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そもそも免疫は高めた方がいいの? 免疫の噂のウソ・ホントをチェック(4)

「免疫力が上がる!」と称する民間伝承的・都市伝説的な噂はたくさんあるけれど、果たしてどれがホントで、どれがウソなのか。そして免疫を高めるにはどうすればいいのか。免疫のプロ中のプロである河本宏先生に教えてもらった。

Q4. そもそも免疫は高めた方がいいの?

A. 下げない努力は必要だが、高めすぎるのはNG。自己免疫反応のリスク大。

筋力や持久力のように免疫も後天的に高められるのか。

「免疫は安定していることが重要。血圧や心拍数のように多少の波はあっても、極端に上がったり、下がったりしないのが理想です」

後述するようにストレスに長期間晒されると免疫はダウンするが、ストレス解消に励んでも免疫が上がるわけではない。万一免疫が上がりすぎたら逆にマイナス。自らの細胞に反応しない自己寛容との微妙なバランスが崩れるからだ。例を挙げよう。

がん細胞は、免疫の働きすぎを抑えるT細胞上のPD-1という場所に結びついて、免疫細胞から逃れる。2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑さんが開発したがん免疫治療は、PD-1を阻害する抗体を投与する方法だ。

「するとがんへの攻撃力も高まりますが、免疫が働きすぎて末梢での自己寛容が弱まり、健康な細胞を攻撃し始める。治療を受けた患者の約7割で自己免疫反応が表れるという報告もあります」

PROFILE

河本宏(かわもと・ひろし)/1961年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学ウイルス・再生医科学研究所副所長血液細胞の分化過程を解明する傍ら、iPS細胞技術を用いた治療用再生T細胞の作製研究も進める。免疫学者ロックバンド〈Negative Selection〉リーダー。今回趣味のイラストで免疫を優しく解説。

取材・文/井上健二 イラストレーション/しりあがり寿 取材協力/河本 宏(京都大学ウイルス・再生医科学研究所副所長)

初出『Tarzan』No.778・2019年12月19日発売

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