放っておくと四十肩。“巻き肩”姿勢を改善する外旋運動ストレッチ
使いすぎている部位を緩める静的なスタティックストレッチと、あまり使わない部位を刺激する動的なダイナミックストレッチの2種類。トレーナーの中村正彦さんに教えていただきました。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/中田真代 監修・指導/中村正彦(A SIDE STRENGTH & CONDITIONING代表)
(初出『Tarzan』No.772・2019年9月12日発売)
手の位置で巻き肩度をチェック。
特別に姿勢を正す意識を持たず、脱力状態でまっすぐ立ってみる。そのときの手の位置をチェック。鏡の前で行うのがおすすめ。
手の位置が太腿の外側にあり、掌が太腿にくっついていれば問題なし。少なくとも肩甲骨、鎖骨、肩関節などの肩甲帯に関しては正しいポジションが保てている。現状維持すれば四十肩、五十肩のリスクは低い。
一方、手の位置が太腿の前にあり、手の甲が前方を向いている場合は、明らかに巻き肩姿勢。左右の肩甲骨が離れ、背中が丸まり胸の筋肉が縮こまっていることを自覚してほしい。この姿勢を楽と感じているなら、ヤバいです。
現代生活は、すべてが「内旋」動作になっている。
肩は全身の中で最も可動域が広い関節。体側に垂らした手を前方向に伸ばし、そのまま上方向に挙手して180度屈曲できる。体側から後ろ方向には50度伸展させられる。合計230度の範囲で自由自在に動かせる関節だ。
これほどの自由度が確保できるのは、肩関節と肩甲骨が協調して動いているから。
「ところが、肩関節の動きが制限されてしまうと肩甲骨の動きも悪くなります。姿勢でいうと、肩が内側に内旋しているいわゆる“巻き肩”の状態。動きがどんどん制限され、将来的には四十肩、五十肩という病気につながる可能性もあります」
デスクワーク中、バッグのストラップを肩に掛けて持ち歩くとき、スマホの操作…。思えばすべてが、肩を内側に巻き込んだ内旋動作だ。習慣化することでいつのまにか巻き肩姿勢がデフォルトに。
「肩の可動域を確保して四十肩、五十肩を予防するコツは、普段から外旋動作を取り入れること」
足りない外旋動作を取り入れるストレッチ。
1. 胸の筋肉を伸ばす(左右各10回×5セット)
壁からやや離れた位置に立ち、片手の掌を壁につけてカラダを壁と逆側に捻る。痛気持ちいいポジションでキープ。手を肩の高さにして行うと大胸筋、頭上に上げて行うと深部の小胸筋がストレッチされる。逆側も同様に。
2. 肩の外旋をキープ(各動作5回)
床にうつ伏せになり両手を斜め上方向、「Y」の字に伸ばす。掌は内側に向け、親指を上に向ける。そのまま上体を5回引き上げる。顎を上げない。今度は左右の手を肩の高さで真横に伸ばして全身を「T」の字に。掌は前に向けて親指を立てる。そのまま上体を5回引き上げる。顎は引くこと。最後に左右の手を斜め下に伸ばして「A」の字を描く。掌は内側に向けて親指は床につける。そこから上体を5回引き上げる。顎は引いた状態で。