「いわゆるランニングはしません」|石川祐希・勝負のカラダづくり vol.7
以前公開した記事ではダイナミックかつ美しい跳躍を披露してくれた、バレーボール・石川祐希選手。現在、イタリア・セリエAのチーム〈シエナ〉で活躍する彼は、自分のカラダとどのように向き合い、世界最高峰のリーグで勝負をしているのか。
『Tarzan』本誌の特集テーマをお題に、日々のカラダづくりの裏側に迫るWEB限定連載!
取材・文/石飛カノ 撮影/角戸菜摘
ランよりもタバタで鍛えてます
『Tarzan』No.759は、冬の恒例「ランニング」特集。さて、石川祐希選手のトレーニングの中でランが果たす役割とは? その質問の答えは、
「いわゆるランニングはしません」
ガーン! 走れと言われればもちろん、走る。コート上ではあんなに機敏に走っているのだから。ではランニングをしないのはどうして?
「ランニングの目的には、下半身や心肺機能の強化、忍耐力の向上などがあると思います。それらは恐らく、どの競技をやっているアスリートにとっても重要な要素ですよね。僕は、それらの強化もできる限りバレーボールの動きの中でできたらいいと考えています」
パフォーマンスアップのための動きは、実際の競技の動きの中で強化するってことですね。
「タバタトレーニングって知ってますか?」
高強度インターバルトレ、HIITですよね。
「タバタトレーニングは、20秒+10秒インターバル×8セット=4分で行うトレーニング方法なのですが、この4分間で限界まで追い込むことで、有酸素性エネルギーと無酸素性エネルギーを同時に、かつ最大に刺激できるっていう研究がされているんです」
へえ〜、げ、限界までですか…?
「なので、走る動作とバレーボールの動作を組み合わせた動きをタバタトーレニングに当てはめて、特にオフ期のフィジカル強化としてやっています。例えば、コート上をダッシュすることもしますし、サイドステップで左右に動いて、両サイドで上げられたボールをタッチしたり、それを20秒間全力で!追い込まないと意味がないので、結構疲れますよ」
バレーボール・タバタ! ひ〜、想像するだけでキツそうです!
オフ日はウォーキングでリフレッシュ
「オフの日には、しっかりと休息をとった後に、よく散歩に出かけます。近所を歩くこともあれば、Centro(チェントロ・中心街)に出かけることもあります」
「僕の住んでいるシエナは、トスカーナという地方にあって、フィレンツェに次ぐ人気の都市です。日本ではあまり有名ではありませんが、中心街(旧市街)は、歴史地区として世界遺産に登録されているんです」
「歩いているだけでトレーニングになるくらい坂道が多くて、石畳の道の両脇には石造りの建物が立ち並んでいます。大聖堂と広場があるのも、イタリアの街ならではですね」
「僕が好きなのは、カンポ広場から見る空です。360度を建物で囲われているので、その真ん中から突き抜けて青空が見れると、とても気持ちがスッキリします」
「街を歩いていると、それまで気づかなかったお店や景色を発見したり、地元のファンの方から「Ciao, Yuki!」と声をかけてもらったり、いいリフレッシュになっています」
石川祐希
いしかわ・ゆうき/1995年生まれ。小学4年でバレーを始め、2014年に日本代表入りを果たす。同年から世界最高峰リーグの一つであるイタリア・セリエAのチームでプレーし、2018年4月、大学卒業と同時にプロ宣言。今シーズンは同じくセリエAのシエナに所属。
instagram:yuki_ishikawa_official