本来ならば聖者から弟子に口伝で授けられるヒマラヤ秘法だが、今回はヨグマタジから特別にミニ秘法を紹介してもらった。まずは呼吸。
「ヒマラヤ瞑想で大切にされることの一つに、右の鼻腔と左の鼻腔のバランスがあります」
右の鼻腔は“ピンガラ”、左の鼻腔は“イダ”というエネルギーの通り道。前者の象徴は太陽で交感神経と関わりが深く、後者の象徴は月で副交感神経と関わっている。
「左右の足を交代に出して歩くように、左右の鼻腔も常に交代して呼吸をしています。ところがエネルギーのバランスが崩れると交感神経が乱れ、不眠やストレスなどさまざまな不調が表れます。心の使い方がネガティブな人は左右の鼻腔のバランスが崩れやすくなります」
試しに片側の鼻だけで呼吸してみると、左右どちらかの通りが悪いことが分かる。
「その場合は、詰まっている鼻を上にして横になりましょう。しばらくすると整ってきます。それが調和するということなんです」
左右の鼻腔のバランスを整える
続いて瞑想の基本姿勢。背すじを伸ばしてあぐらをかく。
「体勢がつらければ座布団やクッションなどをお尻の下に敷くと楽に背すじが伸びます。左右の膝の下にクッションを敷くとさらに楽になります。その状態で目を伏せて鼻先のてっぺんを意識し、入る息、出る息を見つめましょう。鼻で深く息を吸い込んで吐いて、カラダと頭をリラックスさせましょう」
5分もすると頭がスッキリ!
リラックスしながら正しい瞑想の姿勢をとる
姿勢と呼吸が整ったら“ミニ秘法”に挑戦!
行き詰まったときは胸を叩く呼吸法で状況を打開する
仕事や人間関係で行き詰まったときの呼吸法。うまくいかない原因は自分自身のマインドの使い方にある。
「自分さえよければいい」と考えていたり、「あいつのせいで仕事がはかどらない」「絶対に許さない」など、相手に対して不満や怒りを溜め込んでいるため困難な状況を招いている可能性が高い。
あるいは、「こうなったのは全部自分が悪いせい」と、必要以上に自分を責めていることが原因になっている場合もある。
マインド以外に考えられる原因としてはカラダの歪み、運動不足、肉体的な疲れなどなど。これらが重なって自分の周りの状況を膠着させている場合も。
打開策の“ミニ秘法”は、ゴリラのように胸を叩く「バタバタ・ハー呼吸」。下のイラストの1〜3の動きを2、3回繰り返すと気分がすっきりして呼吸が楽になるはず。行き詰まった状況が好転するきっかけに。
怒りや悲しみ、負のエネルギーを笑いの力で吹き飛ばす
自分自身だと思っている感情は、マインドが反応した結果として生まれてくるもので、それは本当の自分自身ではない。
たとえば、仕事でミスをして上司から厳しく責められたとき。「自分は一生懸命やっているのに」と怒りが湧いてきたり、「自分はダメな人間だ」と悲しみの感情に打ちのめされたりするかもしれない。でもそれは、自分自身が傷つき、打ちのめされたということではなく、ただマインドが反応しているだけ。
願いが叶わなかったり自分が周囲に認められなかったときに起こる悲しみや怒りの感情は、自分をますます卑屈な存在にして、生命力を奪ってしまう、いわば負のエネルギー。
そんなときは思い切り笑うことで負のエネルギーを振り払うのも一つの方法だ。マインドに囚われている自分自身から抜け出すことができれば、生きる力が復活してくるはず。