• 「明日できる仕事は明日に回せばいい」乱れた自律神経を癒す4つのヒント
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2019.08.14

「明日できる仕事は明日に回せばいい」乱れた自律神経を癒す4つのヒント

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多忙な日々を送っていると、日常的に疲れを感じやすい。それは、カラダの自動運転の司令塔である自律神経に異変が生じている証拠。この記事では、自律神経を癒やす4つのヒントを紹介する。不調を感じる前に、日々実践したい。

1. 朝の「衝動」でモニタリングせよ。

自律神経の疲れを回復させて健全に保つには、何よりも量、質ともに十分な睡眠が求められる。そのために有効なのが、睡眠のセルフモニタリングだ。

睡眠と活動をレコーディング
睡眠と活動をレコーディング。
運動・行動、デスクワークは平均点(50点)と比べて100点満点で記入する。起床時の疲労感が大きいときは眠りを増やして、日中の負荷量を減らして対応。
資料/東京疲労・睡眠クリニック

今日から取り組める手軽なチェック方法は、朝寝床から起きて最初の一歩を踏み出したときの感覚に耳を澄ますこと。半分寝ぼけた状況だからこそ、覚醒時には自覚しにくい自律神経のコンディションが反映されやすい。

脚が重たい、しんどいと感じたら、自律神経の疲れが完全に抜けていない証拠。就寝と起床の時刻、運動や仕事といった前日の負荷量を書き出して“見える化”し、疲労感が抜けるように長く眠って質も高め、日中の負担を減らそう(上表参照)。

初めの一歩の感覚でもう一つモニタリングしたいのは、何かをしたいという“衝動”の有無。

「なんとなく湧き上がる衝動は、動物的な本能を反映したもの。自律神経の中枢がある脳の部分は本能に関わるので、衝動があるのは自律神経の状態が良い証しです」 (東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長)

たとえば、今朝はひと駅分歩こうかなと思えたら、自律神経が好調なサイン。逆に日課の筋トレが億劫や面倒に感じたら、自律神経は疲れている。眠りを見直そう。

2. 生活にゆらぎを取り入れる。

そよ風、川のせせらぎ、木漏れ日、野鳥のさえずりのように、何気にリラックスできるものには共通点がある。いずれも適度な「ゆらぎ」があるのだ。

ゆらぎとは、完璧な規則性を持つオフィスの空調や照明、電話の呼び出し音などと異なり、一定の平均値から少しだけズレた不規則な規則性を持つ現象。自然界に直線がないように、自然現象にも不変の規則性はなく必ずゆらぎを伴う。

自然の一部である人体の脳波や心拍数、血圧や血流などもゆらぎを帯びている。ゆえにゆらぎに満ちた環境は自らの生体リズムとシンクロして心地よさを感じ、副交感神経が優位になりやすい。

大自然に囲まれた温泉地を訪れたり、深い森を歩いたりすると心が静まってリラックスするのは、温泉や森林浴の効用ではなく、自然のゆらぎによる癒やしの賜物である。

都会のマンションやオフィスビルは人工的な空間でゆらぎが少ないため、副交感神経がオンになりにくく心身が休まらない。窓を少し開けて光や風の変化を感じたり、サーキュレーターの首振り機能でエアコンの風をランダムに巡らせたりすると、ゆらぎが生じてリラックスのきっかけが得られる。

3. 血流アップで自律神経を守る。

多種多芸の自律神経でいちばんプライオリティが高い仕事は血流の調節。血液は酸素、二酸化炭素、栄養素、熱を運び、免疫や代謝の維持にも貢献する。血流が良好だと自律神経の負担が減るし、自律神経の酸化で生じる疲労因子FFも排泄されやすい。

血流を促すために習慣にしたいのは、坐りっぱなしを避けて定期的に立ち、ほっつき歩くこと。

じっと坐った姿勢では股関節近辺で血管が折れ曲がって圧迫され、血流が妨げられる。また、心臓より低いところを巡る血液を重力に逆らって心臓へ還流させるのは、“第二の心臓”と称されるふくらはぎの筋肉の伸縮によるポンプ作用。

心臓は血液を送り出せても、吸い上げることはできない。坐りっぱなしだとポンプ機能がオフになったままだから、血流は悪くなりやすい。新幹線や飛行機などによる長時間の移動で疲れるのは、坐りっぱなしで血流が滞るからだ。

デスクワーク中や長時間の移動中は意識してちょくちょく席を立って血管の圧迫を解消し、歩き回ってふくらはぎの筋肉ポンプを動かすべき。仕事中は時間が許すならオフィスを離れて、ゆらぎのある近所の公園をプチ散策しよう。

4. 仕事は手抜きするべき。

以前よりマシになったとはいえ、日本にはまだ「徹夜で仕上げた」といった長時間集中する努力を称賛する文化が根強く残る。本人も達成感があってまんざらではないかもしれないが、睡眠不足で働きっぱなしだと自律神経はヘトヘト。過度な運動と同じく、達成感で疲労がマスキングされる「疲労感なき疲労」が生じやすい。

「100%集中して100%の結果を出そうとしても長続きしない。集中をしすぎると危険に気づかないので、注意を分散させるのが生き物としては正しい。適度に休みを入れて手を抜きながら、60%の努力で70%の成果を出して満足する方が自律神経も疲れず、安定してパフォーマンスが出せます」

投手だって全球全力投球したら、いずれ肩を壊す。仕事も全力を傾けず、省エネ投法で済まそう。「手を抜く」というと聞こえは悪いが、集中を続けると自律神経の疲労で能率は下がる。省エネ投法ならそれがないから効率的なのだ。

その日にやるべきタスクを並べたTODOリストを活用するなら、タスクを全部やろうと無理をせず、疲労度に応じて優先順位の高いものだけ片付けて過労を避けたい。明日できることは明日やろう。

取材・文/井上健二 イラストレーション/松原光、Yunosuke 取材協力/梶本修身(大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授、医学博士、東京疲労・睡眠クリニック院長)

(初出『Tarzan』No.769・2019年7月25日発売)

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