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2019.06.16

日本版ボリュメトリクスを実践する8か条。しっかり食べても太らない!

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しっかり食べても、太らない! ダイエット理論「ボリュメトリクス」を一言で言うと、そうまとめられる。ターザンは、肥満大国アメリカで生まれたボリュメトリクスを日本人向けにアレンジ。本記事ではそのポイントを8か条にまとめました。

満腹度、満足感をいかに高められるか

ボリュメトリクスの前提はアメリカ人の食生活。アメリカンサイズの服が日本人にフィットしないように、ボリュメトリクスがそのまま日本人のダイエットに使えるわけではない。

そこで注目したいのが、徳島大学大学院の奥村仙示先生がボリュメトリクスを踏まえて提唱する「デンシエット(Densiet)」。「低エネルギーでも満腹度、満足感の高い食事法。カロリーの密度(Density)と食事(Diet)を合わせた造語です」(奥村先生)。

デンシエットの開発に際し、奥村先生は昼食で280人にカロリー密度(CD)が異なる食事を食べる試験を実施。

1食500キロカロリーでも、カロリー密度が低く、野菜量が多くて食物繊維がリッチで、タンパク質をしっかり含むデンシエット食なら、満腹度も満足感も高く、優れたダイエット効果を持つと見出した。

満腹度(フルネス)は物理的にお腹がいっぱいになること、満足感(サティスファクション)は旨味や美味しさで脳が満たされることを示す。

今回は奥村先生のデンシエットを元にして、日本版ボリュメトリクスの基本ルールを8か条に整理してみた。このルールを守れば、食事を我慢することなく、最速5週間で1kgは減量できるはずだ。

低CD食は高脂質食と満足度がほぼ同じ。
低CD食は高脂質食と満足度がほぼ同じ。
男女280名にCDが異なる6種の弁当を昼食に週1回食べる無作為クロスオーバー試験を実施(何を食べているかわからない方法)。CDが0.75で500kcalのデンシエット食は896kcalの高脂質食と満足度がほぼ同等。
資料提供/奥村
低脂質食より、低CD食の方が痩せやすい。
低脂質食より、低CD食の方が痩せやすい。
これはロールズ博士らの研究。肥満女性97名を2つのグループに分けて、低脂質食と、野菜と果物を増やした低CD食で体重の変化を比べてみた。1年間の試験により、低CD食の方が減量効果は高いことが判明。
Am J Clin Nutr 2007; 85: 1465-77改

日本版ボリュメトリクス8か条

1. カロリー密度(CD)を1.0以下に抑える

2. 1日1食、ボリュメトリクスを心がける

3. 1食500kcalを基本とする

4. 主食はパンよりごはん普通盛り1杯

5. 野菜・きのこ・海藻を小皿3つ分

6. タンパク源は手のひらサイズ

7. 美味しい調理を心がける

8. ごはんを減らしてタンパク質を増やすアレンジも可

1. カロリー密度(CD)を1.0以下に抑える

日本は世界でもっとも肥満率の低い国の一つ。3人に1人がBMI30オーバーの肥満というアメリカ人には、日本人が“もうちょっと痩せたい”と言うのは、贅沢な悩みに聞こえるだろう。

日本人に肥満が少ない理由の一つはおそらく和食。「欧米食や中華はCDが平均1.5〜2.0と高めなのに、和食のCDは平均1.0〜1.5と低めです」。天ぷらなどの例外を除くと和食は伝統的にアブラを大量に使う調理が少なく、煮たり茹でたりして水分で調理するみずみずしい料理が大半。さらに旨味を活かした献立が多く、CDが低めで低カロリーでも充足しやすいというメリットがあり、太りにくいのだろう。

本家のボリュメトリクスでは、CDが平均1.5〜2.0の食事を1.5以下にするのが目標。でも、CDが平均1.0〜1.5の和食がベースの日本人がボリュメトリクスで「もうちょっと痩せたい」という悩みを叶えるには、平均値より低めのCD1.0以下を目指すべきなのだ。

2. 1日1食、ボリュメトリクスを心がける

どんな食事法も継続しないと期待した成果は得られないのに、超低カロリー食や糖質オフのように食生活を大胆に変える試みは挫折しやすい。

その点、日本版ボリュメトリクスは1日1食で効果的。3回の食事のうち1回、自炊しやすいタイミングで低CDを心がけるだけだから、心理的なハードルが低くて続けやすい。残り2食もできるだけ低CDを意識しよう。

1日1食で効くなら、1日2食にすれば2倍効くと思いがちだが、それは早とちり。むしろ2食以上やると健康を害する心配もある。

日本版ボリュメトリクスでは、1食200〜240gの野菜・海藻類・きのこ類を摂る。このため、1日2食以上行うと栄養素の過剰摂取につながるリスクもある。

なかでも注意が求められるのは、野菜・海藻類・きのこ類のいずれにも多いカリウムの摂りすぎ。カリウムを排泄する腎臓の機能が落ちてカリウム制限が必要な糖尿病の患者とその予備群は、実施する前に念のために医師と相談を。

3. 1食500キロカロリーを基本とする

摂取カロリーが消費カロリーを上回ってエネルギー収支が黒字に傾くと、黒字分は体脂肪となって溜まる。痩せるには摂取カロリーを消費カロリー未満に抑えてエネルギー収支を赤字に傾け、赤字分を補うために体脂肪の燃焼を促すべき。運動嫌いで消費カロリーが増やせないとしたら、エネルギー収支を赤字にするには、摂取カロリーを抑えるしかない。

平均的な日本人の食生活では1食当たりの摂取カロリーは600〜700キロカロリー(1日1800〜2,100キロカロリー)。そこから大幅にカロリーを減らしすぎると、食事の量と内容がプアになりすぎ、辛くて耐えられないから早晩ドロップアウトする。

そこで1食のみ500キロカロリーを目安と定めよう。これで1日当たり100〜200キロカロリーの赤字が作り出せる。体脂肪1kgは7,200キロカロリーだから、5週間から10週間もあれば体脂肪換算で1㎏減量できる計算になる。

4. 主食はパンよりごはん普通盛り1杯

日本版ボリュメトリクスはごはんが主食。対抗馬のパンとCDを比べると、ごはんのCDは1.68なのに、食パンは2.6、ロールパンは3.2、クロワッサンは4.46であり、ごはんの方が低めだからだ。

浸水して炊くごはんは60%が水分。一方の食パンの水分量は38%、ロールパンは31%、クロワッサンは20%であり、パン食はバターやベーコンといった脂質の多いものと相性抜群なので、パンが主食だと低CD化は難しい。

ごはんは1食当たり普通盛り1杯(150g)が基本。約250キロカロリーで、1食分のカロリーの半分が摂れる。日本人の摂取カロリーのうち、ごはんなどの糖質から摂るカロリーは平均57%。通常の食事のカロリー比率に近いので違和感なく続けられそう。

麺類のCDはうどん1.05、そば1.3、中華麺とスパゲティは1.5と低い。だが献立が限られて栄養バランスが整いにくいし、汁物は塩分過多につながりやすい。

5. 野菜・きのこ・海藻を小皿3つ分

CDが低い食材の代表が野菜。野菜は90%前後が水分であり、総じてCDは低い。それでいてビタミン、ミネラル、食物繊維がたっぷり。ゆえに日本版ボリュメトリクスでは1食当たり200〜240gの野菜摂取を勧める。加熱した状態で小皿3つ分、片手のひらで作る凹みで同じく3杯分である。

この200〜240gには、野菜と同じくCDが低めでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なきのこ類や海藻類を入れてOK。

野菜、きのこ類、海藻類は食事の低CD化に貢献し、栄養バランスも整えて満腹度と満足感を高める。体内のエネルギー代謝を円滑に回すにはビタミンが不可欠で、新陳代謝をサポートする酵素を働かせるにはミネラルが必須。

さらに胃や小腸で消化吸収されにくい食物繊維は大腸まで届いて腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるほか、糖質の消化吸収をゆっくり進めて血糖値を安定させて、食欲の暴走にブレーキをかけるのだ。

6. タンパク源は手のひらサイズ

筋肉などのカラダを作るタンパク質は、減量中でもきちんと摂りたいもの。タンパク質不足で筋肉が落ちると、代謝が下がって太りやすくなる。加えてタンパク質が豊富な食事は満腹中枢を刺激し、食べすぎを自然に抑える。

タンパク源となる主菜は肉類、魚介類、大豆・大豆食品、卵など。これらを取り合わせて1食当たり60g(指を除いた男性の手のひらより一回り小さいサイズが目安)食べると、タンパク質が12〜15gほど摂れる。ごはんや副菜などのタンパク質と合わせると1食当たり約20gとなり、成人男性の1食分にほぼ相当する。

脂質が多いとCDが高くなりやすいので、タンパク源は食材の選び方にも気を配ろう。豚肉はヒレ肉ならCDは1.3だが、ロース肉だと2.63と倍以上。クロマグロでも赤身のCDは1.25だが、トロでは3.44と約3倍となる(いずれも生の場合)。

タンパク源は低脂質な部位を選び、調理法も揚げ物や炒め物より、焼き物や蒸し物や煮物のようにアブラ不要なものをチョイスしたい。

7. 美味しい調理を心がける

CDとかカロリーとかタンパク質量とか日々の体重とか。ダイエットを試みると、やたらと数字やデータばかりが気にかかる。

ダイエットはサイエンスだから数字やデータをまったく無視するわけにはいかないけれど、減量に挑むのはロボットでもAIでもなく、血が通った生身の人間そのもの。スリムになりたいというモチベーションが高くても、美味しく感じられないと食べ続けられない。

ボリュメトリクスも続けないと痩せないから、味覚にもこだわるべき。「とくにCDが低いからといって野菜を生のままで大量に食べようとすると、草食動物の“エサ”のように感じて満足度が下がり、嫌になる恐れもあります」。

手っ取り早く美味しく仕上げようとすると、アブラや糖質を添加しがちだが、それだとCDが高くなる。出汁などの旨味、柑橘類の酸味やスパイスの辛味を活用するなどして低CDで脳も胃袋も満たされるような食事を心掛けよう。

8. ごはんを減らしてタンパク質を増やすアレンジも可

肉類や魚介類などの主菜をもう少し食べたい、筋トレでカラダ作りに取り組んでいるからタンパク質の摂取量を多めにしたい…。

そういうタイプは主食のごはんの量を150g→100gへサイズダウンし、代わりにタンパク源を60g→80gに増量するアレンジも可能である。

「40代以上はごはんの量が多い方が満腹度・満足感が高くなるのに、30代以下では主菜のタンパク源が多い方が満腹度・満足感が高くなる傾向があるという研究結果も出ています」。

ごはん100gというとコンビニの小さめのおにぎり1個分くらい。タンパク源80gとは指を除いた男性の手のひらサイズであり、タンパク質が16〜20gほど摂れる。

ごはんなどのタンパク質と合わせると1食当たりタンパク質は25〜30gとなり、ノーマルのボリュメトリクス食よりタンパク質が多めに摂れる。迷ったら両方試してみて、より満腹度・満足感が高くて継続しやすい方をセレクトしよう。

『低カロリー満腹食』

低カロリー満腹食
カロリー密度(CD)に注目したデンシエットの解説書。CD一覧表や素材別のインデックスのほか、ごはんを入れても1食500kcalの実践的なセットメニューレシピが多数紹介されている。奥村仙示著、講談社刊。

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 料理製作/美才治真澄(管理栄養士) 取材協力/奥村仙示(徳島大学大学院医歯薬学研究部 博士〈栄養学〉、管理栄養士)
(初出『Tarzan』No.729・2017年10月26日発売)

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雑誌『ターザン』768号

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