日常のエネルギー消費「ADL」ってなに?|プロ2人に学ぶ「痩せるカロリー管理術」
どれだけ摂取して消費すればいい? 人によって適正なバランスが異なるカロリーについて、管理栄養士の河村玲子さんとトレーナーの澤木一貴さんにじっくり伺いました。今回は「日常の生活動作『ADL』によるエネルギー消費」について。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 イラストレーション/德永明子
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売
教えてくれた人
(左)澤木一貴(さわき・かずたか)/SAWAKI GYM代表。NESTA JAPAN理事。トレーナー活動のほか、メディアで幅広く情報を発信。個々のライフスタイルに基づいた細やかな指導に定評あり。
(右)河村玲子(かわむら・れいこ)/メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー、パーソナル管理栄養士トレーナー。管理栄養士とトレーナーの2軸でダイエットやボディメイクをサポート。
自粛期間で「ADL」が減少している。
河村玲子(以下、河) 新型コロナウイルスで自粛に入って、1週間くらいで体重が1kg増えました。澤木さんはどうでしたか?
澤木一貴(以下、澤) 1〜2kg増えました。日常の活動量が確実に減ったのが原因だと思います。自粛前は電車で移動することが多かったので、思った以上にADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)が減りました。
河 確かにそうですね。自粛前は1日5〜8時間くらいパーソナルトレーニングのセッションがあって、その間、ずっと立ったままクライアントさんを指導していたんですけど、それだけでも結構な運動量だったと思います。
澤 通勤やオフィスの中を歩くだけでも思っている以上のエネルギーを消費します。サラリーマンの方はそれだけ消費エネルギーが減るわけですから、太るのも当然といえば当然。1日3度食事を作ったり家族の世話をする主婦の方は、逆に運動量が増えたかもしれませんけれど。
河 私は自粛中、ボクササイズとエアロビクスをミックスした有酸素運動を毎日1時間半行っていたんです。でも心肺機能は鍛えられてもエネルギー消費としては、ジムのセッションで神経使って人を指導しているときの方が多かったと思います。
澤 僕は5月中、トレーナー養成のセミナーをやる機会が多かったんです。ソーシャルディスタンスをとりながら対面で指導をするんですけど、課題種目のプッシュアップをよくやってました。それでも太りましたからね。やはりADLは馬鹿にならないです。
通勤や日中の仕事のエネルギー消費は1食分。
河 通勤や日中のオフィスの移動だけでも600キロカロリー近くになりますからね。ほぼ1食分に当たります。あと、私は運動量が少なくなったせいか、自粛中は眠りが浅くなりました。
澤 僕は逆に睡眠時間が増えたかもしれないです。家にいるときは地蔵のように昼寝していました(笑)。リモートの仕事が増えたので、浮いた移動時間を利用して隙あらば寝てました。
河 それで夜も眠れるんですか?
澤 眠れます。年齢的にも体力的にも睡眠が必要なので、30代のときよりよく眠るようになりました。
河 それなら手持ち無沙汰で間食に走る心配がないですね。
澤 もともと間食の習慣がないですからね。自粛中だからこうしようというのはとくになくて、流れに逆らわず環境に適応してました。