食べ物から入る疲労物質をブロックせよ。
疲れにくく動けるカラダを作るためには、筋肉の源となるタンパク質をきちんと摂りたいもの。疲れたときに不思議と肉が食べたくなるのは、理に適っている。
肉からタンパク質を摂るなら、こんがり焼き目をつけたステーキが食べたくなるが、高温で焼きすぎると逆に疲労回復を妨げる恐れがある。疲労物質のAGEs(エージス)が生じやすいからだ。
AGEsの背景にあるのは、糖化という現象。
糖化とは、加熱で糖質がタンパク質を作るアミノ酸にくっついて劣化させること。食べ物を高温で加熱すると糖化がどんどん進み、最終的にAGEsが生じる。AGEsは「終末糖化産物」を意味する英文の頭文字を取ったもの。糖化の終着駅であり、一度生じたAGEsは容易には除去できない。
ステーキや揚げ物の出番を極力減らそう。
AGEsで疲れやすいのは、酸化を促しやすいから。酸化とは、有害な活性酸素で細胞などが傷つき、機能が阻害される現象。生活習慣病、老化、疲労のいずれにも、酸化は関わる。
「疲労の大もとの一つは、カラダの機能を整えている自律神経の酸化だといわれています」(管理栄養士の河村玲子さん)
AGEsは細胞の受容体にキャッチされると、体内で活性酸素を作るNADPHという酵素を活性化する。このため、糖化と酸化がダブルで進行してしまうのだ。
加えてAGEsは、カラダを作っているタンパク質の機能をダウンさせる。とくに悪影響を受けやすいのは、カラダのタンパク質の3分の1を占めているコラーゲン。血管を作るコラーゲンがAGEsで劣化すると血流が悪くなって疲れやすくなるし、皮膚のコラーゲンがAGEsで劣化するとシミやシワが増えて老け顔、疲れ顔に。
食べ物を加熱して生じるAGEsの約7%は体内に入る。高温で調理して濃い焼き色がついているものほど、AGEsは多くなる。
肉を食べるなら、ステーキや揚げ物よりも、焼き色がつかないしゃぶしゃぶや蒸し料理、低温調理を選ぶべき。たとえば、ステーキには、しゃぶしゃぶの3倍ものAGEsが入っている(下表参照)。同じタンパク源では、魚は天ぷらやフライではなく、刺し身や煮物、大豆食品なら厚揚げや油揚げより、豆腐や納豆をチョイスしよう。
この先一生ステーキや揚げ物を食べるなとは言わないが、疲れやすさを自覚しているなら回数を減らす努力をしたい。この他、何気なく口にしがちなフライドポテト、ポテトチップス、煎餅にもAGEsは多いから、食べすぎないこと。
結論
AGEsが少なく、疲れにくい豚しゃぶが勝者! 良質なタンパク質もしっかり摂れる。