おこもり太りを防ぐアイデア【水泳選手・中村克さん】
限られたことしかできないからこそ生まれた、プロたちの創意工夫はすごかった!
取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 イラストレーション/森拓馬
(初出『Tarzan』No.792・2020年7月22日発売)
長期間の泳げない苦しさをカラダの進化に変える。
日本記録ホルダーの中村克選手。東京五輪が延期となりプールも閉鎖。そんななか、野暮な質問と承知のうえで、おこもり太りを懸念していたかと問うと「なかったです」と即答。
「今回”泳げない”苦しさを久々に感じました。それで体重まで気にしたらストレスでしかない…。だから逆に僕は太っても仕方ないな、と。ただ、競技のことを考えてやるべきことはやると決めました。長期間泳がなければ感覚が間違いなく変わる。でもどうせ変わるなら進化する方向に変わりたいなと思ったので」
水泳選手・中村克さん
【体重】77kg(4月)→ 81kg(6月)
中村克さんのおこもりスケジュール
筋肉量を増やした家トレ。
週3〜4日行う家トレでは、自体重のほか、3kgのダンベルやチューブなどで筋力アップに励んだ。
「細部を意識して鍛えることに時間を費やしました。”こう動かせばこう刺激が入るのか”と探求するのが楽しくて、手応えのあるエクササイズも新たに発見しましたよ。久しぶりに水中練をした時、水を捉える感覚が変わったのを実感しました」
3kgのダンベルで背中の深層筋を寝ながら刺激。
家にある唯一のウェイト=ダンベルを駆使。横向きに寝て上側の手でダンベルを持ち、脇を締めたままダンベルを上げ下げ。腕の筋力でなく肩甲骨を動かす意識でゆっくり行うのがコツ。左右各30回。
これ、僕にとっては背中トレです。
動作はダンベルショルダープレスの片手ver.。「でもこの動作で僕は背筋を使います。ダンベルを握らず、手に乗せるイメージでやると背筋を意識しやすいです」。ジムでは十数kgの重量を扱うが、在宅中は3kgのダンベルで。
超ワイドなウデタテで胸を刺激!
機能性と見た目、両面において胸トレは欠かせない。腕立て伏せで胸に効かせたい時は手幅を肩幅の倍近く広げて行う。15秒間全力で腕立て伏せをして15秒休憩。「これを6回繰り返すと胸がパチパチに!(笑)」。
スクワットをした後の定番種目。
キックの強化のため、ジムでは昇降台で行っていた踏み込みの練習。在宅期間は高さ1m超の机を活用。タオルを敷いて片足を乗せ、全身を引き上げて上に乗る。左右各10回。時に重りを入れたリュックを背負って行う。
食事は楽しみの一つ。栄養もしっかり。
先日、体組成計で測定した時、筋肉量の増加が目立ったという。
「唯一堪えたのはラーメンを食べに行けなかったこと。誘惑に勝てず夜食にラーメンを作ることもありました(笑)。でもさっぱり味が好きで、野菜も欠かさず摂りますよ」
逆境に負けず、日々できることに取り組んだ中村さんの今の目標は。
「来年開催予定の東京五輪、個人の100m自由形でメダルを獲る。自己記録も更新したいです。記録が出ないと面白くないので! 家トレでの発見も今後に生かしたいですね」