• 石川祐希、跳ぶ! バレーボールに不可欠な姿勢と呼吸の鍛錬法を聞いた
COLUMN
2018.10.26

石川祐希、跳ぶ! バレーボールに不可欠な姿勢と呼吸の鍛錬法を聞いた

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石川祐希/(いしかわ・ゆうき)1995年生まれ。小学4年でバレーを始め、2014年に日本代表入りを果たす。同年からイタリア・セリエAのチームでプレーし、2018年4月、大学卒業と同時にプロ宣言。今シーズンは同じくセリエAのシエナに所属。

世界最高峰のイタリア・セリエAの石川祐希選手を直撃! バレーボール界の超新星に、プレー中における「姿勢と呼吸」の重要性を語ってもらった。

最高到達点、3m51cm。これ、おおよそバスケットボールのバックボードの上辺に相当する。バレーボール全日本のエース、石川祐希の跳躍力はダンクシュートどころの話じゃないのだ。

「日本だと高い方でも海外では普通。高くはないと思います」

淡々と自己評価。にしても、そんな高さから時速130㎞のスパイクが飛んでくるのだから、バレーって超おっかないスポーツだ。

「バレーを始めたのは小学生ですが、身長が伸びればジャンプの到達点は自然に上がっていきます。高校を卒業するまで身長が伸び続けていたので、その分到達点も伸びたんだと思います」

小学校卒業時の身長157cmから高校卒業時は191cm。22歳の現在は192cm。これで完成形。10年で35cm(!)伸びたことになる。アウトサイドヒッターにとって身長は命。子どもの頃から睡眠を十分取り、骨の成長を妨げないよう、高校を卒業するまで敢えて筋トレをしなかったのだという。

まっすぐ立ってもらうと、高身長、小顔、膝下長ッ! 日本人らしからぬボディバランス。

「でも立ち姿勢は猫背ぎみ。バレーボールはスパイク動作以外は常に前屈みで待機する競技だから、猫背になりやすいんです」

前傾姿勢から上の写真のような空中での弓なり姿勢になる。

「だから、屈んだり反ったりする脊柱の可動域が必要。それが確保できないとケガにつながる」

なるほど、バレーの極意は動きの中での脊柱の制御にあり!

Q.どうやって空中で姿勢をコントロールしているの?

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相手の強烈なスパイクを自分で拾って、すぐさま体勢を立て直し、トスをもらってお返しとばかりに会心のスパイクを決める。そんなプレーをすることもしばしば。

前傾姿勢から助走、ジャンプ、反り姿勢でのスパイク。一連の動きを可能にするのは腹筋の力。

「ジャンプしてカラダを反らせて打った後に体勢を戻すので、腹筋の力が弱いと反ったときの腕のスイングが遅くなります。そこで腹筋に無理な負荷をかけると肉離れを起こすこともあるんです」

腹筋の肉離れ…ああ、めっちゃ痛そう。

「理想はカラダの軸をまっすぐ保ち、軸を中心に体幹を回旋させること。軸がブレると、トスに対応できなかったり打点が低くなったりスパイクに力が乗らなかったり。視野が狭くなるということも」

完璧な空中姿勢かどうかは着地の際の体勢にも表れる。

「悪い姿勢でスパイクを打つと、片足着地になって軸脚の膝を痛めやすくなるんです。理想は両足着地。でも、試合では時に無理な体勢でスパイクを打ってしまうので片足着地になりがち。そうするとカラダに負担がかかって…」

その案配が悩ましいところ?

Q.プレー中の呼吸の意識は? チームの息の合わせ方を教えて

展開の速いバレーのゲームで、呼吸のタイミングはどのようにとっているのだろう。

「スパイクで助走するときはその前に息を吸ってますね。ヒットの瞬間ですか? 呼吸は止まってると思います。静止した状態からカラダを動かすとき、たとえばサーブのときやサーブレシーブのときは、必ずひと呼吸おいてから動作に移ります。基本的に動いているときの呼吸は無意識ですね」

ボールを繫いで守り攻めるバレーの競技特性では、チームメイトと息を合わせることも重要なポイントとなる。今年、イタリアのセリエAでのプレーが4シーズン目となるが、セッターとの息の合わせ方はさぞや難しいのでは。

「呼吸というよりテンポが合うか合わないか。イタリアのセッターは身長も高くパス力も高いのでアタッカーとしては入りやすい。でも、息を合わせるには練習やコートの外でたくさんコミュニケーションをとって、試合で実践していくしかありません。イタリア語はまだまだ拙いですけど、日本のチームと同じようにコミュニケーションを図って積極的に息を合わせていきたいです」

フォルツァ(頑張れ)!

Q.常日頃から呼吸の制御のために気を配っていることは?

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腹圧を上げたまま呼吸を続ける!
お腹に手を当て、息を大きく吸って横隔膜を下げ、腹圧を上げる。お腹に力を入れたまま呼吸を続ける。この感覚を身につけることで腹圧を保ったままのスパイクが可能に。

コート上でプレーをしているときの呼吸は、基本的に無意識に任せている。その分、コートの外で呼吸のコントロールに努めているという石川選手。

「動作中に意識するというより、日頃から体幹を締めて呼吸するよう意識しています。息を吸って腹圧を上げてその状態をキープしながら呼吸を続けます。打つときに腹圧が抜けてしまうとケガをするので、いい状態、いい姿勢で打てるように」

こうした常日頃の腹圧トレーニングが、腹筋の肉離れの予防にもなるのだとか。

「中学生のときに左下の腹筋の肉離れをした経験があります。呼吸を含めたカラダの連動ができていないとケガが増えるんです」

Q.姿勢のコントロールのために実践していることは?

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腰痛と膝痛に悩まされ、プロ宣言直後にはリハビリトレーニングに専念する時期もあった。

「腰痛は右側の腰。スパイクを打つ回旋動作のときに痛みがありましたが、体幹を鍛えることでコンディショニングの成果が出ています。とくに重要なのは胸郭を動かすトレーニング。胸郭の連動によって腰に負担が集中しないようにしています。膝はもう長年のジャンパーズニー。去年の12月くらいからシングルレッグのスクワットを取り入れて、こちらも今はいい状態を保てています」

それ以外にも、全身のストレッチは毎日1時間、みっちり行う。股関節を調整しカラダの歪みを矯正する大事なケア。プロたるもの、メンテナンスは徹底的に!

石川祐希選手が実践する、姿勢と呼吸の鍛錬法

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1|膝まわりの筋肉を強化するシングルレッグ・スクワット

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バランスディスクの上に片足を乗せ、ゆっくりと腰を落として元の姿勢に戻る。膝痛予防の姿勢トレーニング。左右各10回。「最初は立つことから始めて最終的には目を閉じたまま行うのが目標」。

2|毎日の開脚ストレッチで股関節の張りや歪みを解消

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中学生の頃から筋トレの代わりに入念に行ってきたストレッチ。左右に開脚して上体を前屈した状態で30秒キープ。「チーム合宿のときも自宅でも。自宅ではお風呂上がりに行うのが日課です」。

3|胸郭を動かすトレーニングで腰への負担を軽減させる

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仰向け姿勢になり、フォームローラーに肩甲骨を乗せて上体を反らせる。胸郭を動かす姿勢と呼吸のトレーニング。10〜15回×3セット。「体幹と胸の動きを連動させることで、腰への負担が減りました」。


取材・文/石飛カノ 撮影/伊藤徹也 ヘア&メイク/天野誠吾
(初出『Tarzan』No.752・2018年10月25日発売)

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