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その土地の菌が生きている! 腸内フローラを増やし育てる、日本の発酵食品13

日本には、その土地ならではの発酵食品がある。乳酸菌、酵母、麴、カビ…。数々の菌類が活躍し、醸し、発酵させた食品は、素材の味を超えて、私たちの腸内環境を豊かにしてくれる!

日本列島津々浦々、発酵しまくりです。

まだ冷蔵庫のなかった頃。旬の食材が余ると、誰しも保存を考えた。

「高温多湿のアジアでは、食材がすぐ発酵するので、これを保存法として活用し始めたのでしょう」と語るのは発酵食のワークショップ〈醸カフェ〉を主宰する品田和義店主だ。

温暖アジアは微生物だらけだ。白菜に塩をまぶし、重しを乗せておけば乳酸菌が勝手に忍び込み、旨い浅漬けが出来上がる。乳酸菌は乳酸を生み出し自分の棲む環境を酸性化し、他の雑菌の侵入、繁殖を阻む。だから白菜は腐敗もせず、安心して浅漬けをいただける。

「日頃からいろんな有用菌に触れておくと、時間をかけて腸内細菌のバリエーションが増え、腸が鍛えられると思いますよ」

日本全国に先人の知恵が脈々と受け継がれている名産品たち。あるじゃありませんか、たくさん! 日本は発酵天国だ。これを食べない手はないぞ。

1. 鮭とイクラの糀漬け(北海道)

禁断の親子の組み合わせは酒も白メシもぐいぐい進む。

鮭とイクラの糀漬け(北海道)

天然ものの鮭から骨と皮を外し、食べやすいサイズに切り分け、糀と一緒に低温熟成室で1か月以上も漬け込む。ゆっくり発酵を進め、イクラを加えて仕上げた一品。酒の肴にはもちろん、炊きたての白メシがやたらと進む魔性のおかず。北海道といえばルイベがあまりにも有名だが、鮭の楽しみ方のバリエーションは豊富だ。

2. いぶりがっこ(秋田県)

燻製と漬物のいいとこ取りで煙が薫る。食感もまたよし。

いぶりがっこ(秋田県)

見た目はたくあん。けれど、かじればあっと驚くスモーキーさ! 漬物用に栽培された大根は洗浄後、縄編みにされ燻製工場に。数日間燻された後は、米糠でじっくり漬け込まれる。十分に発酵が進んだら水洗い後に余分な部分はカットして出荷される。ただの大根じゃありません。膨大な手数と、日本人の物作り精神の象徴なのだ。

3. 水戸納豆(茨城県)

これぞ発酵食品の日本代表! 料理すればさらに味わい深く。

水戸納豆(茨城県)

そのまま食べてよし。食材として調理してもよし。たたいて、味噌汁の具にするもよし。大豆の品種、生産者によって見事に価格が分かれるが、1食200円台でほとんど最上級品が食べられるコスパはお見事の一語。なお、発酵が進み過ぎて現れる白い粉はチロシン(アミノ酸)だ。これが実は食べ頃のシグナル。恐れず安心して食べよう。

4. くさや(東京都)

確かにくさいが、気づけばまた嗅ぎたくなるのは、なぜ?

くさや(東京都)

発祥は江戸時代の新島とされる。トビウオや青ムロアジを塩水に浸けてから干物を作っていたが、島では補給しにくい水を替えずに作り続けたところ、有機物たっぷりになった水が発酵、強烈なにおいを放つ汁が出来上がった。写真の品は300年もののくさや汁で仕上げた逸品。その昔、くさや液は、島では薬として飲んだりしていたそう。

5. すんき漬け(長野県)

乳酸菌の活躍で、塩はなしでも美味しく仕上がる不思議な一品。

すんき漬け(長野県)

漬物の“口”で食べにいくと、肩すかしを食らう。しょっぱくないのだ。赤カブの葉と茎を熱湯で殺菌後、塩は加えず、冬季に低温環境で漬け込む。海から遠い木曽地方では食塩は貴重品で、漬物に多用はできなかったのだ。そこで、雑菌の繁殖を抑えるため、乳酸発酵だけで作られるようになったとか。ぱりぱりとした食感もよし。

6. 黒づくり(富山県)

イカスミの濃厚なコクが絶品。パスタソースにもうってつけ。

黒づくり(富山県)

スルメイカの身を細かく刻み、ワタとイカスミと一緒に熟成させた塩辛。加賀藩の特産品として幕府に献上されたという。イカスミは腐敗防止の役に立ち、免疫力の賦活化につながって、がんの予防に貢献するともいわれている。おかずにも酒肴にももってこいだが、生クリームを加えれば、極上のイカスミパスタソースになる。

7. フグの子(石川県)

お酒好きにはたまらない味。解毒できている理由は不明。

フグの子(石川県)

危険きわまりないモノを、塩漬けと糠漬けでじっくり発酵させるとこんな感じ。フグの卵巣にはもちろん猛毒が含まれるが、漬け込んでいる間に解毒されるという。ただし、なぜ漬け込むと解毒されるのか、そのメカニズムは科学的には解明されていないナゾの一品。しょっぱいようなら酢やレモン汁とともにどうぞ。軽く炙るのも可。

8. 鮒寿し(滋賀県)

凝縮された古式の寿司。寝かせ尽くした味わい深さ。

鮒寿し(滋賀県)

琵琶湖の固有亜種、ニゴロブナを塩漬けにしご飯に重ね、乳酸発酵させたもの。いわゆるなれ寿しの一種。白米にも味が染み込んでいるので、切り身と一緒でも、白米単体で食べても濃い味。地元では各家庭によって味が違うとか。これをつまみに冷や酒などいただけば、酔いが高速で回ること間違いなし。

9. 奈良漬(奈良県)

漬物の代名詞は歴史が長~い。好みの甘さ加減を選ぶべし。

奈良漬(奈良県)

塩漬けにした後、新しい酒粕に何度も漬け直しながら熟成させる実に手のかかる漬物。漬ける野菜はキュウリ、白ウリ、ショウガ、果てはスイカなんてのもあるそうだ。その歴史は驚くほど古く、西暦700年代頃の平城京から出た記録に、“粕漬瓜”と書かれてあったとか。たくさん食べたら車の運転はしないように。

10. 碁石茶(高知県)

生産者の苦労が濃い味わいに。冷やせば酸味で疲れも吹き飛ぶ。

碁石茶(高知県)

高知県の山中、長岡郡大豊町の名産品。7月に採取するやぶきた茶葉をじっくり蒸した後、むしろの上に分厚く広げて並べ、上からもむしろを掛け1週間強、カビによる一次発酵を行う。その後、再度蒸して、20日間ほど乳酸発酵(二次発酵)を行い、カットしたら天日乾燥で仕上げる。酸っぱいが、冷やせば酷暑の疲労解消にぴったり。

11. 辛子れんこん(熊本県)

お殿様のスタミナ食が起源。分厚く切って、ワイルドに!

辛子れんこん(熊本県)

昔々、病弱だった細川藩主に滋養強壮にいいとされたレンコンを出す際に凝らした工夫がこのメニューを生んだ。九州ではおなじみの麦味噌に辛子の粉を混ぜ込み、茹でたレンコンの穴に詰め、小麦粉、ターメリックなどを溶いた衣をまとわせ揚げてある。現地の居酒屋に行けば、鼻腔を軽く刺激するような出来たてがいただけます。

12. ミキ(奄美大島)

原液は驚きの酸っぱさ! 神に捧げる米のヨーグルト。

ミキ(奄美大島)

響きから想像できるように、由来は恐らく神酒。現地では神事で用いられてきたが、酒ではなく乳酸飲料。おかゆにすりおろしたサツマイモを加える。サツマイモが含むアミラーゼがデンプンを糖化し、環境中やサツマイモに付いてくる乳酸菌が発酵を進める。プレーンのまま飲めば非常に酸っぱいが、夏バテ防止にはちょうどいい感じ。

13. 豆腐よう(沖縄県)

泡盛のエッセンスを凝縮。酒飲みにはたまらない逸品。

豆腐よう(沖縄県)

こちらは沖縄名物の島豆腐を麴、泡盛に漬け込んで熟成、発酵させたこれぞ珍味。口にねっとりとまとわりつき、練りウニを思わせる。琉球王朝時代に中国から伝えられた腐乳が原型とされる。腐乳は塩で腐敗を防ぐが、豆腐ようは泡盛に漬けて防ぐ。箸でちびちびやりながら、泡盛もあれば言うことなし。

取材・文/廣松正浩 撮影/大内香織 イラストレーション/山本重也 監修/品田和義(醸カフェ主宰)

(初出『Tarzan』No.771・2019年8月29日発売)

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