間の睡眠時間を確保する
  • 枕、パジャマ、照明に気を使う

⑥ 朝シャワーの習慣付けで午前中の代謝が変わる!?

リモートワークが増えた分、時間的に余裕ができた人は、朝シャワーを浴びることをおすすめしたい。

快眠のための入浴と夜活

「朝、寝起きに42度程度の熱めのシャワーを浴びると、全身の血液の循環が良くなるのはもちろん、その刺激によって交感神経のスイッチが入りやすくなります。また、代謝を高めるコルチゾールというホルモンが分泌されやすくなるとの研究結果もあります。普段から代謝が悪いと感じている人でも、朝シャワーの習慣をつければ、午前中はカラダの中が活性化している感覚を得られるのではないでしょうか」(早坂さん)

在宅勤務で仕事とプライベートの切り替えが難しい人も、朝のシャワーはいい切り替えになるはず。