ゴール1回で何点入る? ラグビーW杯の基礎知識(2)
9月に迫った「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」(ラグビーW杯)の開幕を前に、「これだけ知っていれば十分楽しめる!」というポイントを教えてもらう全4回の短期集中連載。第2回も大学ラグビー部のコーチ経験もある、菅原順二トレーナーにお話を伺い、基本的なルールを教えてもらいました。
取材・文/神津文人 写真提供/長岡洋幸
トライの後に“コンバージョン”。
今回のテーマは、ずばり得点の入り方。ラグビーは得点をする方法が5種類あり、ケースによって点数が異なるのも1つの特徴だ。
最も得点が高いのが“トライ”。相手陣の最も奥に位置するインゴールと呼ばれるエリアにボールを運んで、地面につければトライとなる。入る点数は5点。
「ラグビーは陣取りゲームだと思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。ボールを持ったらパスを繋ぎながら前へ前へと進んで、敵陣深くにボールを運んでいくのが基本。最終的に目指すのが、インゴールというエリアにボールを置くこと。これがトライです」(菅原順二さん)
トライに成功したチームにはゴールキックが与えられる。トライした位置の延長線からキックし、ボールがゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過すると得点となる。これは“コンバージョンゴール”と呼ばれ、点数は2点だ。
「トライして、その後のコンバージョンに成功すれば、一気に7点取れるということです。ゴールキックは、トライした位置の延長線から蹴ることになるので、余裕があるときは、なるべくインゴールの中央に入ってトライをします」(菅原順二さん)
ラグビーでフィールドに立つのは1チーム15人。それぞれポジションと背番号が決まっていて、大きくフォワードと呼ばれる前の8人と、バックスと呼ばれる後ろの7人に分けられる。
多くのトライを求められるのは、バックスの左右のウイング(背番号11と14)。チームで最もスピードのあるプレーヤーが担う。前方にスペースのある状況でウイングにボールが渡ったときは、ビッグチャンスなのだ。
また「ほぼトライが間違いない」という状態で相手チーム(ディフェンス)の反則があった場合は、“ペナルティトライ(認定トライ)”が認められる。ペナルティトライが認められた時点でコンバージョンも成功したことになり、一度に7点獲得となる。
他にもキックでの得点が2種類。
相手側に重い反則があると、ペナルティキックが与えられる。これをゴールキックと同様に、ゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過させることができれば、3点取ることができる。これは“ペナルティゴール”と呼ばれる。
もう1つの得点方法が“ドロップゴール”。プレーが継続中の場面で、地面にワンバウンドさせたボールをキックし、ゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過させることができれば“ドロップゴール”となり、3点が入る。
「ドロップゴールはとても難しいプレーで、基本的にはどのチームもトライを優先して狙うのですが、相手のディフェンスが非常に強い場合は、有効な得点手段でもあります。昔、イングランドにジョニー・ウィルキンソン選手というキックの名手がいて、彼はドロップゴールをガンガン狙って得点していました。
イングランドが優勝した2003年のラグビーワールドカップでは、彼のキックが貴重な得点源で、決勝戦でも優勝を決定づけるドロップゴールを決めています」(菅原順二さん)
前回大会の決勝で、オーストラリアに傾きかけた勝負の流れを一気に変えたのもニュージーランド代表、ダン・カーターのドロップゴールだ。難しい反面、試合の流れを変えるかもしれないプレーでもあるのだ。
5種類の得点方法をまとめると…。
名称 | 得点数 | 方法 |
---|---|---|
トライ | 5点 | 敵陣のインゴールというエリアにボールを置く。その際、持ち込んだ選手はボールに触れていないといけない(投げ入れてはいけない)。 |
ペナルティトライ | 7点 | 「ほぼトライが間違いない」という状態で相手チーム(ディフェンス)の反則があった場合。コンバージョンも成功したと見なされるため、認められれば7点が入る。 |
コンバージョン | 2点 | トライに成功したチームにはゴールキックが与えられる。トライした位置の延長線からキックし、ボールがゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過すると得点。 |
ペナルティゴール | 3点 | 相手側に重い反則があると、ペナルティキックが与えられる。これをゴールキックと同様に、ゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過させることができれば得点。 |
ドロップゴール | 3点 | プレーが継続中の場面で、地面にワンバウンドさせたボールをキックし、ゴールポストの間かつ、クロスバーの上を通過させることができれば得点。 |