【はじめてのスポーツジム】初心者のための6つのお作法
器材が揃って何でもできるスポーツジムだから、かえって何をどうするか迷う。マシンもやりたいしフリーウェイトもやってみたい。この記事を読めばもう大丈夫!
取材・文/鈴木一朗 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 イラストレーション/越井隆 監修・指導/坂詰真二(スポーツ&サイエンス)
初出『Tarzan』No.785・2020年4月9日発売
目次
プロのトレーナーに教えてもらいました
ジムに行ってみたい。または入会したけど続かない。自宅トレに比べるとハードルが高いジムトレーニングだが、軌道に乗れば効果は高い。
「いろいろなタイプのジムがあり、どこを選べばいいか、何から始めればいいか迷うと思います。ジム通いを続けるとレベルごとに疑問が生じるのが普通なので、それらにひとつずつお答えしていきます」
と言うのはフィジカルトレーナーの坂詰真二さん。
「基本的なことを理解して利用すれば、ジムは自宅よりむしろ効果的なトレーニングを安全に、快適に行える環境です。難しいことはありませんので、ぜひ活用してください」(坂詰さん)
体力がつけば自信もつき、見た目も変化してくる。日常生活がより活動的になるだろう。
Q. どんなジムだと、ちゃんと筋トレできますか?
A. 筋トレに限れば、どんなジムでもOK!
「ジムは大きく3つに分けられます。大型ジム、中型ジム、コンビニジムとも呼ばれる小型ジム。筋トレはどのタイプのジムでも行えますが、大型ジムはマシンや器具の数が多く、プールやお風呂など水まわりが充実しています。当然スタジオもある。
中型ジムだとスタジオはあっても、バスタブがなくてシャワーのところが多い。24時間営業のコンビニジムはジムに特化しているので会費が安い。最近は大型でも24時間のところがありますね」(坂詰さん)
筋トレしかしないならコンビニジムで十分だし、たまに泳いでみたいなら大型ジムを選べばよい。
「重要なのは生活スタイルに合ってるかどうか。通いにくい場所にあると続かないので、自宅か職場の近くがベスト。乗り換え駅の近くもありです。営業時間が合うことも大切」(坂詰さん)
多くのジムは器具の使い方は教えてくれても、どんなトレーニングをどれぐらい行えばいいか無償で指導してくれない。だから『ターザン』を役立ててほしい。
「ジムはどこも見学できますし、体験できるところも多い。それを利用して、合わなかったら別のジムに移ればいい。いまは入会金ゼロが標準なので、いつでも移れるぐらいの気持ちで通ってはどうでしょう」(坂詰さん)
Q. 守るべきというジムの作法やマナーは?
A. 公共の場所の一般的なマナーと変わらない
「基本は“元の状態に戻す”ことです。ダンベルやバーベルは置いてあったところへ返す。マシンならピンの位置、シートの高さ、背もたれの角度なども最初の位置に戻す。あとは次に使う人のことを考えて、備え付けのタオルでシートを拭くことぐらいです」(坂詰さん)
ジムの決まりは特殊なものではない。まず、すべての器具は会員の共有物なので、占有しない心がけは大切だ。マシンのシートなどにモノを乗せて場所取りするのはよくない。公共の場所の常識として、大声で騒いだり立ち話で通り道を塞いでしまうのも慎みたい。これらは、ジムだからというより一般常識の範囲内だ。
「他人が不快に思うことをやらない。その気持ちがあれば、あとは普通に過ごして大丈夫です」(坂詰さん)
Q. 何から始めたらよいですか?
A. ジムで筋トレするならマシンから
ジムでの筋トレはマシントレーニングと、バーベルやダンベルで行うフリーウェイトに大別できる。
「初心者にお勧めしたいのはマシンです。マシンで筋トレに理解を深めてから、目的に応じてフリーウェイトに移るのがよいでしょう」(坂詰さん)
基本的にグリップを握って押すか引くかの反復動作だから、マシンは簡単に使うことができる。そして、これは意外と思う人もいるだろうが、筋肉を大きくするにはフリーウェイトより効率的なのだ。
「マシンはシートに座ってポジションを作れば、目的とする筋肉が鍛えられます。正しいフォームにマシンが導いてくれるわけです。だから、初心者でも効率よく、安全なトレーニングができるんですね。フリーウェイトは中上級者向きです」(坂詰さん)
下半身のトレーニングを比較してみよう
Q. マシンのセッティングを知りたい
A. セッティングするのは基本的に3か所ずつ
シートに座ってハンドルを動かせば、筋トレの効果が上がる適切な動作に導いてくれるのがマシンなのだが、きちんと各部位に効かせるためには自分にとって最適なセッティングをすることが重要。
「重量、シート、ポジションを自分に合わせて調節します。写真のチェストプレスのマシンを例にすると、ピンを差す位置によって重量の設定を行います。シートの高さを調節し、背もたれのポジションを調節することにより、胸部にピンポイントで最適な負荷をかけられます」(坂詰さん)
マシンによって、セッティングの方法は微妙に異なる。基本的には、重量の調節とシートの高さの調節、背もたれなどポジションの調節を1〜3か所行う。スタッフがいるジムなら質問してほしい。
Q. ジムを100%活用するならどんなプログラムがベスト?
A. 専門的アップと有酸素運動を加えよう
「時間があれば、筋トレをする前に固定式バイクを5分漕いでアップをしましょう。これはジムまで5分以上、速歩きで行くなら省略できます。そしてトレーニングを行う前に、各マシンで設定重量の5割ぐらいの重さで10回行って動作を確認します。これを専門的ウォーミングアップと言います。ケガの予防と、効率よく筋力を高める準備を兼ねています」(坂詰さん)
専門的アップ
運動不足や加齢によって、筋力だけでなく心肺機能も低下する。それを避けるには、ジムで有酸素運動も行ったほうがいい。時間は20~30分ぐらいで十分だ。
「初心者におすすめなのはバイクマシンです。足首や膝に負担がかかりにくいので、ケガをする心配がないからです。中級・上級になるに従って、トレッドミルでのウォーキング、ランニングに移行するのもいいでしょう。ランニングには、着地の際の衝撃によって、骨が丈夫になっていくという利点もあります」(坂詰さん)
順番は先に筋トレ、その後で有酸素運動というのが正解だ。