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ツライ肩こり予防と対策には、筋膜リリース&ストレッチ!

筋膜からアプローチすると意外な場所から肩こり予防ができる。筋膜リリースで肩こりを撃退すべし! 前腕、頸部前面、頸部後面、そして脇の下の4点にアプローチする筋膜リリースの方法を紹介します。

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筋膜は全身連なっている

肩まわりの筋肉のストレッチだけではほぐれない肩こりには、筋膜も含めて考えた方がいい。筋膜は全身をシームレスに覆う一枚仕立ての薄いタイツのようなもの。皮膚の直下を走り、筋肉と骨を覆い、筋肉を構成する筋線維一本一本までカバーする。

普段はありがたみを感じないが、姿勢を支えて筋肉の動きを助けることから骨に次ぐ“第2の骨格”とも呼ばれている。この筋膜のどこかにねじれや癒着があると筋肉の動きが悪くなり、血流の不足を招いて凝りや痛みの元になりやすいのだ。

筋膜を元通りの健全な状態に戻すために行うのが筋膜リリースという手技。筋肉をストレッチすれば、筋膜も一緒にリリースされる気もするが、そうは問屋が卸さない。

「筋肉はアクチンとミオシンというタンパク質からなりますが、筋膜はコラーゲンとエラスチンというまったく異なるタンパク質で作られています。素材が違う筋肉と筋膜は伸縮スピードが異なるので、別々にケアする必要があるのです」(ムーブメント・セラピストの葉坂多壱貴さん)

筋膜は全身連なっているから、肩まわりのみに目を向けるのではなく、腕や首すじ、脇の下といった周辺からアプローチすることで間接的に肩こりの解消が狙える。筋膜リリース&ストレッチはいつでもどこでも試せるけれど、筋膜は筋肉と同じように温まった状態の方が伸びやすい。

湯船に浸かりながら、あるいはお風呂上がりに行うとより深いリラクセーションが得られるだろう。回数や秒数の目安はあえて示さなかったが、機能改善が起こるまで何度かトライしてみてほしい。

1. 前腕にアプローチ

手のひらを開き、突っ張る人向け

スマホやパソコン操作などで現代人は手のひらを閉じる前腕などの屈筋群を酷使しており、それが筋膜を介して肩まわりの緊張につながる場合が少なくない。手のひらを「パー」に開いたとき、手のひらが反る、突っ張る人はそのパターンである可能性大。

前腕をリリースすることで肩まわりを緩めて、同時に手足などの末端が緊張して体幹が使えない間違ったカラダの使い方もリセット。

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前腕の橈骨と尺骨の間に肘を当てる

筋膜リリース(前腕)01
椅子に坐り、右肘を右太腿に乗せる。前腕の内側の真ん中に左肘を沈め、右腕の力を抜いてリラックス。

マヨネーズを底から絞り出すように肘を動かす

筋膜リリース(前腕)02
体重をかけて左肘を沈めたまま、残り少なくなったマヨネーズを底から絞り出すように、手首に向かって滑らせていく。

手のひらがある程度閉じたら、肘の動きを止める

筋膜リリース(前腕)03
滑らせると右手のひらが自然に閉じてくる。ある程度閉じたら、左肘の動きをストップ。

肘を深く沈めて動かさない

筋膜リリース(前腕)04
左肘を沈めたまま動かさず、指と指の間を開くように力を入れて右手のひらを大きく開く。

手のひらのグー、パーを繰り返す

筋膜リリース(前腕)05
開いたら脱力し、再び左肘を滑らせて手のひらが閉じたら、同様に左肘の動きをストップしてから、手のひらを開く。これを繰り返しながら手首まで左肘を滑らせる。元に戻ったら、左右を変えて同様に行う。

手のひらのグー、パーを繰り返す

筋膜リリース(前腕)06

2. 頸部前面にアプローチ

猫背で頭が前に出ている人向け

頭の重み(およそ5kg)を首(頸椎)まわりの筋肉がきちんと支えられないと、首と肩の筋肉と筋膜にストレスが加わり、緊張と痛みを引き起こしてしまう。猫背で頭を前に突き出す不良姿勢で固まりやすい胸鎖乳突筋や斜角筋といった首すじ前面の筋肉と筋膜を伸ばすイメージで、頸部前面をリリース。

正しくできたら首の前面のスペースが広がり、シワが減って見かけがすっきりするはず。

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両手で胸を強く引き下ろす

筋膜リリース(頸部前面)01
両足を腰幅に開いて立ち、右の鎖骨の下に、左手のひらを置く。その上に右手のひらを重ねたら、脇を締めて両手を固定。両手を胸に少し押し込み、胸を強く引き下ろす。

首の回旋が入らないように注意

筋膜リリース(頸部前面)02
両手で胸を引き下ろしたまま、首をひねらないようにして頭を左へ倒す。

胸(胸椎)まで反らない。反らすのは首(頸椎)だけ

筋膜リリース(頸部前面)03
両手で胸を引き下ろして首を左へ倒したまま、天井を見るように首を後ろに反らして頸椎を伸ばす。

顎を天井へ向けるように回旋する

筋膜リリース(頸部前面)04
そこから顎を天井へ向けるように首を右へひねる。このときも両手で胸を引き下ろしたままで。元に戻ったら、左右を変えて同様に行う。

3. 頸部後面にアプローチ

首まわりの緊張が取れない人向け

首の後ろのインナーマッスル・後頭下筋群には頭の位置を保つために筋肉の状態を感知する固有感覚受容器が集まる。前傾姿勢が多く首が緊張して詰まると、この固有感覚受容器がマスキングされて緊張が取れにくくなる。それをリセットする。

正確に行わないと首を痛めるので、スマホなどで動画を撮って正しくできているかチェックしながら行う。慣れるまで3回以上はやらない。ジムボールがないときはタオルを丸めて置けばいい。

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首と頭のつなぎ目にボールを当てる

筋膜リリース(頸部後面)01
床で仰向けになり、両膝を腰幅に開いて立てる。首の後ろ(髪の生え際)に、少し空気を抜いたジムボールを置く。両手を胸で組み、呼吸を整えながら胸と腰が反らないポジションを作る。

顎の先に糸が付き、天井へ吊られる気持ちで

筋膜リリース(頸部後面)02
顎の先を天井からクレーンで吊られるイメージで、頭の重みをボールに預けたまま上げる。首の後ろのスペースを保ち、胸が床から浮かないような小さな動きでゆっくり行う。

首の角度を保ったまま頭を浮かせる

筋膜リリース(頸部後面)03
首の角度を保ったまま、頭をボールからわずかに浮かせてキープ。胸郭が床から浮き上がらないように注意する。

頭をボールからわずかに浮かせて保つ

筋膜リリース(頸部後面)04
頭のポジションをブラさずに保って、頭を浮かせたまま顎を引いて、首の後ろを伸ばす。

うなずいた角度をキープする

筋膜リリース(頸部後面)05
首の角度を変えないで、そのままボールの上に静かに頭を下ろす。

4. 脇の下にアプローチ

それでも肩こりがつらい、という人向け

肩甲骨、肩、腕をつなぐ筋膜のラインをリリースして肩こりを改善してくれる重要なテクニック。大胸筋や広背筋などのアウターマッスルに加えて、小胸筋、前鋸筋、肩甲下筋といったインナーマッスルもまとめて緩めてくれる。

フォームローラーがない場合には、ワインボトルにバスタオルを巻いたもので代用できる。時間がないときは下記の(1)〜(5)だけ試しても、肩と肩甲骨の動きが良くなるだろう。

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肋骨上部にローラーを当てる

筋膜リリース(脇の下)01
床で横向きに寝て、脇の下にフォームローラーを置く。腕をローラーに乗せず、肋骨上部の体重がかかるところに置く。首の緊張を抜き、肩や腕に頭の重みを預ける。両膝を曲げ、股関節の緊張を抜き、上の手を腰の前でついて姿勢を安定させる。その姿勢を保ったまま、ローラーにカラダが沈み込むようなリラックス感が得られるまでしばらくゆっくり呼吸をする。

首をリラックスさせ頭を上げる

筋膜リリース(脇の下)02
十分リラックスできたら、足指か脛で床を押してカラダ全体を上下させ、カラダの側面にローラーを転がす。肋骨下部は弱いのでそこまで転がさないこと。腰から大きく動かすのではなく、小さくモゾモゾと全身を動かし、ローラーを転がす。

脇全体でローラーに覆い被さる

筋膜リリース(脇の下)03

腰をリラックスさせたまま行う

筋膜リリース(脇の下)04
カラダを少し斜め前に傾け、脇全体でローラーに覆い被さり、(2)と同じように腰をリラックスさせたまま、カラダ全体を前後させてローラーを動かす。

胸を天井へ向けるように胸郭を開く

筋膜リリース(脇の下)05
(1)の位置に戻り、斜め後ろにカラダを開く。上の脚を床側の脚の後ろに立てて、膝を天井へ向ける。肩甲骨と肋骨の間にローラーを当て、胸を天井へ向けるように胸郭を開く。頭の重さは肩や腕に預け、首すじの緊張をオフ。立てた脚で床を蹴り、肩甲骨と肋骨の間や肩甲骨にローラーを当てて転がす。

上腕の側面と床でローラーを挟む

筋膜リリース(脇の下)06
(1)の位置に戻り、全身を足首側へ移動させて、上腕の側面と床でローラーを挟み込む。床と平行になった腕に頭を乗せて重みをかける。

腕をゆっくりランダムに動かす

筋膜リリース(脇の下)07
腕を内側や外側へひねったり、手のひらを開いたり閉じたりしてゆっくりランダムに動かし、腕全体を含めてリリース。元に戻って、左右を変えて同様に行う。

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取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/齋藤良介 ヘア&メイク/村田真弓 監修/葉坂多壱貴(エクスパンショナルピラティス協会代表)

(初出『Tarzan』No.679・2015年8月20日発売)

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