忘年会を乗り切る「漢方薬」の基本 | 年末年始とお酒 ①
管理栄養士・漢方アドバイザーの安藤有子さんに聞く、「お酒との付き合い方」シリーズ。今回は、1年の中で最も飲酒機会が増加する忘年会シーズンに向けた、カラダのコンディションを整える「漢方薬の基本」について。
取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/加納徳博 監修/安藤有子(管理栄養士、漢方アドバイザー)
飲み会シーズン前に、漢方でカラダをメンテ。
新型コロナウイルスの影響で気軽に飲みに行ける雰囲気ではなくなってしまったが、飲みたい気持ちには抗えないもの。少人数での宅飲みやリモート忘年会などが年末にかけて増えていくに違いない。そこで今回は、そんな年末に備えて今のうちからできるカラダのメンテナンスについて考えたい。
たとえば「漢方薬」。病気そのものを治療する「生薬」は、西洋医学において補助治療薬として用いられる。一方で、東洋医学における「漢方薬」は、臓器の不調を改善する予防薬。胃もたれ、胸焼け、食欲不振などの内臓負荷による症状をはじめ、「なんだか疲れやすい」「最近はイラッとしやすい」などの精神面のサポートにも最適だ。
とはいえ、漢方は種類が豊富すぎるため、選び方にハードルを感じ、難しく考えてしまいがち。忘年会シーズンのこの機会に、まずは漢方の基本を管理栄養士・漢方アドバイザーの安藤有子さんに聞いてみた。
「漢方薬は大きく分けて、精神・血液・水分量の3つの不調を改善するための処方薬として用いられます。ただ、症状に合わせた処方が組まれたとしても、個々人の体質によって効果効能が異なるので、まずは自分自身の体質を理解する必要があります」(安藤さん)
カラダにあった漢方薬を選ぶには?
カウンセリングで物差しにされるのが、「実証(じっしょう)」と「虚証(きょしょう)」だ。
「一般的に、体力がある人や筋肉質でカラダががっちりとしている人は実証。体力がない人や風邪を引きやすい人は虚証に該当します。体質にあった漢方でなければ、強烈な苦味を感じたり、情緒が不安定になったりします。
また、お腹を下すことも体質不適合のサインとして注意してください。個人差はありますが、体質に合った漢方が処方されると即効〜2週間前後でカラダの調子が変わります。飲むと甘く感じる! という声も聞きますね」
自分の体質がわからず不安な人は、漢方薬局で専門家に相談しよう。近年は、大型百貨店などに薬剤師が常駐する漢方処方店も増えている。病院に行くことにハードルを感じている人はぜひ活用してほしい。漢方について何の知識がなくても大丈夫だ。
漢方は、「バランス」をとる薬。
漢方によってカラダの不調が改善されると同時に、体質も変わっていくこともあるという。
「元々虚証の方が体質に合った漢方を服用し続けることで、実証と虚証の間、中間証という体質になったことはあります。ですが、虚証の方が突然実証に変化することはめったにありません。カラダの強いところ、弱いところのバランスを取るのが漢方ですからね」
「忘年会だから」と無理して飲酒する必要はないが、飲み会で後悔しないためにあらかじめ自分の体質のことを理解しておこう。次回は、飲み会前に知っておきたい「アルコールの適量」についてご紹介します。
安藤有子さん
教えてくれた人
あんどう・ゆうこ/ 管理栄養士・ペット栄養管理士・漢方アドバイザー。 大手食品メーカー、肥満外来でのダイエットサポート、各メディア監修を経て、 現在オクタウェルにて全国の管理栄養士のスキルアップに従事。