このゴーグルと“良い景色”を見ていきたい。水泳選手・中村克のバディ
水泳選手・中村克の“バディ”:日本では作られていないゴーグル
取材・文/鈴木一朗 撮影/藤尾真琴
(初出『Tarzan』No.769・2019年7月25日発売)
100m自由形の日本記録保持者である短距離自由形のエース、中村克選手。彼は、実は海外でしか展開されていないゴーグルを使用している。
速く泳ぐための視界を確保する。
「従来のゴーグルはレンズ部分が平らになっているのですが、これは山型に角度がついているのが特徴です。海外の短距離選手たちがつけているのを見て、リオ五輪後に本格的に取り入れました。今のところ日本では作られていないデザインですね」
このゴーグルを愛用し始めた理由は彼自身の泳法と深く関係しているのだとか。
「僕は顎を極力下げながら泳ぐことでスピードを維持するタイプなのですが、やはり疲れてくると顎が上がりがち。それを防いでくれるのがこのレンズ。なぜなら中央がせり出しているため真ん中が見づらく、逆に顎を下げることで視界がクリアになるんです。速く泳ぐためには視界はすごく大事なので、このゴーグルをつけていると必然的に顎を下げる意識がより働きます」
まさに競泳屈指のスピード種目で勝負する中村選手ならではのアイテム。今回の世界選手権でも、このゴーグルでアグレッシブな泳ぎを見せてくれたに違いない。
「今まで良い景色も悪い景色もともに見てきました。これからもこのゴーグルと一緒にスピードを突き詰めていきたいですし、来年の東京五輪にも必ず出場して短距離種目で世界と戦える姿を示したいですね」