漢方的視点で秋のおすすめ食材は…「キノコ」(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は秋とキノコについて。
秋にキノコがおすすめな漢方的理由
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
秋の味覚といえば何を思い浮かべますか? おいしいものが目白押しの季節ですよね。漢方的視点で力強くおすすめしたい秋の味覚はずばり、キノコです!!
ダイエット食材としても人気のキノコですが、別にダイエットはしてないという方にも、ぜひ食べていただきたい理由がたくさんあるのです。
① 物悲しい秋にキノコ
秋は自然界の陰陽のバランスが変わるとき。夏至に極まった陽は徐々にそのバランスを変化させて陰が極まる冬至へと向かうわけですが、秋はその通過点ですよね。
活動的な陽から静的な陰になると、人の気持ちも落ち着いてくるものです。外界からの影響を受けやすい人はこの時にひどく落ち込んでしまったり、情緒不安定に陥ることがあります。自然といえば自然なことではあるのですが、あまりに日常に影響があるようだと困ります。
そこでキノコの出番です。カロリーは少ないですが、実はキノコは元気の「気」を補うパワフル食材です。陰に傾きすぎて不調かも、という秋にバランスをとってくれます。
同様の働きをする食材はほかに、山芋、お米、なつめなどがあります。
② 腸活にキノコ
秋は大腸と結びつきが深い季節です。乾燥の季節でもありますので、これが腸に及ぶと便が硬くなったり便秘になるなどの影響が出てきます。
そんな時に頼れるのがこれまたキノコ。
キノコは食物繊維を多く含む食材です。不溶性食物繊維は水分を含んで便のかさを増し便秘の改善に役立ちます。また水溶性食物繊維の特徴のひとつであるぬめり成分は腸内細菌たちを活発化して、腸を整えることはもちろん、私たちの体に有用な菌代謝産物をもたらしてもくれます。
腸思いの食材をさらにプラスするならゴボウやサツマイモ、オートミールもいいですね。
③ 秋の美容にキノコ
大腸と同様に秋に重要なのが肌です。肌と腸は表裏の関係ともいわれ、美肌ケアと腸活はもはや切っても切れない関係なのは多くの方がご存知で、また実践なさっていることでしょう。
ここで美容にキノコを推す理由は、さらにもう少し深掘りしたところにあります。先にもキノコは「気」を補う食材であると紹介しましたが、この「気」は肌のキメをコントロールしたり、下垂を防いだりしてくれます。
つまり気が不足すると毛穴の広がりやシワが目立ってきます。この場合は補った気を逃がさないように収斂効果のある酸味を併せて使うのがコツです。お酢やすだちなどメニューに合わせて取り入れてみてください。
秋なのに汗をたくさんかいてバテ気味の方にも、キノコと酸味の組み合わせはおすすめです。