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【動画】観れば鍛えたくなる!? 現役ボートレーサー3人が悲鳴をあげた、痩せるHIITトレ

いまだ外出自粛ムードが続く2020年夏。思うようにカラダを動かせない日々のなか、そろそろ脂肪が溜まりつつあるお腹と、筋肉の衰えを実感している人は少なくないだろう。
そこでお家にいながら時短で行える、一石三鳥のハードなエクササイズを考案。若手ボートレーサー3人に挑戦してもらった。ときに悲鳴を上げながら汗を流す3選手と一緒に、クーラーの効いた部屋で鍛え直そう!

なぜレーサーと一緒にエクササイズ?

ボートレース

北は群馬県から南は長崎県まで、全国24箇所で開催されているボートレース。ボートレースの存在は知っていても、選手にどのような身体能力が求められるかを知る人は少ないかもしれない。そこで、簡単にボートレースという競技を説明しておきたい。

ボートレースは、スタートラインを通過後、水面の2箇所設置されている「第1ターンマーク」と「第2ターンマーク」を順番に旋回し、1周600mのレースコースを3周(1,800m)して、入着順位を決める競技。レースに出場するボートは全6艇で、それぞれのボートには番号(艇番)と色が決められている。

ボートの最高速度は時速約80kmだが、水面に近いレーサーの体感速度はなんと時速120kmほどだといわれている。ターンマークを回る際は、ボート上に立ちながら旋回する“モンキーターン”が主流。激しい波の衝撃や遠心力を直に受けながら、瞬時に他艇の動きを察知して操艇する能力は、レーサーが一流のアスリートといわれる所以でもある。

不安定な水上で姿勢を崩さないためには下半身&体幹の筋力が必要となるが、実はこれ、私たちにとっては外出自粛(=活動量の減少)で筋肉が衰えやすい部位でもある。さらにレーサーたちはボートの速度を落とさないために徹底した体重管理を行っており、減量目的でエクササイズを行う選手も少なくない。

つまり衰えた筋肉に刺激を入れつつカラダを絞りたいという人にとって、ボートレーサー向けのエクササイズはまさに打ってつけというワケなのだ。また多くの場合、自宅トレは黙々と一人で行う“孤独な作業”になりがちである。そんなときこそ記事後半で紹介するレーサーたちの挑戦動画を観て、継続のモチベーションを高めてほしい。

プロトレーナーが考案したオリジナルの“痩せるHIIT”。

プロトレーナーが考案したオリジナルの“痩せるHIIT”

今回若手ボートレーサーに挑戦してもらうトレーニングプログラムは『ターザン』お馴染みのパーソナルトレーナー・菅原順二さんが新しく考案。内容はHIIT(ヒート)をベースにしたものだ。

HIITとは「High-Intensity Interval Training(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」の略称で、短時間で高負荷のトレーニングとインターバルを繰り返し、効率よく脂肪燃焼と筋力アップを狙えるメソッドのこと。

「HIITは、自分が“非常にキツイ”と思う強度で行うトレーニングです。限界まで追い込むので高強度ではありますが、体力レベルに応じてスピードや回数を変えられるため、どんな人でも無理なく行うことができます

「今回は体幹と下半身の筋力アップ+有酸素運動で脂肪燃焼を狙う4種目を用意しました。各種目カラダが前後左右に振られますが、軸、つまりカラダのセンターはぶれないように意識しながら行いましょう」(菅原さん)

オリジナルの“痩せるHIIT”(計4種目)

1/20
ロッククライマー
1種目目:ロッククライマー(1/4)/床に両手をつき、肩の真下に手首をセット。両脚を後ろに伸ばして爪先を立て、腕立て伏せの状態に。

ロッククライマー
1種目目:ロッククライマー(2/4)/両手でカラダを支えながら、左膝が左肘の外側にくるように左脚を一歩前に踏み出す。

ロッククライマー
1種目目:ロッククライマー(3/4)/左脚を一度元の位置へ戻す。

ロッククライマー
1種目目:ロッククライマー(4/4)/右肘の外に右膝がくるように、右足を一歩前に出す。再びスタートポジションに戻り、これを左右交互にできるだけスピーディに20秒間繰り返す。

プランク・プッシュアップ
2種目目:プランクプッシュアップ(1/5)/両肘を床につき、両脚を後ろに伸ばして爪先を立てる。両足でしっかりと床を捉え、頭から踵はを直線にキープ。

プランク・プッシュアップ
2種目目:プランクプッシュアップ(2/5)/右肘を床につけたまま、左手を床につける。

プランク・プッシュアップ
2種目目:プランクプッシュアップ(3/5)/右手も床につき、両肘を伸ばして頭から踵を一直線に。お尻が落ちたり上がったりしないように注意しよう。

プランク・プッシュアップ
2種目目:プランクプッシュアップ(4/5)/右肘を曲げて床につける。

プランク・プッシュアップ
2種目目:プランクプッシュアップ(5/5)/左肘も同様に床につける。このときもお尻が下がったり上がったりしないよう、常にお腹に力を入れておくことがポイント。これをテンポよく20秒間繰り返す。

ツイストランジ
3種目目:ツイストランジ(1/4)/両脚を肩幅に開いて立つ。

ツイストランジ
3種目目:ツイストランジ(2/4)/顔と胸を正面に向けたまま、右脚を斜め後ろに大きく一歩踏み出し、両膝を曲げる。このとき右の足裏を真横に向けること。鍛えているのは軸足のお尻。

ツイストランジ
3種目目:ツイストランジ(3/4)/両膝を伸ばしてスタートポジションへ。

ツイストランジ
3種目目:ツイストランジ(4/4)/左脚を斜め後ろに引いて両膝を深く曲げ、左の足裏を真横に向ける。このときも顔と胸は正面をキープしたまま行おう。これを左右交互に20秒間繰り返す。

ショート・バーピー
4種目目:ショート・バーピー(1/5)/両脚を腰幅に開いて立つ。

ショート・バーピー
4種目目:ショート・バーピー(2/5)/両膝を同時に曲げ、両手を床につける。

ショート・バーピー
4種目目:ショート・バーピー(3/5)/床を蹴り、両脚を同時に後ろに伸ばして爪先を伸ばす。頭からかかとを一直線にキープ。

ショート・バーピー
4種目目:ショート・バーピー(4/5)/爪先で床を軽く蹴り、両膝を同時に曲げてしゃがんだポーズに戻る。

ショート・バーピー
4種目目:ショート・バーピー(5/5)/両膝を伸ばして立ち上がる。この一連をテンポよく20秒間繰り返す。

ハードではあるが効果もしっかり期待できる、体幹と下半身の筋肉に刺激が入れられ、さらに脂肪燃焼まで狙える一石三鳥のHIITトレーニングだ。さて、それではエクササイズに挑戦してもらう若手ボートレーサーの3人をご紹介しよう。

エクササイズに挑戦する、ボートレース界の期待のホープ3人。

“痩せるHIIT”に挑戦してもらうのは、下の豊田選手、仲谷選手、野中選手。約1,600人いるレーサーはその勝率によって4段階の階級に分けられており、3選手はいずれも上位20%ほどしか在籍できない最上級「A1級」。アスリートとして確かな実力を持った3人だ。

ちなみに3選手とも同期であり、1年間ボートレーサー養成所で共に切磋琢磨をしあった仲。動画ではお互いに叱咤激励しながらエクササイズを行ってもらったので、リラックスした素の3人の声援(?)の様子もぜひお楽しみいただきたい。

① 豊田健士郎 選手

豊田健士郎 選手
豊田健士郎(とよだ・けんしろう)/1996年生まれ、三重県出身。三重支部所属、115期。ボートレース好きの父親の影響で、幼い頃からボートレーサーに憧れを抱く。2018年11月に地元津で初優勝を果たして以来、数々のレースで結果を残す。2020年も3つのレースで優勝し、前期の成績で再びA1に昇格した。主な実績は『第5回スカパー!・JLC杯(2020)』優勝、『なるちゃんバースデー4周年記念競争(2020)』優勝など。生涯獲得賞金はおよそ8,300万円(2020年8月3日現在)。

普段のトレーニングは、2〜3回のパーソナルトレーニング+自宅での体幹トレ&ストレッチ。激しく揺れ動くボートで安定したパフォーマンスを出すために、とくに下半身と体幹の強化を目指している。レース中は体重管理のため、1日1食におさえて炭水化物をできるだけ減らす、糖質のある飲み物を飲まないという徹底ぶり。

「自力をつけて、優勝回数を増やすことが今の課題。今回特別に作ってもらったHIITトレーニングを普段のトレーニングにも取り入れて、さらに体幹を強化したいと思います!」(豊田選手)

② 仲谷颯仁 選手

仲谷颯仁 選手
仲谷颯仁(なかたに・はやと)/1994年生まれ、福岡県出身。福岡支部所属115期。高校時代に所属していたサッカー部のフィジカルトレーナーの薦めでボートレーサーを目指す。直近では7月に行われた『ルーキーシリーズ第13戦第6回スカパー!・JLC杯』で、通算10回目となる優勝を飾る。またG1(5つに分かれるレース階級のうちG1はSGに次いで高い)である『第64回九州地区選手権(2018)』での優勝経験もある。生涯獲得賞金はおよそ1億6,400万円(2020年8月3日現在)。

サッカー部時代のフィジカルコーチに体幹の強さを認められ、本人曰く「筋力はあるほう」だというが、トレーニングは多くて週に1日と少なめ。ほかの2選手同様体幹の強化に加え、バランス力の向上も目指している。

「昨日よりも今日と、1日1日成長することが目標。柔軟なレースができるような実力をつけるためにも、体重管理はしっかりしていきたいと思います」(仲谷選手)

③ 野中一平 選手

野中一平 選手
野中一平(のなか・いっぺい)/1994年生まれ、岐阜県出身。愛知支部所属、115期。持ち前の運動神経と小柄な体格を生かせる職業として、高校3年生の時に両親からボートレーサーへの勧めを受ける。A1は二期目となる期待のレーサー。主な実績は『中日スポーツ杯争奪 新春特別覇者決定戦(2020)』優勝など。9月17日からはG1レースである『第7回ヤングダービー』にも出場する。生涯獲得賞金はおよそ8,500万円(2020年8月3日現在)。

普段のトレーニングの頻度は週に3回。高校時代に習得した体幹トレーニングをもとに、プランク、サイドブリッジをそれぞれ1分11秒ずつ、バランスボールの上でスクワットを自宅で行っている。ちなみに1分11秒というのは、ボートレースで1着をとるための願掛け。

「ボートレースはもちろんですが、趣味のサーフィンも充実させたい。そのためにも強靭な体幹を手に入れたいです。今は“結果よりも確かな成長”を心に刻んでいます」(野中選手)


HIITは20秒のエクササイズと10秒間のインターバルを8セット繰り返すのが基本のパターンだが、今回は体力に応じて3つのレベルを設定。選手たちの挑戦の様子を観てカラダを動かしたくなった人は、まずレベル①から順番に試してみてほしい。

レベル①:20秒トレ→10秒休憩を8セット(4種目×2周)

レベル②:「80秒トレ(4種目通し)→40秒休憩」を2セット

レベル③:休憩なしで160秒トレ(4種目×2周を通しで)

4種目それぞれの動きを確認し、声をそろえて「簡単にできそうだな」と余裕を見せたアスリート3人は、迷わずレベル③の4種目×2周の休憩なしをチョイス!  さすがはA1レーサーたちである。だが果たしてこの選択が吉と出るか凶と出るか。選手たちが実際に自宅で行ったZOOM動画で観ていこう。進行役として、筆者であるクロサワが“天の声”を務めております。

まずは豊田選手が挑戦!

トップバッターは画面左下の豊田健士郎選手。冒頭から2選手に「(ロッククライマーとプランクプッシュアップのときに)お尻の位置が高いぃ!」と愛のある(?)激励を受けつつも、かなりのハイスピードでエクササイズをこなしていく。

途中、所々で「これキッツ…!」「助けて…!」など悲痛な声が聞こえたような気もしたが、見事にダレることなく120秒間をやりきってくれた。さて、感想は?

「(ゼイゼイ…)まあまあっすね…。撮影前に筋トレしちゃったんで…。パンプアップし過ぎちゃいました…」(豊田選手)

息切れをしていてもクールな姿勢は崩さない。流石である。さて引き続いては、画面右下の仲谷選手の挑戦を観てみよう。

続いて仲谷選手が挑む。

「いっけ〜いけいけいけいけ颯仁!」という熱い激励から始まったにもかかわらず、なんだか途中から豊田選手、野中選手の声援が厳しくなった感じがするのは気のせいだろうか。いや、柔和な雰囲気の仲谷選手なので、3人のなかでは弟キャラなのかもしれない。

「甘えとるよ! 自分に厳しく!」「反則は数えんからね、回数に」という強めの叱咤にもめげず、かなりのスピードで120秒をフィニッシュ。

「やっぱり回数とかじゃなくて、自分がどれだけ効いているかを意識するのかが大事ですよね」(仲谷選手)

汗だくになりながら&潤んだ瞳で発せられた真面目な解答に、なんだか胸キュン。2選手に愛されている理由がなんとなく分かります。さて、次は大トリの野中選手の挑戦。

最後は、野中選手が完全燃焼。

野中選手は画面左上。コミカルな動きではあるものの、ほかの2選手同様、しっかりハイスピードでエクササイズをこなしていく。途中で発せられた「トォアァ!!!」「アァ!!」という叫び声は、自分への叱咤か、はたまたキツいことを示す悲鳴か(おそらく後者)。

豊田選手と仲谷選手からは「全然お尻落ちてない! これズルいよ」「弱っ!」という声援(?)を受けながら、完全燃焼の120秒間が終了。大トリが終わった感想は?

「やっぱり量より質やな。回数より、どこに効いてるかを意識してやってるから、俺…!」(野中選手)

いやそれ、さっき仲谷選手が言ってた感想と全く一緒…! という感じで真剣に挑戦しつつも、ムードメーカーとして場を盛り上げてくれる野中選手でした。

汗だくの濃密12分が終了!

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これにてボートレーサー3選手による“痩せるHIIT”の挑戦はすべて終了。3人が行ったにもかかわらず、なんと所要時間はトータルで12分程度という時短っぷり。改めて感想のほどは?

豊田:正直めちゃくちゃしんどかったです。

仲谷:まあまあって言ってたのに?(笑)

豊田:気持ちで負けたくなかったからね。プランクプッシュアップがとくにキツかった。腰が痛かったので、きっとお尻が落ちてたんだろうな。

仲谷:1周目は余裕かな? と思ったけど、2周目に一気にキツくなった

野中:2周目しんどかったね〜、スタミナ切れ感じたわ。

仲谷:バーピーのとき、カラダ反ってたもんね(笑)

豊田:エビになってたよ。

野中:えっ、自分ではわからなかったなあ。

仲谷:うそつけ(笑)体幹強化したほうがいいね。

野中:なか(体幹)を固めないとね。有酸素の動きも多くて、スタミナ切れを感じた。このトレーニングの前に20km走ってるのもあるけど、それを差っ引いてももっと自分できると思ってたわ。

豊田:走ってないでしょ!(笑)

野中:下半身と体幹を使える筋肉にするのが課題だな。

仲谷:確かに、ツイストランジは疲れてくるとカラダがブレるのが自分もよくわかった。下半身でも、特にお尻の筋力が弱いんだな。今後の課題が見つかった

豊田:できるだけ毎日続ければ強くなりそう。まずは動けるスペース作るために、部屋を改造するところから始めるわ!

みなさん、本当にお疲れ様でした!


実は裏で競い合っていた、今回の挑戦で3人が160秒のうちにこなしたエクササイズの回数は下記の通り(1周目と2周目を合算)。3人の挑戦を観てカラダを動こしたくなった人は、表の回数を目標に行えば、より熱い夏を過ごせるかもしれないのでご参考に。

豊田選手 仲谷選手 野中選手
ロッククライマー 120回 125回 125回
プランクプッシュアップ 27周 39周 28周
ツイストランジ 39回 35回 47回
バーピー 23回 25回 22回

それぞれ得意・不得意な種目があって、課題がみえた様子。今回は僅差だったため、ホンモノの勝負はボートレースに持ち越し!? ということで機会があれば熱き戦いを、実際のレース場でも観てみてほしい。動画では楽しく盛り上げてくれた3選手だが、前述の通りA1レーサーの一流アスリートである。真剣勝負のレースを観戦すれば、こちらも熱い気持ちになること請け合いだ。

また3選手も登場している、若手男性ボートレーサーを紹介する公式Instagram「BOAT girl(ボートガール)」も日々更新中。ボートレーサーに興味を持ったなら、ぜひこちらのアカウントもフォローしていただきたい。

INFORMATION

BOATRACE 振興会

https://www.boatrace.jp/

※今回選手たちが着用していたアイテムは〈 SIX WAKE ROPPONGI 〉にて発売中。

取材・文/黒澤祐美 エクササイズ撮影/小川朋央 写真提供/BOATRACE 振興会

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