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その腰の痛み、過去の部活動が原因? 腰椎分離症を学ぶ

トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第32回は「腰椎分離症の原因と改善エクササイズ」について。

ねじりやジャンプなどが腰椎分離症の一因に

腰痛対策のコンディショニング、今回は「腰椎分離症」について解説していこう。背骨(椎骨)の前方には円柱状の「椎体」があり、その後ろで脊髄が通る脊柱管をリング状に覆う骨を「椎弓」という。

腰の屈曲・伸展やねじり、ジャンプといった動作を繰り返し行うことで、この椎弓が疲労骨折を起こした状態が腰椎分離症。椎弓の関節突起間は特に細くて衝撃に弱く、こうした運動によって亀裂が入りやすくなるのだ。

最も原因を生じやすいのは、骨がまだ発育途上にある10代の成長期。こうした時期にバレーボールのアタック野球の投球や打撃新体操などのスポーツ活動を高レベルで行うと、椎弓に過度な負荷をかける要因となる。

さらに部位としては、背骨の傾斜が強く力学的な負担がかかりやすい、骨盤の上かつ背骨の下部である腰椎5番に多発するとされる。

コンディショニングのひみつ 腰椎分離症 椎弓

背骨の後部にある「椎弓」に亀裂が入ったり、分離したりすることで痛みが発生する。骨盤の上にある腰椎5番に好発する。

腰椎分離症でやっかいなのは、カラダが柔軟な若年のうちは発症に気づかなかったり、安静時や軽度な運動では痛みが出なかったりする場合があること。やがて成人以降、体重の増加、柔軟性の低下、加齢による椎間板の弾力低下なども引き金となり、日常的な腰痛となって表れるケースも少なくない。

反らす・ねじる動きで痛みが出るなら、医療機関で検査を

過去にこうしたスポーツ経験があって、腰を反らす・ねじる動きで痛みが出る場合は、要因として疑ってみるといいだろう。

医療機関での検査および必要な処置を受けたうえで、ここからは痛みの改善・緩和に有効な方法を紹介しよう。

まず必要なのは、腹筋群や横隔膜などの収縮による腹腔の内圧、つまり「腹圧」を高めること。これによって背骨を支える体幹部が安定し、腰椎への負担を軽減できる。

腹圧を高めるエクササイズとしては腹をへこませる「ドローイング」が有名だが、実は最近では、呼吸エクササイズ「ブリージング」の方が、医学的にはより効果が高いことが実証されている

改善・緩和エクササイズ①

コンディショニングのひみつ 腰椎分離症

背すじを伸ばしウェストの両脇に手を当て、全方向へ押し出すように強く腹圧をかけながら「フッ」と口から短く息を吐く。20回。

腹横筋を収縮させるドローイングはその感覚をカラダに覚え込ませるには有効だが、腹腔を全方位的にふくらませるブリージングは、周囲の筋肉をまんべんなく鍛える効果がより優れる。

ボクサーがボディにパンチを受けるときの腹に力を入れた様子を想像すると分かりやすいだろう。また、壁に両手をついて押し出す動作を試しに行うと、ここでも腹腔を全方位にふくらませることで、力が容易に入ることを実感できるはずだ。

改善・緩和エクササイズ②

加えて行いたいのは、背骨の生理的な彎曲を維持して負担を減らすため、上体を丸めない・反らさないで屈曲させるエクササイズ

コンディショニングのひみつ 腰椎分離症

背中に長い棒(傘などでもOK)を当て、背骨の自然なカーブを維持しながら股関節を使って上体を前屈させる。20回。余裕があれば、ねじる動作をプラスしてもいい。

ここでは背骨の自然なカーブをキープしたまま、股関節から背中を前に倒すことがポイントとなる。軽めの負荷なので続けやすく、正しく行うと1か月もすれば効果が得られるだろう。

これら“腹圧”と“背骨のニュートラルなポジション”はいずれも、腰痛の予防と緩和には欠かせない要件。腰椎分離症の人も、そうでない人も、腰の痛みに悩む人にはぜひ実践してほしいエクササイズなのだ。

復習クイズ

コンディショニングのひみつ 腰椎分離症

答え:椎弓

取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.839・2022年8月10日発売

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