1kmだって走りたくない人のための「痩せラン」処方箋
ランニングのスペシャリスト、中野ジェームズ修一さん監修のもと『Tarzan』が考えた、痩せるためのランニング「痩せラン」。そもそも走るのがつらい!という人は、この4つのポイントから見直してみて。
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/藤田翔
(初出『Tarzan』No.775・2019年10月24日発売)
痩せランというゴールは同じでも、そこに達するまでに辿る道筋は人それぞれ。本来ならジェームス中野修一さんのようなパーソナルトレーナーに1対1でカウンセリングしてもらい、オーダーメイドの運動処方を立ててもらうべきだ。
ただ、記事上では難しいので、まずは1km走ってみて弱点を見出してほしい…のだが、それも嫌だって?
目次
1. カラダをチェックして、太りすぎか、筋力不足を疑う。太りすぎならウォーキングから。
このタイプはフィジカルに問題があることも。見極めポイントは2つ。
ひとつ目は体重。あまり太りすぎだと走りたくないし、軽く走っただけで膝などに衝撃が直撃して痛めやすい。身長と体重から求めるBMI(下参照)が25を超えると肥満。
BMI25以上で、運動歴がほぼゼロなら、着地衝撃がほとんどないウォーキングから入るのが無難。1回20〜30分、歩幅を広げてキビキビ歩く速歩を週2〜3回行って減量しよう。
2つ目のポイントは筋力。ランでは1歩ごとに片脚で全体重を支える。「老化は足腰から」で足腰は弱りやすく、弱ると走りたくないし、走っても膝などにダメージを負う。
そこで、20cmの台から片脚で立ち上がり、下半身の筋力をチェック。このテストがクリアできない場合、速歩に加えて後述の階段トレで足腰を強化したい。
2. 下半身をまず鍛えよう。階段は無料で使える下半身の筋トレマシン。体脂肪だって燃える。
痩せて走れる筋力を養いたいけど、筋トレの時間が思ったように取れない。そんな人は階段を活用。階段の上り下りは足腰の筋トレになる。
上りでは、太腿後ろ側のハムストリングスとお尻の大臀筋が働く。ハムと大臀筋は、脚の付け根の股関節を伸ばす(脚を後ろに上げるような動き)作用があり、ランで着地後に推進力を生み出す。踵に体重をかけながら、膝ではなく股関節の曲げ伸ばしで上る意識を持つと、トレーニング効果がアップする。
下りでは、太腿前側の大腿四頭筋が働く。1段ごとに筋肉の長さが変わらないアイソメトリック収縮で着地衝撃を吸収するのだ。四頭筋は走るときも同様に着地ショックを和らげてくれる。
階段の上り下りの運動量は、安静時の3〜4倍。毎日欠かさず行えば、体脂肪だって着実に減らせる。
3. メンタルにも目を向けよう。「0か1か」の思考を捨てる。1未満の0.2や0.6だって、カラダには成功体験だ。
ランに挑んで失敗した過去があると「どうせ走ってもまた失敗するさ」と重い腰がなかなか上がらない。
こういうタイプには、“走る”か“走らない”か、1か0かというオール・オア・ナッシングの思考に囚われている人が多い。
本当なら200m走れたら0.2、ウォーキングも交えて600mまで行けたら0.6と評価できる。それなのに1か0かの二者択一だと、0.2や0.6は1未満だから0となり、失敗として胸に刻まれる。
オール・オア・ナッシングの思考を捨てて、0.2や0.6も成功の一つと捉えると意欲的になり、次はもっと頑張れるかもしれないと前向きになれる。次のチャレンジでは0.2が0.4になり、0.6が0.7になる。こうして成功体験を集めると自己評価が高まり、いつしか抵抗なく笑顔で1km走り出せる。
4. 時間帯を変える。自分にとってランにもっとも適した時間帯にもう一度やってみる。
走りたくない一因に、時間帯が悪かったことも考えられる。
朝走った方がいいのか。それとも夕方走った方がいいのか。これは、ランナー未満のFAQだが、どの時間帯がいいかは簡単に言えない。
朝型で早起きが得意なら、いつもより少し早めに起きて朝走るべき。夜更かしが得意な夜型なら、日が落ちた後に走ってみよう。朝型か夜型かはクロノタイプと呼ばれており、遺伝的な体質のようなもの。朝型が夕方走ろうとしても気は進まないし、夜型は早起きして走るなんて真っ平ゴメンだろう。
体質や生活習慣から、自分がカラダを動かすのに適した時間帯を見つけ、そこで改めて1kmテストに臨もう。冒頭のFAQのベストアンサーは、「走るのに最適なのは、あなたが楽に続けやすい時間帯」だ。今後もその時間帯を選んで走るようにすると定番化しやすい。